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怒るの? 泣くの? みっともないね。

作者: 草林

あれくらいで怒るなんてみっともない。

マキは子供っぽいって思う。

いつも必要以上の笑顔を作って応対してくるし、子供としか思えないよ。

先日もね、私がちょっとばかし遅刻をしたぐらいで、マキは私に水を掛けてきた。

3時間ぐらい水を掛けたられた所で、私は、「いい加減にしてよ!」と怒鳴った。

でもマキは、必要以上の笑顔で水を掛け続けてきた。

上から水を掛け続けられると、息苦しい。

それでゲホゲホって咳き込んでしまった。

そしたらマキが、「大丈夫? もしかして風邪気味なの」って、体温計を持ってきた。

「これで計って、風邪と言ってくれたら美味しいものでも作ってきたのに」と優しい言葉を掛けながら、体温計をお腹や胸に差し込んでくる。

痛い。痛いよ。

使い方がおかしいよ……そんな言葉を吐きたかったが、何でか声に出せない。

声に出せないけれど、痛いし、とっても憎々しい。腹が立つ。

私は声を出せない分、強い力で、マキのほっぺたをつねった。

絶対痛いはずなのに、マキは平然と笑顔だった……。


数日後。

今度はマキがちょっとばかしの遅刻をしてきた。

だから私は仕返しに、水を掛け続けた。

マキは苦しそうな顔をしながら、「辞めてよ。許してよ!」と叫んでいた。

マキがすごくイライラしている。

それで私はビタミンCのサプリメントを持ってきた。

マキの口の中に、袋を開けて思い切り流し込む。

一瞬で口の中がサプリメントだらけになった。

これでイライラも解消できるねと思った時、マキは全てを吐き出した。

「ふざけないで! 私を怒らせないで!」と怒り出した。

これくらいで怒るなんてみっともない。


こうやって私たちは数日交替で、お互いを怒らしたり、泣かしたりと楽しんでいる。

遅刻した方が負けで、先に会社にいる方が勝ち。

そんなゲームを毎日楽しんでるんだ。

たかがゲームなんだから、怒るなんてみっともない。

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― 新着の感想 ―
[良い点] マキを通して見られる表情の明暗が、こころをくすぐる素晴らしい小説。 [一言] 喜怒哀楽の表情を奔放に見られる、 とても面白い『遊び』なのでしょうね。 ふたりの愉しげな活き方をありのままに覗…
2014/01/26 13:47 退会済み
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