モデラート 【放課後の過ごし方】 4
[舞羽]:「お疲れさまでしたー」
学園の制服に着替えた舞羽が裏口のほうから出てきた。
[舞羽]:「ごめん、お待たせ」
[吹雪]:「おう、お疲れ」
[舞羽]:「うー、やっぱりちょっと寒いね」
吐く息は白く、空に立ち上っていく。まだ5時くらいなんだが、既に太陽は沈んで暗くなっていた。
[吹雪]:「もうすっかり冬だな」
[舞羽]:「そうだね、雪はまだ降ってないみたいだけど」
[吹雪]:「そのうち降るだろうな、この寒さだ。いつ降ってもおかしくない」
[舞羽]:「嬉しさ半分、悲しさ半分、かな?」
[吹雪]:「「その理由は?」
舞羽「雪ってキラキラしてて綺麗でしょう? だからちょっと嬉しい。でも、寒いのはそこまで得意じゃないから、雪が降るってことはそれだけ寒くなったって証拠。それがちょっと悲しいの」
[吹雪]:「確かに、寒いのはちょっとイヤだな。朝起きるのが辛くなる」
[舞羽]:「そうだよね、布団から顔も出せなくなっちゃう」
[吹雪]:「うん、大いに分かる。それさえなければ、冬も悪くはないって思うんだけどな」
[舞羽]:「だね。人生だね」
[吹雪]:「何か急に話が深くなったな」
[舞羽]:「吹雪くんの受け売りだよ」
[吹雪]:「何? 俺そんなこと言ったかな?」
[舞羽]:「うん、子供の頃だけどね。吹雪くん、何かとそれもまた人生って言ってまとめてた。当時の私はそのことがよく分からなかったんだけど、今思うと、とっても深い言葉だよね」
[吹雪]:「「とんだませガキだな、俺」
舞羽「私たち子供の頃だし、無性に使いたかったんじゃない?」
[吹雪]:「その可能性はあるかもしれないけど、それも人生って、全てを悟ってるみたいで子供らしくないな」
[舞羽]:「確かに大人っぽいね」
[吹雪]:「いや、変なガキじゃないか」
[舞羽]:「あはは、私はそうは思わなかったよ」
[吹雪]:「ってことは、舞羽もなかなかの変な子供だってことだな」
[舞羽]:「えー? 同類なの?」
[吹雪]:「もちろんだ、変だった俺に着いてこれたってことは、それだけ舞羽も変だったってことになる」
[舞羽]:「うーん、納得いかないよ、それ」
[吹雪]:「まあ、誰だってそんなもんだ。人間何かしら変な一面を持ってる」
[舞羽]:「じゃあ、変な人に着いていけることが、私の変な一面なの?」
[吹雪]:「そうなるな。今はどうか分からないけど、ひょっとすると今もそのままって可能性もあるし、というかその可能性結構あるんじゃないか?」
[舞羽]:「そ、そうかな?」
[吹雪]:「俺たちの周りの人間を見てみろ。翔に日野にマユ姉、ちょっとおかしい奴らばかりじゃないか」
[舞羽]:「ま、繭さんもその中に入れちゃうんだ」
[吹雪]:「ああ、もちろんだ」
[舞羽]:「そ、そんなに自信を持って……」
[吹雪]:「それよりもだ、どうよ、改まって考えてみて」
[舞羽]:「――うん、そうだね。確かに、ちょっと変わってる人が多いかも」
[吹雪]:「舞羽も、変な人間だってわけだ」
[舞羽]:「うー、何か悲しいなー、それ」
[吹雪]:「心配するな、俺もそのうちの一人だ」
[舞羽]:「嬉しいような嬉しくないような」
[吹雪]:「みんな仲間だ、心配ないさ」
[舞羽]:「う、うん」
[吹雪]:「よし、うまく話がまとまったところで、ちょっと商店街に行こうぜ。夕飯の買い出しに行かないと」
[舞羽]:「今日はどうする?」
[吹雪]:「ああ、大丈夫。今日は俺が作るよ、バイトで疲れてるだろうし。ただ、品定めだけお願いしたい」
[舞羽]:「うん、分かった。良質なもの、頑張って選ぶよ」
[吹雪]:「頼りにしてるぜ。よし、レッツゴーだ」
[舞羽]:「オー!」
俺たちは商店街へと向かった。




