モデラート 【放課後の過ごし方】 10
[吹雪]:「さてと、用もないし、部活もないし、どうしよう。帰ろうかな」
[翔]:「ふーぶきちゃん、あーそびーま――」
[吹雪]:「よし、帰ろう」
[翔]:「まだ言い終わってないのに!」
[吹雪]:「ああ、翔か」
[翔]:「知ってただろうよ、オレが来てたことに……」
[吹雪]:「悪い、近頃耳が遠くてな」
[翔]:「うう、ホントに最近冷たいな吹雪は。名前どおりになってきちゃってるぜ」
[吹雪]:「そんなこといいから、用件は何なんだ? 端的に言ってくれ」
[翔]:「ああ、この後暇なら、ちょっと街まで行って――」
[吹雪]:「ああ、ちょっと難しいな、それは」
[翔]:「まだ言い終わってないのに! パート2!」
[吹雪]:「元気だな、お前は」
[翔]:「何でだよ? 暇だって言ってたじゃん。どうしようって自問してたじゃん」
[吹雪]:「確かに何も用事はない。が、お前に付き合えるほど俺は暇じゃあないんだ」
[翔]:「何だよそれは! お前は例外みたいな、そんなにぞんざいに扱わなくてもいいじゃん!」
[吹雪]:「だって、疲れるんだよ、お前といると」
[翔]:「ぐっはぁ! そ、そんなストレートに」
[吹雪]:「行事の特訓も始まった今、お前に付き合ってたら体力が保たない。よって、お前に付き合っている暇はないんだ」
[翔]:「オレって、そんなに邪魔者なのか?」
[吹雪]:「まあ、場合による、そこまで気にするな」
[翔]:「気になるよ! 場合によるなんて言われたら!」
[吹雪]:「ま、とにかく。今日は大人しく帰ったらどうだ? 罰は当たらないだろう」
[翔]:「うう、吹雪の、バカ……」
男にそんな言葉言われても、あまりぐっとはこないな。さて、翔の追撃を払いのけたわけだけど、本当に何しようかな。ちょうどその時だった。
[聖奈美]:「大久保、大久保はいる?」
ドアのところで俺の名前を呼ぶ声。そこにいたのは杠だった。とりあえず俺はあいつのところに向かった。
[聖奈美]:「いるのなら返事くらいしなさい、失礼でしょう」
[吹雪]:「悪い。で? 何だよ、お前が俺のところにくるなんて」
[聖奈美]:「もちろん、用があるから来たのよ。それ以外は何もないわ」
[吹雪]:「…………」
[聖奈美]:「な、何よ?」
[吹雪]:「いや、当然のことを言ってるのは分かるんだが、何かちょっと悲しい気持ちが」
[聖奈美]:「あなた、それ以外のことを考えてたっていうの?」
[吹雪]:「そういうわけじゃあないんだが、よく分かんないな。いいや、忘れてくれ」
[聖奈美]:「変な男ね、まあいいわ。こんな話をしにきたわけじゃないのよ。あなた、この後時間ある?」
[吹雪]:「時間? ああ、特に予定らしいものは入ってないが」
[聖奈美]:「なら、少しあたしに付き合いなさい」
[吹雪]:「え?」
[聖奈美]:「そ、そういう意味じゃないわよ! 生徒会よ、生徒会」
[吹雪]:「ああ、そういうことか」
一瞬ドキっとしてしまった。




