プロローグ
初投稿です。至らない点も多くあると思いますがよろしくおねがいします。
あの日俺は十数年の短い人生に終止符を打った。
別に大してドラマチックな出来事があったわけでもない。
何かに必死になることもなく、偉業を成し遂げたこともなかった。
たぶん多くの人にとって俺の死なんてちっぽけな出来事に過ぎない。
誰かが泣いてくれるかもしれない。
誰かがだからなんだと笑うかもしれない。
俺も生きてたころならきっと同じことをしたはずだ。
この世界ではあまりにたくさんの事件が起きていてその一つ一つに心を痛めている暇はない。
しかもそれが有名人ならいざ知らず凡人の小さな死だったとしたら。
適当に理由をつけて片付けるのは簡単でそれがあまりにも当然のことだと納得してしまう。
でも確かに死ぬまで俺はなんでもない日常をなんでもないように過ごしてきたのだった。
本当なら何かを残せたのかもしれない。生きた証とでもいうべき何かを。
だが俺には驚くほど何もなかった。
これが自分の人生だったのかと気がつきそっと瞼を閉じる。
もう終わってしまう。ありふれた幸せ、平穏な日常。
振り返ればその一つ一つがもうないのだと実感して心に一抹の寂しさが残る。
さようならと親しい者への別れを告げることなく意識は闇の底へと落ちていく。
これが俺の一生とやらだった。普通のありきたりの一人の男としての命。
ヒーローなんかになれないただの人間として。
そう思っていたはずなのに――
この異世界にたどり着いて俺を取り巻く全てが変わってしまったのだった。
まだ本編始まっていません…すみません。
次回から一応コメディの予定です。