テヌート 【ハーモニクサーの鍛錬】 9
12月6日(月曜日)
[場所:教室]
[翔]:「で? どうなんだ? 吹雪よ」
[吹雪]:「何だよ、急に」
[翔]:「どうなんだって言ったら分かるだろー? オレとお前の仲なんだから」
[吹雪]:「……で? 何のことだ?」
[翔]:「分からないの!? マジで!」
[吹雪]:「ああ、マジで」
[翔]:「嘘だ、オレとお前は――」
[吹雪]:「悪友だな」
[翔]:「早いな返事! っていうか悪友!? 親友じゃなくて!」
[吹雪]:「他に何があるっていうんだ」
[翔]:「何てこった……翔ダイショック」
全くかわいくないな……。
[吹雪]:「いいから、普通に言えよ。じゃないと分からないだろ」
[翔]:「ああ、そうだな。分かった」
テンションががっくり下がっていた。
[翔]:「どうなんだ? ピアニストとハーモニクサー。もう練習始まったんだろ」
[吹雪]:「ああ、そのことか」
[翔]:「他に何があるんだよ……」
[吹雪]:「主語言われなかったら分かるわけないだろうが」
[祐喜]:「でも、確かに気になるね。午前中は二人ともいなかったし、それに繭子先生の授業の時も代わりの先生が来てたし。練習してたんだよね? 二人は」
[舞羽]:「うん、そうだよ。それぞれ別メニューだけど」
[祐喜]:「やっぱりそうだったんだ。でもそうだよね、失敗は許されない行事だし」
[吹雪]:「まあな、多分しばらくはこんな感じだろう。午前は練習、午後は授業」
[祐喜]:「土曜日とか日曜日は?」
[吹雪]:「多分一日中練習だと思うぞ。な? 舞羽」
[舞羽]:「うん、そうだね。スケジュール表にはそんなことが書いてあったと思うよ」
[祐喜]:「へえ、じゃあお休みないんだ」
[舞羽]:「仕方ないことだよ。学園の代表なわけだから」
[祐喜]:「僕たちには何にもできないけど、頑張ってね。応援してるから」
[吹雪]:「おう」
[舞羽]:「ありがとう」
[祐喜]:「にしても、吹雪、さっきからすごい水分取ってるけど、気のせいじゃないよね」
[吹雪]:「ああ、もう喉が渇いて仕方ないんだ」
[祐喜]:「練習?」
[吹雪]:「ああ」
[祐喜]:「何の練習?」
[吹雪]:「スタミナをつけるための走り込みだ。グランドを30周」
[祐喜]:「さ、30周? 本当に?」
[吹雪]:「ああ」
[舞羽]:「吹雪くん、昨日もそのメニューだったよね」
[吹雪]:「ああ、三日目だけど、まだ慣れそうにないよ」
[祐喜]:「よく走りきれるね」
[吹雪]:「というか、走りきらなきゃいけないんだ。学園長が後ろをついてきてるからさ」
[祐喜]:「え? 走って?」
[吹雪]:「いや、ほうきだ」
[祐喜]:「じゃあ、あれみたいな感じ? 駅伝チームの監督みたいな」
[吹雪]:「そうだな、そんなとこかもしれない」
[祐喜]:「大変だね、僕は走りきれそうにないよ」
[吹雪]:「そのせいで、ちょっと体がダルくてな」
[祐喜]:「そりゃあそうだろうね」
[舞羽]:「大丈夫? 吹雪くん」
[吹雪]:「大丈夫だけど、体の節々が痛いな」
俺は別にマラソンランナーってわけじゃないし……。




