最終入学試験
「これより最終試験をはじめる。この試験をクリアすれば、君は晴れてこのシュテルネリーベ女学園への入学を許可される。心してかかれ」
荒れ果てた市街地の一角に、一つの人影があった。
その人影は、確かに人間と同じ形の影を持っている。
しかし、人間よりも遥かに巨大でその高さは6mはあるだろう。
「今作戦の目的を通達する。敵はハイマットタイプ4騎の一個チーム。武装は全騎12mmバーストライフルとウェーブブレードだ。達成目標は規定時間内の生存――分かったか?」
空には厚い雲が流れてくる。
この調子だと雨が降るだろうか――――?
私は聳え立つ巨人――機甲装騎と呼ばれるその中で、無線を通じて聞こえてくる声を聞きながらそんなことを考えていた。
機甲装騎――それはチャリオットに対抗する為、十数年前に現れた人型兵器だ。
歩兵の防御力を向上させる為、その鎧を肥大化させ、その補助の為にチャリオットに使用されていた魔電力機関と呼ばれる動力源を使用したのが始まりのこの機甲装騎。
人型である為、人の精神力を糧とする魔電力機関の効率が良く、チャリオットよりもより大出力。
そのお陰で、空想上の産物であった電磁誘導を利用した投射装置――銃の実用化が可能となり、その圧倒的火力と攻撃距離からチャリオットを完全に駆逐し戦場の主役となった。
「おい、聞いているのか候補生!」
「はい、聞いてます――――」
「聞いているのなら、達成目標を復唱しろ」
「達成目標は、規定時間内の生存――ですね?」
「そうだ。では、始めるぞ」
「諒解です」
私は静かに深呼吸をする。
衣服を着用するように、その身に纏ったモーションマネージャの感覚が心地いい。
今日は――調子が良さそうだ。
「それでは、最終入学試験――――開始だ!!」
その声と共に私の目の前にあるディスプレイが知らせた。
私の収まるこの巨人が戦闘態勢に入ったことを。
「スパロー――――行きます」