ある夏の日
序章
人を好きになるってどういうことになるのか、全く分からなかった。恋愛よりも本のほうに興味があったから。そりゃぁ、本を読んでこんな恋がしたいとか、こんな彼氏がいたらなぁと思ったこともあったけど。まさか、自分がこんな恋愛をすることになるなんて、一体どうやったら想像できただろうか…?
「あっつーーーい!いつのまにこんなに日本は熱くなっちゃったの!!??」優亜がロングの髪をまとめながら髪を上げた。
高校1年生蒼井 優亜はこの春地元の進学校・蒼星学園に入学した。優亜は小さいころから塾に行っていたため、両親からこの進学校に入ることをずっと望まれていた。必死に猛勉強のかいもあり、友人の碓井 星来と一緒に入学できた。
「ほんっとに。あたしたちが小学生のころに比べると随分熱くなった気がするよ。」
星来が優亜に返した。星来もセミロングの髪をまとめながら話した。
優亜は小さいころから本が好きで空き時間さえあれば本を読んでいた。そのため、他の女子よりも少しずれているところもあり、特に恋愛に関しては全くと言っていいほどだった。
対照的に星来は恋愛に興味があり、高校に入ってからさらに彼氏を作ろうと頑張っている。
「で、それよりもな・ん・で夏休みなのにうちの高校は今年から勉強合宿なんて馬鹿な真似をするわけ!?普通高校生の夏って言ったら彼氏と遊びに行ったり、友達と海に行ったり、買い物したりするものでしょ!それをなんでコンビのもない山の中で1週間もつぶされないといけないの?」
と星来が怒り気味に話した。
「いや、あたしも説明会をよく聞いてなかったのが悪いけど。いくらあたしたちのためって言っても、最終的には国公立の進学率上げたいだけだからねぇ。」
優亜があきれるように答える。
(合宿の準備もしなきゃだし、めんどくさい)
この高校今年の夏より1週間勉強のために合宿をするという。しかもそれが成績に響くため、生徒は強制と言っていいほど参加となっている。
優亜は真夏の空を見上げた。
まさか、この合宿であんな事が起こるなんて全く想像していなかったからだ。