ケージとクラハ
「……」
カチン、カチン、と。
玉の込めていない魔銃をクラハは折ったり戻したりする。
それをケージはベッドに寝転がって部屋に用意してあった本を読みながら、チラリと見る。自分たち以外の兵士たちが戦場に向ってからずっとあんな感じだ。ものすごく不満そうな顔をして、淡々と銃を弄んでいる。
ケージは一瞥すると再び本に視線を戻す。
「……不満なのはわかるけど、そうふて腐れるなよ。武器が痛むぞ」
「……あーあ。あの王様殺しにいこっかなぁ……」
「おい。笑えねえこと言うなよ」
彼はまたチラリとクラハを見る。彼女はやはり手元で魔銃を弄んでいるが、その目は退屈そうな半眼で、生気がない。今は冗談染みているが、中々キているようだ。
彼は懸念しながらもしかしその場では何もせず、また本に視線を戻す。
「まあある程度長引くか追い込まれれば、俺たちを使わざるを得なくなるだろうさ。それまでは我慢しような」
「はーいはい。分かってますよ」
そう口をへの字にして言うと、カチンと魔銃を戻し、ノールックでケージの方に向けると、弾を込めずに魔力だけを装填して引き金を引く。
「は!? おい待」
ズドン、と。
躊躇いなく引き金を引いた後、クラハは何事もなかったかのようにため息を吐いて天井を仰ぎ、
「退屈よぉ~……」
と床にごろんと倒れる。
その時ベッドでは、躱す……というかとっさのことでずり落ち、ベッドを背もたれに穴だらけの本を持って硬直しているケージの姿があった。
(いい加減にしてくれよ………)
そう彼もため息を吐いた。
ここには、戦いを思わせる雰囲気は皆無だ。
ゆっくりと、ただただ生ぬるい空気が部屋に溜まり、己が肺から体内を循環する。
ただただ貪り食っているようだった。胃の許容量を超えてもそれは流れ込んでくるのをやめずに、内からはち切らんともせず、ただただ重く、寒天かゼラチンのように溜まっていく。
怠惰に時間を貪ることを、クラハの脳は許すことができない。それは白紙の画用紙にひたすら、永遠と同じ白色を塗り続ける作業と同じか、なお苦痛を与える。
彼女は再び魔銃を折ると、両手を頭の方に投げ出して、それからごろんと裏返り、頭の方にあったドアを見る。
さほど厚さもない、ただの木のドア一枚。
あの一枚先には彼女のが待って焦がれている闘争が跋扈しているのだ。
たった一枚。思い切り蹴飛ばせば壊れそうなドア一枚。
(壊しちゃおっかなぁ……)
なんて熱い視線をドアに向けているとそれに気づいたようで、ケージの方からやめるように促す視線が飛んでくる。
それに彼女はどうとでもとれる含みのある笑顔を返す。
と、
ドンドン、――――――――――
突然そのドアが叩かれ、いとも容易く口を開いた。
「先行魔法騎士団の二人、命令だ!」
そう入ってきた男は表情は警戒しているように硬かったが、それよりも焦りの方が強く現れていた。
その顔と言葉を聞いて、ケージは「ふぅ」と一息吐き、クラハはニヤリと口角を歪めた。
・・・
明け方。
朝露が滴る鬱蒼と茂る森。
木々は風に揺れて細鳴り、鳥の鳴き声も聞こえてきそうである。
が、そこに鳥の、否。住んでいる動物の声は一切聞こえてこない。
鳴っているのは……
『おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッ!!!』
猛った叫び。
交わる鋼の叫び。
そしてそれらに蹂躙、鏖殺された生物の、命が侵された音。
かつて長閑だった森の一角は、魔族たちと人間たちの真っ向勝負となり、血みどろの戦場と化していた。
刃を振り上げ殺し合う異形の者と人間。その両者とも顔には決死の表情が浮かんでおり、真っ赤になった全身は己の血か帰り血か、もはや判別がつかない。
外ではあったが、その場には鉄錆臭い悪臭と憎悪が充満していた。
切りつける人間。それに魔獣がかじり返し、今度は魔法が帰ってきて、それを数で押し返し、押し返されて、……
そんなことの繰り返しである。
その過程で大量の死体が生産され、無残に踏みつぶされていく。
剥き出しの殺意と、死の気配。
そしてカリオスらも、この戦いに参戦していた。
「『疾風の雷光』!」
両手に刃を携え、ブリッツはその赤黒い喧噪の中に突撃していく。
稲妻を纏った彼は加速し、まるで嵐のように敵を手当たり次第に切り伏せていく。
蹴飛ばし、蹴飛ばし、刃を振り回し、突き刺し、投げ飛ばし、掻き切る。
「ハハハハハハハハハハハハハハハッッ!! 楽しいなおい! カハハハハハハ!」
狂気のほとばしる眼光は欄とギラメキを放ち、刃に付着した血を脂を払って彼は足を進める。
彼の体は帰り血で真っ赤に染まって、まさに悪鬼のような様になっている。
そこにドルンの兵士が三人、刃を振り上げて彼に突撃してくる。配置は取り囲むように三方向から。
ブリッツはニヤリと嗤うとその一人に突撃し、速攻でその体を飛び蹴りで倒すと、踏みつけ、喉笛を掻き切る。切られた男は真っ赤な噴水をあげ、虫のように呻いた後動かなくなる。
そこに残りの二人が突撃してくる。
が、それはパンッ、という乾いた音とともに沈黙する。
バタリと倒れた二人の男を見て、ブリッツは「ハッ」と遠くの木の枝を見て鼻で笑う。
そこにはクランが回転式狙撃銃の魔銃を構えており、ホッと一息ついていた。そして彼女は再び構えると、魔法で強化した視力を使って戦場を見、敵を穿っていく。
この二人のおかげもあって魔族側の士気はぐんと上がり、戦況はかなり有利になっている。
カリオスも貢献しようと己が刃を振るい、敵を切り伏せていく。だが、彼は未だにその手に人間の死の味を吸わせていない。
一人を足を刺して動きを止め、それだけで次の獲物に向かう。
「うっ……うう、クソが!」
その呻きを背後に聞く。出血は酷いが喋れるのであれば大丈夫だろう。
そう思って彼は別の敵に狙いを定め、魔剣を構える。一人一殺なんて、そんなルールはない。
カリオスは腰を落としてバネをためると、跳ねる。
そして魔族と対峙している敵の背後を駆け抜けると、その際に敵の膝の裏の筋だけを的確に切り裂いていく。
「ぐあっ!?」
そう驚きと苦痛の声をあげて、彼らは膝から地面に崩れる。
カリオス的にはそこで魔族側も手を引けば終わりだ。それ以上血は流れない。
が、
「死ねッ!」
そんな叫びとともに魔族たちは彼らに容赦なく剣を突き立てる。腹に、胸に、突き刺し、息の根を止める。
濡れた命を刈り取る音と、その喉から発せられる破裂音のような断末魔に、彼は歯を食いしばる。
こうなることは分かっていた。結局は自分がとどめを刺さないだけで、殺されることに変わりはないのだと。
(それでも……それでも僕は……)
仲間たちと合流した三人は、仮眠をとっていた。
まだ日は出ているが、明け方には突撃するのだ。眠れるときに寝ておかなければならない。
もっとも、こんな状況で眠ることができるのはこの三人くらいだが。常人ならば神経が立ってそれどころではない。落ち着くには薬が必要だろう。
というわけで警備は彼らに任せて、ブリッツ、クラン、カリオスは仮眠をとっていた。
と、カリオスは催して、ふと目が覚める。
「ん……」
目を擦り、太陽を見てまだ時間になっていないことを確認すると、適当に見えにくい木の陰に行って済まそうとする。
と、
「ずいぶんと余裕じゃないか」
「……へ?」
そう声を掛けられて、ズボンを脱ぎ掛けのまま振り返る。
そこには、魔法使いの大きな鍔のとんがり帽子をかぶった、漆のように黒く艶やかな髪の女性が椅子に腰かけていた。
椅子などさっきはなかったはずだ。一体どこから出てきたのだろうか。
……いや、それよりもそもそも彼女はどこから現れた? 顔に見覚えがない。ずっといたわけでもないだろうし、そうであるなら気づかないはずはない。
…………いや、そもそも……この状況はいかがなものか。
「………へ?」
脳内では様々な疑問点が浮かぶが、それはこの状況を改めて整理した時に撹拌し、一拍の後彼の顔は真っ赤に紅潮する。
それを見て彼女は「ほぉ……」と興味深げにニヤリと笑う。
「いやほぉじゃないですよ! 誰ですかあなた!?」
「ん? ああ、インテレッセ・ベルディーテだよ。初めまして、カリオス君」
そう彼女はサラリと自己紹介を済ませる。それにカリオスの思考はまた停止する。
インテレッセ・ベルディーテ。
その名前は嫌というほど聞いた。
魔法の始祖。魔法を作った天才の魔女。
そして自分たち、アニスの目的の人物。
彼女はゆったりと腰掛けながらどこからともなく紅茶の入ったカップをとり、口に運ぶ。それにカリオスは驚くが、そこで彼女がこの場に居ないのではないかと考える。
「察しが良くて助かるよ。これは幻覚。君の目にしか映らないし、移っているのは私と接触している物だけだ」
さて、とインテレッセは一拍置くと、カップを戻し、
「少し時間が欲しいのだけれど、大丈夫かな?」
「……あのぅ……そう言う風に見えます?」
そうカリオスはあの状態のまま硬直している。ここで下手に動くとそれだけで恥になりそうで、というかもうすでに手遅れなのは見え見えなのだが。というかもう……恥ずかしいです……
彼の様子を見てインテレッセは「ん? ああそうか。すまないすまない」と適当に飄々と謝ると、
「続けてくれて構わないよ」
「いやだから構うから言ってるんですよ!」
「おい! どうした!?」
なんて話していると、少々声が大きかったようで向こうから声が飛んでくる。
「え、あ……」
「ちなみに話というのはアニスに関する話だよ」
「ええ!?」
「何かあったのか!?」
なんだこの修羅場は!? 僕はなんでこんな状況に追い込まれなくちゃいけないんだ!
なんて思いつつも『アニス』という単語に気を惹かれ、思わず口を開く。
「い、いえ! なんでもありません! ……だ、大が詰まって! きばってました」
「そ、そうか……頑張れよ」
咄嗟に言ったことに向こうに居た人は少し気まずそうに反応して、気配が遠ざかっていく。
それを息を殺して待ち、後に彼は安堵と後悔の混じったため息を漏らす。そして背後で腹を抱えて堪え笑いをしている天才魔女。
穴があったら入りたい……顔から火が出そうだ。
しばらく笑った後、インテレッセは「ふぅ……」と大きく息を吐いて整え、
「で、何だっけ?」
「いやこっちに聞かれても困るんですけどって、さっきアニスの話って言ってましたよね!?」
そう声を殺して抗議するカリオス。それにインテレッセは思い出したように手を打ち、
「そうだそうだ。あ、そうそう。とりあえず君の置かれている状況はおおむねこっちで把握してるから」
「?」
首を傾げるカリオス。自分の情報は筒抜けってことだろうか。危害がないならいいが、覗き見されているというのは中々気分が悪い。
そんな彼の寄せた眉間の皺を無視して彼女は続ける。
「とりあえずアニスの身柄は私が預かっている。安全は百二十パーセント保証しよう」
「そうなんですか?」
よかった、と胸を撫で下ろす。これでずっととどまっていた胸の暗雲が晴れた。
彼女は生きている。そして安全な場所にいる。ならばもう大丈夫だ。
「そして彼女はこれから私の下で魔法について学び直すことになった。よって、しばらく出禁だよ」
「ああ……うん」
それに関しては何と反応していいのか分からず、言葉を濁す。とにかく彼女が無事ならば何でもいいのだ。
そしてインテレッセは最後にコホンと咳払いし、
「それと、アニスからの伝言だよ。絶対死なないこと、だそうだ。いやはや、お二人とも仲の良いことで」
そう彼女はにたりと笑うが、カリオスにはその笑みの意味が全く理解できない。仲のいいことはそんなに面白いことなのだろうか?
しかし、彼はその、アニスからの言葉に胸の奥がグッと熱くなるのを感じた。
絶対に死なないこと。
熱湯のようなその感覚はとても心地よく、彼の背筋をピンと伸ばした。
「はい! 伝言ありがとうございます!」
「いえいえ。どういたしまして」
そう言うと彼女の姿は霧のように薄くなっていった。
そして最後に、
「君と会うのはもしかしたらこれが最後かもね。精々頑張りなよ……」
そう残して霞んでいく。それにカリオスは「はい!」ともう一度大きな声で言い、見送った。
そして彼女が完全に消えると、再びそこには静寂が訪れる。
彼は一息吐くと、気持ちを新たに皆のところに戻った。と、その途中でさっき声をかけてきたであろう人に声を掛けられた。
「ずいぶんでかい声で力んでたな。『はっ!』とか言って」
「あぅ……」
また顔が真っ赤になった。違うのだが、否定することもできない。しかも当初の目的はないも果たせていないし……
もう、寝てしまう……
魔剣を両手に彼は戦場を疾走する。
それは嵐のようなブリッツとは違い、静かに鋭い、かまいたちのようだ。
微風が木々の間を縫って撫でるように、彼は脚関節を主にして切り裂いていく。
殺しはしない。だが倒れた敵に他の魔族たちがとどめを刺していく。動けない彼らはろくな抵抗もできないまま一方的な暴力にさらされ、やがて切り裂かれて絶命する。
その断末魔を背に、彼はギリッと奥歯を噛みしめる。結局同じなのだ。
自分が殺しても殺さなくても。
全体で見たら手間が増えているだけなのだ。
そのことに、どうしようもない苛立ちを覚えてしまう。殺せば死ぬ。そんな当たり前のこと、毎日のように行っていたのに。
「クソッ!」
と、考え事に集中していて動きが鈍っていたそこに、カリオスが切った中の一人が体勢を崩しながらも彼の背に向って刃を振ろうとしていた。
それに気づいたときにはもう遅く、刃は彼の体を分断すべく乱雑な弧を描き、その背中に襲い掛かる。
だがその刀身は、
パァンッ――――――!
第一音目で彼の横に弾かれ、
パァンッ――――――!
第二音目の直後、男の左こめかみのあたりに風穴があき、対角線上にある右こめかみから真っ赤な血が噴き出す。
それに一拍遅れて振り返ったカリオスは一瞬茫然としてしまう。クランの援護射撃だ。
同じ魔族で同じくらいの歳のはずなのに、彼女は躊躇いなくその引き金を引いたのだ。命を奪ったのだ。
……きっと、ここではそれが正しいのだ。
ここは、命を貪り合わせるために作られた壺なのだ。深い闇が立ち込めた、世の残酷さと醜悪さを象った闇の入った蠱毒の壺。
そう彼は、天を仰ぐ。茂った背の高い木々が壁となり、まるで本当に壺の中に居るような錯覚に陥りそうになる。
「……アニス」
僕は、間違っているのだろうか。
そう、まるで流れの中に取り残されたように茫然としているカリオス。
と。
ドオオオォォォォォンッッ―――――――――――――――!!
何かが落下してきたようだ。
そしてその落下物の着地と同時に、戦況を有利に進めて前進していた前の魔族たちが一瞬で宙を舞い、カリオスの近くに落下する。
「ッ!?」
それに彼は驚き、慌てて意識を戻して構える。
その先からは、
「やぁ~っと出番なのねぇ」
そう短い、癖っけのある髪の女性は目を伏せて笑い、
「といっても、兵士長の独断らしいですからね。あの国王はホントに正気なのかどうか……」
隣りの男はため息交じりにそう言って、剣を抜く。
ほかの兵士たちと比べて、その二人だけ恰好がおかしかった。いや、纏っている雰囲気も違う。
ドルンの兵士たちは鋼で身を包んでいるのに、その二人はローブを主とした胸当てともいえる格好をしている。明らかに軽装だ。
明らかに防御面で劣っているその格好。しかしカリオスたち魔族にはその鎧に刻まれている紋章を見て顔を青くする。
「ヴォールの……しかも鎧って……」
そう誰かが口を開く。それが聞こえたようで、魔銃を持った女性はニヤリと陰湿な笑みを深める。
「ご名答。先行魔法騎士団所属『クラハ』よ。よろしく」
そう言うと彼女は銃口を魔族側に向け、
「さあ。ここからが本番よ」
引き金を引
「おっと!」
指をかけたところが彼女は後ろにバックステップする。そして今までいた場所を何かが一瞬通っていく。クランの弾だ。
それにクラハはニヤリと獣染みた笑みを浮かべると、
「……そこね」
それの飛んできた方に走る。しまった、とカリオスはクラハの行こうとしているところに急ごうとするが、
「『疾風の雷光』」
その前に稲妻が駆けていき、彼女に飛びかかる。
繰り出されるのは稲妻で加速した跳び回し蹴り。それにクラハは銃口をむけると、引き金を引く。
衝撃と衝撃の衝突。
その二つは当たった後の相殺し合い、二人は間合いをとって見合う。
ブリッツは刃を構え直すと、
「クラン、こっちはかまうな! お前は周りの面倒を見ろ!」
そう手短に言うと、稲妻を纏って戦闘態勢をとる。それにクラハも獣の笑みのまま何も言わずに敵を見て対峙する。
その様子にケージはめんどくさそうにため息を吐くと、
「魔法を使った方が早いのになぁ……まあいいか。前線の皆さん! とりあえずできる限り後退してほしいです」
と呑気に前線に声だけかけると、特に確認もせず魔法を執行する。
「『罰の足枷』」
その魔法を唱えた瞬間、前線の敵味方関わらず全員の体が何倍にも重たくなる。
そしてその場に全員崩れてしまい、何人かは気絶する。
「ふむ」
その様子を見て彼はもう少し強めようか考える。パッと見現在、意識を保っているのは三分の二といったところか。この数は敵も味方も合わせて、残っている有象無象が三分の二ということだ。
せめて半分は倒れてほしいところだな、と彼はより魔力を込め、出力を上げようとする。
が、
「やめろっ!」
「!?」
そう叫んでカリオスは彼に向って地を蹴り、その魔剣を振るう。
誰も動けないはずのこの中で飛びかかってくる者がいようとは、彼は思いもしておらず、とっさに魔法も消して後ろに飛び退く。
そして落ち着いた後興味深そうに彼を見て、
「……君、それ『魔剣』か」
なるほどなるほど、と納得して剣を構える。
「なら魔法が効かなくても不思議じゃないね。きっとそれの効果だろ?」
「……」
ダンマリなカリオスにケージは「アハハ……」と困り笑いをし「ならこれしかないね」と剣を構える。
それにぐっと緊張度が増す。相手は先行魔法騎士団。カリオスの中では一番関わっちゃいけないものの部類に入る。
それと一対一とは。
ごくりと気づかれないように唾を飲んだ。