表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少年カリオスの冒険の書  作者: 梅雨ゼンセン
第三章 『十字に仇なす怪物たち』前編
26/122

インテレッセ・ベルディーテについて

「……どうしたのアニス? 急に頭が良くなったみたいに話し出して……」

「やばいぞ、酒のせいで変なスイッチが入っちまったみたいだ。こんな時間に医者なんてやってねえぞ!」

「はいそこ! さっきまでの空気は?」


 まったく、とアニスはため息を吐く。それを見てレオンが、


「俺の気持ちが分かったか?」


と皮肉じみた笑みを向けると、彼女はフンとそっぽを向いてしまう。カリオスは慌てて彼女の機嫌をとる。



      しばらくお待ちください―――――



「……で、話を戻すけど、」


 アニスはコホンと咳払いする。


「その人に関する情報を集めてほしいの」

「は? 集めてどうするの?」


 カリオスは彼女の話に大きな疑問を抱く。

 死んだ人の情報を集めて、何になるというのだろう。そこでレオンがフッと鼻で笑う。


「そいつの遺産、的なものが目的だろ。それだけ言われる魔法使いだ。何か恐ろしい力を持った道具を作ってたに違いない」

「なるほど! じゃあその人が大事にしていた人とか当たってみる感じかな?」

「お、冴えてんじゃねえか! その受け取った子孫が宝物を持ってるってのは良くある流れだな! なら明日はその線で探っていこう!」

「二人で盛り上がり過ぎよ!」

「「宝探し(トレジャー)は男のロマンだぜ!」」

「息ピッタリ……引くわ~」


 と、そこではぁとレオンは一息を吐き、


「で、本当にその流れであってるのか?」


 アニスに確認をとる。

 彼女は頬を膨らませて、彼を睨む。


「まったく違うわよ!」


 と枕に手をバンバンと叩きつけ、


「本人を探すのよ! ほ・ん・に・ん!」

「死体を探すの?」


 それにカリオスは冷静に返す。そして、


「動物は大丈夫だけど、人間はごめんだよ?」


 顔を少し青くする。それにレオンが反応し、


「お前、村で明らかに殺しにかかってきたよな?」

「あ、あれはみんなを逃がそうと思ってたかつい……ごめん」

「まあいい。特に気にしてないしな」

「ありがとう」

「インテレッセ・ベルディーテは生きてるわ」


 もう構わないようだ。

 少し寂しげな二人を無視して、彼女は続ける。


「すでに彼女は不老不死を手に入れている、というのがお城の書庫にあったものに載っていたわ」

「それは確かなものなのか?」

「不老不死って言うのは言い過ぎの可能性があるけど、記録では大戦終了までいたとされているわ。魔法が完成したのは大戦よりも昔なのによ?」

「まじかよ……」

「正気度もっていかれそうな話だね……」


 二人の背中に寒気が走る。

 しばらく部屋に沈黙が下りる。

 突拍子もない話にその場が凍り付く。

 コホンとアニスは咳払いをすると、


「大戦の後、彼女はヴォールから姿を消したわ。というわけで明日から彼女について調べることにします!」


 それで再び空気が動き出し、二人は頷く。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ