1日目 主夫してます
とりあえず浮かんだやつ。ちまちまっと更新予定
世の中の夫婦とは如何なるものか。
亭主関白? 仮面夫婦? 別居夫婦? それとも万年新婚夫婦? それともそれ以外?
ただ共通するのは基本夫がお金を稼ぎ、妻が家庭のやりくりをするということ。中には両働きや妻が働きに出るなんてこともあるだろう。だが基本は前者であることは間違いない。
さて、冒頭で夫婦とは如何なるものかという話をしたが、何が聞きたいのか。またはどういう目的でこの話を始めたのかという理由を言っていなかったはずだ。なので理由を説明しようと思う。いや、正確には俺の夫婦生活を見て、普通か判断してもらいたい。長い話にはなると思うがどうか優しい目で見てもらいたい。
俺、高橋司の朝は早い。起きる時間は決まって5時だ。昔はきつかったが今では目覚ましが無くても的確に起きれるようになった。習慣とはかくも恐ろしい。
起きてまず初めに服を着替える。もちろん当然の行為ではあるのだが時々当然でなくなるのが我が高橋家のクオリティ。だが運が良いことに今日は平和だった。正確ではないがトラブル率は大体4割。
着替えを終えるとまずはご飯を炊く。量は6合。我が家の腹ペコ様はとても食べる。それはもう見ていて気持ちいいくらいに。
炊飯器の設定をし終えた段階で現在5時20分。ふむ、いつも通りだ。いや少し早いか。
この段階で朝食のスタンバイは大体出来たも当然だ。妻が時間内に起きるか、さもなくば強制的に朝食の調理が始まるのだから。もし時間内に来なければ漫画などである愛のお玉作戦を決行する。なおこの後大体10秒気絶するのが俺の妻だ。
そして準備を終えるとすぐにテレビを点ける。番組はめざめるテレビ。マスコットのめざめるくんはそれなりにかわいい。もちろんそんなことを言おうものなら妻の自慢が始まるので言わない。
テレビを点けて今日の天気と運勢占い。ふむ……天気はいいが俺の天気は最悪だった。妻は晴天。
必要な情報を見終えるとテレビはそのままに洗濯機を起動しにいく。今日の洗濯物量はまあまあなもの。これならすぐに干し終えることだろう。昔は妻の下着に心臓をバクバク言わせたものだが、慣れればどうってことはない……夜の時は相変わらずだが。黒のレースは止めろ。死ねる。洗濯機が仕事を終え干し終わるころ、時刻6時20分。洗濯機の時間やそれまでの待ち時間の間に用事終わらせてのこの時間。まあいつも通りだ。
大体の用事を済ませると最後の仕事をしに俺の妻、涼子の寝室に向かう。どうやら今日は起きれなかったらしい。起きる日はいつも時計がなる10分前に部屋に来る。もちろん多少の前後はあるが、大体10分だ。
部屋に到着。手には妻が朝が素晴らしく感じる起床型お玉セットと名付けたただのお玉と鍋を持っている。もちろん料理のほうでも大活躍だ。
時計を見る。時刻は6時29分50秒。そろそろだ。俺は秒針が55まで来たのを確認し、腕をあげる。そして
「起きろ~~~~、起きねば叩くぞさんが来たぞ~~~」
叩きながら襲撃を知らせる。すると妻は、いにゃあぁぁ!! という奇声とともに再度布団に沈む。尻を突き上げたまま気絶はいかんぞ、はしたない。ついでに起きねば叩くぞさんという名前は妻がつけたものだ。変。
10秒後、顔を少し上げ視線だけを俺のほうに向けてくる。その視線は少し恨めしそうだった。悪いな、起きないお前が悪いのだ。
「いつも言ってるけど、おはようの挨拶はキスが良いって言ってるでしょ……何でお玉なのよ」
「俺の脳内相談センターの担当の人がこれが効くと言ったもんだから採用したまでだ」
「なにそれ今すぐ取り壊してよ。私の安眠妨害とか重罪よ重罪。あ、貴方のキスなら私はむしろばっちk」
「服を着替えなさい。着替えはもう置いてあるから。今日はお客さんと商談なんだろ? パンツタイプのできる女をイメージしてスーツは選んどいたから。見た目も大事だぞ。それと早く来なよ。ではの」
「ああ~ん、冷た~い! 2日前はあれだけはg」
言い切る前にシャットダウン。これも必要。
「ん~~、相変わらずいい匂いね」
目玉焼きとベーコンと野菜が盛られた皿を二人分テーブルに置いてすぐに妻は姿を現した。今朝見せただらしなくも可愛い姿はなく、凜としたエリートな姿。うむ、やはり涼子はこうでなくては。
涼子は座布団に座ると俺が準備しておいた新聞を手に取り読み始めた。
「はぁ~……ZEGAが仁天堂の出す場外乱闘バーニングブラザーズXにキャラを参戦させるみたいよ」
「ほう、どいつだ」
「ん~……あ、ブームだって」
「そうか、あの最速猫をねぇ」
「発売したら買って一緒にしよ!」
「だな」
朝は決まって新聞の内容の話。だがこれが楽しく苦にならない。時々とんでもない話をよこす時があるが、その時はその時で対処法があるので構わん。
そして話を弾ませながら時刻は7時。そろそろ出なければ。朝はラッシュが凄い。
朝食を摂り終えると妻は歯磨きと軽いメイクをしに洗面所に。俺は必要なものを玄関に用意して待つだけ。
そうこうしている間に時刻は7時10分。涼子はばっちり決めた状態で現れた。彼女の場合元が良いのと彼女自身がメイクに無頓着なのもあってかとてもスムーズ。むしろ歯磨きを丁寧にするのでそっちの方が時間を食う。
玄関に着くと俺は彼女の服装を確認する。……OKだ。
最終確認を終えると彼女はプレーンパンプスを履き、黒バッグを肩に掛け、俺に顔を突き出す。
「早く~」
「……はぁ」
俺は軽くキスをすると、言ってらっしゃい、と告げる。彼女はそれに対し満面の笑みで言ってきます! というと元気家を出て行った。
「ふぅ…朝の仕事終わりっと」
これにて朝の部が終わった。もちろん洗い物が残ってたりするが苦にならない。習慣とはかくも恐ろしい。
さて、昼までゆっくり過ごすか……