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少年カリオスの冒険の書  作者: 梅雨ゼンセン
第七章 『思惑と思い』
89/122

半端者は……

 ――――――宙を、

 縦横無尽に舞うのは、鎖。


 先端にはダイヤ型の刃が付いており、根本はメイドの指に付いている。

「ッ!」

 レーエンはそれらを躱しつつ、レイピアを構えて前進する。

 しかし彼の動きを読み、メイド姿の女性はほんの少し手首を動かす。それだけで、レーエンが躱したはずの鎖は軌道を変えて、背後から彼に襲い掛かる。

 それに気づき、彼は振り返ってレイピアで鎖を弾き、距離をとる。

 さっきからこの繰り返しだ。

 戦闘はレーエンだけで行っていた。彼は彼女の実力を知っているからだ。相対せるのはこの魔族軍の中でもレーエンかトレラントくらいだ。トレラントは他に誰も手を出さないよう後方に控えている。

 レーエンが距離をとると、メイドは一度攻撃の手を止める。あくまでも彼らのとうせんぼうが目的故、深追いはしない。

 そのため隙が無い。

 冷静なメイド対して、レーエンの表情には焦りの色が浮かび始める。

「なぜお前がここに居るんだ! 『フライデー』!」


 魔王専属執事長 兼 近衛兵団長『フライデー』


 それが彼女の所属と名前だ。

 執事の中で最も魔王に近い存在。そして近衛兵を束ねる長。

 ここは確かに魔界だが、しかしそれでも本来いるはずのない人物だ。

 しかも同じ魔族が立ちはだかっている。そのことにレーエンも、他の皆も疑問を抱かずにはいられなかった。

 フライデーは淡々と答える。

「魔王様の命でございます。私にとって、それ以上の理由は必要ありません」

「……」

 レーエンはその言葉に絶望する。

 魔王の命令。それが自分たちを止める理由。

 おそらく時間稼ぎだろう。

 では何のための時間稼ぎか。

「ハッ、まだ和解を諦めてないのか、我らが魔王様は」

 思わずトレラントは鼻で笑う。レーエンも同じ気持ちだ。

 魔王はまだヴォールとの和解を諦めていない。この戦争自体ヴォールに騙されたことによって始まったというのに、それでもまだ手をつなげると思っているのか。

 愚かを通り越して哀れだ。どこまでお人よしなのか。

 そして、

「はい。その通りです」

 トレラントの言葉にフライデーは淡々と同意した。

 魔王の側近が、あろうことか魔王を嘲る言葉に同意した。

 それに一行は驚くが、フライデーはすぐに、

「ですが、そのお考えに付いていくのが私たちです。この命はとうの昔に魔王様にお渡ししていますので」

 信心深げに、胸に手を当てる。

 それにレーエンは肩を竦める。

「それが間違った判断だとしてもか?」

「はい」

「そうか」

 短く答えると、レーエンは再びレイピアを構える。

 と、フライデーから目をそらさず、彼は後方の一団に叫ぶ。

「時間だ! 全員走れ!!」

 ―――――刹那、



 ゴオオオォォォォォォォッッ!!!



 突如、巨大な地震があり、

 彼らが降りてきた穴から大量の煙が噴出した。



      ・・・



 崩落したドルン城。

 その周辺に展開している森の入口に、ソルダート軍は到着していた。

 既にソルダートの軍の大半は森に入り、ドルン城へと向かっており、ストレングス・ソルダートは森の外でその帰還を待っていた。

 立派な馬に跨り、兵と比べて豪奢な装飾が施された鎧。所々に金が使われており、肩からは猛獣の角を模した鋭い装飾が飛び出している。

「先行組が入って一日か」

 ストレングスの呟きに側近が答える。

「警戒して進んでいるとはいえ、そろそろ城には付いている頃かと」

 うむ、とストレングスは頷きつつ、訝しんでいた。

 静か過ぎる気がする。

 木々のざわめきのせいで音がここまで届かないのか。それにしてもやはり静か過ぎる。


 魔族族どもはドルン城に居座っているはず。やつらにとって他に拠点はないはずだ。移動でもしたのか?

 いや、ドルン戦が終わってまだ一週間も経っていない。かなり大きな戦いだった。

 奴らはまだ体勢を整え切れていないはずだ。

 故に我はこうして攻め入っているのだ。


 しかし……

「……戦いのが、あまりに薄い」

 戦場独特の雰囲気、においというのか。合戦の前に高まる、目に見えない何か。

 それがこの場は非常に薄く感じる。また残っているこの薄い気も、戦いの後故に残滓的なものだろう。

 何かが、おかしい。

 そう、ソルダートの王が感じ取った時だった。



 ゴオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォッッ!!!



 轟音が響き渡った。

「何事だッ!!?」

 彼は側近に叫び、側近の彼は走ってきた高台から遠方を監視していた伝令から話を聞こうとする。

 しかし一秒でも早く情報が欲しいストレングスは、

「よい! お前が喋れ!」

 怒鳴られた伝令は一度驚きで硬直するが、すぐに「はい」とストレングスに向き直る。

 そして跪き、見た情報をそのまま伝える。

 ありのままに、簡潔に。


「ドルン城が、爆発しました!」

「ッ!?」


 ストレングスはすぐに気づいた。

 さきの戦の気の薄さの理由に。

 そして、魔族の狙いに。

 奴らはソルダートの兵をワザとドルン城に招き入れ、城ごと兵をふっとばしたのだ。

「―――こざかしいマネを……」

 彼は思い切り歯を食いしばる。あまりの力に歯ぐきから血が溢れ出すが、彼はその痛み異常に自分の愚かさが恨んだ。

 何よりも魔族ごときに出し抜かれた。そのことが悔しくて仕方がない。

「王! ご命令を!」

 そう悔やんでいるうちに兵たちがストレングスを頼って集まってくる。視線が集まる。

 彼は食いしばった口をやっとの思いで開き、

「―――――て……撤退だッ!!!」

 百戦錬磨のストレングス・ソルダート。

 その強さが故の、

 そして、

 魔族風情、魔族如き、魔族程度と、

 そう侮ったが故の敗北。

 彼にとっては屈辱以上屈辱的な黒星となった。


 しかし、まだ終わりではなかった。



      ・・・



 

 城を爆発させた際の爆風が、通路を伝って魔界までやってきた。

 この煙幕の正体だ。

 ほとんど視界ゼロの状態。一メートル先も分からない状態だ。そもそも砂埃等々で目を開けているのか精一杯。

「ケホッ、コホッ、……なるほど。どこまでも計算高い男です」

 フライデーはレーニンを称賛する。

 本来は上のソルダート軍を壊滅させるためだけの爆弾。爆発。

 しかし私という不測の事態を前に、煙幕として利用する素早い機転。

 一人で戦っていたのも被害を最小限にするため。無駄に戦力を失わないため。

 見事。

「しかし……」

 彼女は腕を振って鎖を上に挙げる。

 と同時に、魔力を流し込む。

「『ワカレナサイ』」

 そう命じると、鎖が部分的に淡く光り始める。

 彼女の操っている鎖は、所々に魔法陣が彫ってある。それは鎖を発生させる魔法の陣。

 そうして天に向けて伸びた鎖は、途中から二つに、二つだったものが四つに、八つ、十六、と……

 植物が枝葉を伸ばすように、無数に分裂していく。

 気づけば、埃の外には、空が薄暗くなるほどの鎖が展開しており、それはまるで鉄の大樹を思わせる。

 そしてフライデーは、まるでオーケストラを始めるように思い切り両手を振り下ろした。


「『鎖瀑さばく』」


 降り注ぐ鉄の雨。


 いや、雨ならばまだよかった。


 降り注いだ無数の鎖は突きさすだけでなく、外れたとしても近くに居た者を拘束し、締め上げ、絞め殺す。

「ぎゃぁっ―――――!」

「ぐあぁッ!!」

「あああああああああああああああああああああッッッ!!!」

 煙幕の中から、様々な悲鳴が聞こえてくる。

 それらを聞きながら、フライデーは淡々と鎖を指揮する。

 悲鳴、阿鼻叫喚という曲を奏でる、魔族軍という楽団を指揮する。

 と、その中で鎖を弾いて抵抗している数名を感知する。

 うち1人は軽い剣を振っている。おそらくレイピアだ。

 レーエンだ。

「そこですね」

 フライデーは鎖のうち五本を魔力で操り、レーエンの方に向ける。

 彼は今自分に向かってきている鎖を弾いて躱すことで精一杯。これ以上は躱せない。

「ッ!!」

 向かってきている鎖に気づいたレーエンは、そのうちの四本まで弾くことができた。

 しかし残りの一本は躱しきれず、

「ぐあッ!!」

 腹に深々と鎖が突き刺さる。

 しかし。

 半ば捕えられた、不利と思えるこの状況で、

「――――――かかったな」

 レーエンは、不敵に笑った。

 そして腹部に刺さる鎖を掴み、そこにレイピアを当てた・・・

「『伝来音ソリッド・ソニック』」

 ピイイィィィィンッ――――――、と。

 金属音のような甲高い音の後、

「ッ―――――」

 倒れたのは、フライデーだった・・・・・・・・

 突如彼女は全身から血を噴きだし、力なくその場に倒れた。その瞳は小刻みに振動し、瞬きさえせず虚空を凝視して制止していた。

 同時に鎖が力なく地面に落下し、魔力で増えていた鎖は消滅する。

 戦闘不能だ。

 レーエンはそう判断して、腹から鎖を抜き、レイピアを納める。

 そうしてきびすを返し、よろけながらも粉塵を抜けて合流する。

「……やったのか?」

 トレラントが訊く。彼はレーエンの傷に驚きつつも、努めて冷静に振舞う。

 レーエンはそれに首を振る。

「あいつは滅多なことじゃ死なない。首を切り飛ばしてもな。今は瀕死にしただけだ」

 そう忌々し気に零し、彼は残りの仲間の様子を見る。

 傷を負った者はレーエンだけではない。

 腕、肩、脚、腹に深手を負っている者が多数。そして人数が減っている。三分の一がさっきの鎖の雨でやられてしまったようだ。

 生きているとしても、腕や足が使い物にならない者もいる。となるとまともな戦力としてカウントできるのはせいぜい元の半分くらいだろう。

 精鋭を集めてきたはずなのだが。

「……クソが。同じ魔族だろうが……」

 同じ魔族。なのにどうして俺たちがこんな目に合わなくちゃいけない。

 どうして同じ魔族から、ここまでされなくちゃいけないんだ。

 痛みに苦しむ仲間を前に、レーエンは刃を食いしばらずにはいられなかった。

「魔王は……俺たちより、人間を選ぶのか?」

 そこまで耄碌もうろくしたのか。そこまで人間に怯えているのか。

 まだ過去の義理や情などというものを抱えているのか。

 魔王はもはや、愚か者以外の何者でもない。そんな王に魔界を任せられない。

 彼が吐露した呟きを、隣で聞いていたトレラントは、そっとレーエンの肩に手を置く。それでレーエンはハッと我に返る。

 彼の瞳の中にも、レーエンと同じ業火が見えた。しかしトレラントは努めて穏やかに言った。

「……今は作戦だ。それが全てだろう?」

 その言葉で、レーエンは冷静さを取り戻すことができた。

 そうだ。

 自分の目的を果たすにしても、

 仲間の敵を討つにしても、

 何にしても今はこの作戦を絶対に成功させなければいけない。

 失敗は許されない。

 レーエンはすぐさま一団に指示を出す。

「負傷した者をすぐに応急処置しろ。脚が動かない者はここに置いて行く! その護衛に十名、残りの動ける者は俺に付いてこい!」

 そして処置が終わると、自分とともに進軍する者たちに向き直り、全員の顔を見る。

 全員が健全というわけではない。中には腕を負傷した結果切り落とした者もいる。

 しかしその負傷のせいか、たった今一つ死線を潜ったせいか、

 全員が覚悟の宿った顔をしている。

 その面たちに、レーエンは言う。

「いいか! ここが俺たちの分岐点だ! この作戦を確実に成せるかどうかで俺たちの生死が別れると言っても過言ではない!」

 そして再び、目標を、目的を確認する。



「―――――強国ソルダートを、必ず落とすぞッ!!」




      ・・・




 ゴオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォッッ!!!



 ……巨大な爆発音で、カリオスは、目が覚めた。

 ここはどこだっただろうか。

 森を見渡して、そうぼんやりと考えたとき、

「ッ―――――」

 全身に鈍く大きい痛みを感じて、全てを思い出す。

 自分はプリュイと一緒に洞窟に入った事。

 そこで出会った男の言葉。

 そして、プリュイがいない理由を……

「……」

 自分は助かったのだと実感するカリオス。そうして安堵すると同時に、涙が溢れる。

 安堵。自分がここにいる。命があるという安堵。

 対してそれは、もういない命の恩人への涙でもあった。

 後悔の涙。

 彼は命をかけて自分を助けてくれたのに、カリオスはプリュイに何もできなかった。

 そのことへの無力感と、罪悪感が混ざり合い、涙となって溢れた。

 ……改めて地面を見ると、自分が居る所だけ土が露出している。

 いや、辺り一面がそうだった。地面は茶色く、まるで耕されたようになっている。爆発で洞窟が崩れた後だ。

 この下に、プリュイが居る。

「――――――」

 カリオスは短剣を引き抜くと、それをスコップ代わりにして幾度も地面を掘った。

 何度も何度も、場所を変えては掘ってを繰り返した。

 その間、彼の口はずっと引き結ばれたまま。

 分かっている。理解している。

 彼は出てこない。

 こんなちっぽけな剣と手で見つけられるほど、浅い場所に居ない。


 敵を切り伏せる力がある。技術がある。

 狩りの腕もある。

 おまけに短剣には魔法を切る力もある。


 なのに、こんな犬みたいに穴を掘って――――――

「……仲間一人、助けられない……」

 自分の無力を、今ほど呪ったことはない。

 気付けば、土を掘る手は地面へ叩きつける拳に変り、彼は何度も悔しさを地面に八つ当たりした。

 その間、ずっと、あの言葉が響く。

『半端者』

『半端者』

 半端者、だからこんなことになったのか。

 人間に情を持ったから。

 だから仲間を失ってしまったのか……

「……仲間」

 そこでようやく思い出す。

 ケトニスのことを。

 そしてプリュイの最後の言葉を。

『ケトニスを、頼んだ』

「……」

 ……そうだ。

 僕は頼まれたんだ。

 それに彼女は、僕の一番の親友だ。

 カリオスは袖で涙を拭く。地面を掘っていたせいで顔に土も一緒に着くが、構わない。

 探さないと。ケトニスを。

 未だ足腰にうまく力は入らなかったが、それでも無理矢理動かしフラフラと彼は森を歩く。

 あの人間の男は逃がしたと言っていた。

 なら、ケトニスはまだ森のどこかに居るはずだ。

「……ケトニス……ケトニス……」

 まるで亡霊のように、彼は彼女の名前を口にして森をさまよう。

 痛みのせいか、頭を強く打ってしまったのか、それともショックのせいか、

 意識はやや朧気だ。

 気を抜けばすぐに倒れてしまいそうだ。

 それでもカリオスは意識を繋ぎとめ、必死に辺りを見回す。

 かつて、こんな気持ちで森を歩いたことがあっただろうか。

 いつもは狩りをする側なのに、今は自分が手負いの獣のようだ。

 幸い森は戦争のせいか動物の気配がない。

 それでも木々のざわめきが怪しく、背中から頬を抜ける風も気持ちが悪い。

「……」

 ……嫌な予感がする。

 得体のしれない冷たさが、彼の背筋を撫でる。その冷たさに、逆に脂汗が滲む。

 そして風に乗ってきたうそ寒い予感が、彼の背中から手を回すように抜け、胸に触れたような錯覚を覚えた時、


「―――――――」


 気が付いた。


 遠目だが、


 前方に何かが横たわっていることに。


 小柄な何かが横たわっていることに。


 小柄な、少女のような何か・・・・・・・・が横たわっていることに……



 その周辺には血液。

 折れた歯と角。

 そして――――――

 

 刹那、風向きが変わる。



 今まで追い風だった風が、向かい風に。

 まるで『もう臭い・・を隠す必要がなくなった』と言いたげに。


 

 そして――――――、飛び散り、草木に付着した白濁色

 ―――――濃く、粘つく様に濃密な……栗の花の匂い・・・・・・



 






 ケトニスは…………………

 もう、笑わない。








「――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――」



 もはや叫びにすらならなかった。

 彼はその場に崩れた。

 何もかもが受け入れられなかった。

 信じられなかった。

 何が起こったのか分からない。分からなかった。

 カリオスは、足がもつれようが、木々で肌が裂けようが、なりふり構わずケトニスのもとに近寄り彼女の体を抱き上げた。

 その顔には叫びも苦悶も、何もなかった。

 ただ、絶望が刻まれていた。虚空を見つめて、時間が止まってしまったかのように何の表情もない、絶望が。


 光のない瞳。

 痛みも苦悶も振り切って、残ったのはただ「助からない……」という絶望だけ。

 それがケトニスの表情と、穢された体と、首にある手の形の痣から生々しく伝わってきた。



 ……カリオスは知らない。

 あの洞窟に居た男の言葉に、嘘偽りはなかったということを。

 ただ、それはあの男だけの話だった。


 言わずもがな、人間は一枚岩ではない。


 そして魔族への思いも違う。恨みの大きさも違う。

 あの男は確かにケトニスを逃がした。しかしケトニスが洞窟から出た後、それを待ち構えていた男たちが彼女を捕え、乱暴をした上に殺した。



「……人間」

 カリオスの奥歯がギリッと軋む。

「人間のせいで……」

 自分が人間を見逃したから……

 顔は獣のように歪み、瞳には殺意を帯びた地獄の業火が燃え盛る。

 もはや彼の中に『少年』は無くなっていた。

 半端者だったことへの後悔。

 決心が付かなかった自分への甘さ。

 そして何より、

 最も大切な仲間を無残に……否、無残という言葉ですら足りないほど残酷に殺された怨み。


 仲間を、彼女を想うその優しさ故に、

 カリオスは甘さを捨てる決心をした。





 人間を殺す。

 戦争の原因を作った人間どもと、その国を滅ぼして、この戦争を終わらせる。









「……僕は、魔族だ」

 

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