テヌート 【ハーモニクサーの鍛錬】 11
[愛海]:「じゃあ、はいコレ」
[吹雪]:「ん?」
[愛海]:「お詫び、あげるわ」
[吹雪]:「何だよ、コレ」
[愛海]:「え? 栄養ドリンクよ」
[吹雪]:「いや、そういうことじゃなくて」
[愛海]:「大丈夫、飲めるわ」
[吹雪]:「そういうことでもなくて、むしろ飲めなかったらドリンクじゃないだろ」
[愛海]:「私が丹精込めて作った嗜好の一品よ」
[吹雪]:「市販品じゃないのかよ」
[愛海]:「もちろん、自家製だもの」
[吹雪]:「どうせくれるなら市販品にしてくれよ」
[愛海]:「それじゃあおもしろくないじゃないの」
[吹雪]:「おもしろさを求める必要性なんてないだろ」
[愛海]:「まあいいからいいから、とりあえず飲んでみてよ」
受け取ったドリンクを見てみる。……見た目は確かに普通っぽいんだが。
[吹雪]:「ちょっと聞いていいか?」
[愛海]:「一つだけね」
[吹雪]:「一つだけかよ」
[愛海]:「だって、そうやってお茶を濁して飲まなそうなんだもん。だから一つだけね」
[吹雪]:「……飲むことは決まりなのか?」
[愛海]:「もちろん、大久保くんのために作ってきたんだから」
[吹雪]:「…………」
[愛海]:「ほら、いいわよ、質問、一つなら答えるわよ」
聞きたいことはたくさんあるんだが、くそー仕方ない。
[吹雪]:「疲れは取れるのか? これを飲んだら」
[愛海]:「ええ、もちろん、バッチリよ」
なら、いいだろう。
さすがの日野でも、神経をおかしくするようなものは作らないだろう。
[舞羽]:「の、飲むの? 吹雪くん」
[吹雪]:「まあ、死にはしないだろう」
[愛海]:「作った本人がいるのに、失礼ね」
[吹雪]:「じゃあ、いただきます」
[愛海]:「一気に、ググーっとね」
注文が多いな……。俺は蓋を開けて――、
[吹雪]:「んっ、んっ、んっ……」
言われたとおり、一気に全部飲みきった。
[吹雪]:「――はあ」
[愛海]:「どうだった? お味は?」
[吹雪]:「分かんないな、何味にしたんだ?」
[愛海]:「えーっと、ミックスかな?」
[吹雪]:「何の?」
[愛海]:「果物の、さすがに魚介類とかのミックスなんてしないってば」
そこの配慮はしてるか……。
[吹雪]:「効果は? いつ頃に出てくるんだ」
[愛海]:「すぐに出ると思うわよ」
[吹雪]:「本当か?」
[愛海]:「私の計算に狂いがなければ」
[吹雪]:「ふぅん」
……………………。
…………。
……。




