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溺愛されし彼の人  作者: 椿ノ華
第二章
6/10

6  つかの間の再会③

 茫然と立ち尽くすあたしに気付いたリーヴェマールは、フェルアーダを置いて来てくれた。

「どうかしたゆり?」

「ねぇ~リーヴェマール……あたし……また死んだの?」

 ゆりの意外な言葉にリーヴェマールはきょとんとしたままだった。

「だってね、あたしこの前目覚めた時、美形な二人組が居て、抱っこされた状態から走りまわされて、空中に投げられて、落ちた……んだよね。その後の記憶はまったくないのよ。あの二人が両親だったらどうしようって悩んでいたのに……。名前だってユリハだって分かったんだけど。生前と変わり映えしない名前なのよね、ユリハって。馴染みある"ゆり"が入っているから新しい名前も好きになれそうだったんだけどなぁ~。それにここは天国かどこかなんでしょ?リーヴェマールもフェルアーダもいるから、天国じゃなくて……神々のナントカって所なんでしょ?生まれてすぐに死ぬって……どんだけ親不孝で運がない。ごめんね、リーヴェマール。あなたたちの加護や恩恵を貰っていながら、不運で命を落としてしまって……」

 あたしの話を黙って聞いてくれるリーヴェマールといつの間にか傍にいたフェルアーダ。二人とも微妙な表情を浮かべていた。何を言ってるんだコイツっていう可愛そうな子を見る眼差しと、あたしの話を理解しようと試みる真剣な表情。二人の真剣な表情しか見えていなかったあたしには「やっぱり死んだんだ」という事実を確認していた。

「ねぇ~フェルアーダ…ゆりは何を言ってるのかしら?」

「さぁ~?私には人の考えていることはよく分からないが……人という観点からみれば、リーヴェマールの方がよくわかるだろう」

「……フェルアーダよりは人のことは分かるけど……」

 ゆりの長い独り言はまだ続いていたが、リーヴェマールの澄んだ声で、独り言は終わりを告げた。

「ゆりは死んでないわよ。まだ生きているわ」

 思わぬ答えにゆりは、リーヴェマールを凝視した。そしてリーヴェマールの言葉を反復した。

「死んでない…の?」

「そうよ。まだ生きているわ。それにここは神々が住まうアクア・ジィ・ドヴォールじゃないし」

「ここはどこなの?」

「ここは夢と現実の間のようなものだ」

 中途半端で分かりにくい答えをくれたのはフェルアーダだった。意外にもフェルアーダの顔に困惑といった表情が浮かんでいた。

「ここはゆりの夢の中だと思ったらいいわ。本来なら起きている時に会いたいんだけど、それはちょっとまだ無理みたいだからね。夢の中なら自由にゆりに会いに来れるの。毎日は………」

「無理だな。他の目がある」

「だそうなの。でもたまになら許してくれるみたいなの」

「……えっーと、一度整理していい。ちょっと混乱してるから……」

 二人に断りを貰うと、一つずつ疑問を解消していった。

「前起きた時に落とされたのに、何ともないのはどうして?」

「それはわたしの恩恵と加護、フェルアーダの寵愛のおかげだと思うわ。無意識に風たちに守られたんだと思うわ」

「風って?」

「風の精霊たちのことだ。この世界には火、風、水、土、木、光、闇と7大精霊たちがいる。この精霊の他にも沢山の精霊がいるが……それは今は省く。精霊たちは神々の恩恵や加護、神力や魔力を受け存在している。各属性に従い神や女神の直属の支配下に居るのだが、私やリーヴェマールの存在はそれ等より遥かに上位に存在するため、私たちに溺愛されているゆりの存在は、精霊たちにとっても特別な者となり、無条件で守ったり、力を貸したりする。本来なら契約し代償として魔力を差し出す。魔力の比重によって精霊たちの影響力は違うが。

 魔力というのは私の力の一部のことだ。この一部は全世界に空気のように漂っている。神力というのは、人が神々を信仰する想いのことだ。この想いが多ければ多いほど、神々の力は増すし成長も早い。リーヴェマールを見れば分かるだろう。前は幼女だったが今は成長した。これは信仰の想いのおかげ。もう少しすれば昔の姿に戻ることも叶うだろう」


 今いる世界について講義を受けながらゆりは違うことを考えていた。


 精霊がいて、魔力があるってことは、日常的に魔法を使うってこと?リアル魔法な生活!?

 あたしにも使えるかな?使えたらいいな!絶対使いたい!!

 ……神や女神がいる所からファンタジーな世界にいることを察するべきだった……。目の前の美形フェルアーダが創造主なんだから。あたしの常識(生前の知識)で物事を言ったり、行動したら、変人と思われる可能性有りってことかもしれない。これは気をつけなきゃ!!!

 夢じゃなく……本当に異世界に居るんだ……それなら……人間以外の種族がいてもおかしくないってことね。有名どころで美形のオンパレードなエルフやドワーフ、獣人や猫耳な可愛い子とか。翼をもった人とかもいるかな?


「……寵愛と溺愛、恩恵と加護を持つゆりはすべてに溺愛されるだろう」

「ゆりはわたしだけに溺愛されればいいのに」

「リーヴェマール。人には人の生き方がある。世界にも、だ」

「分かってるわ。ゆりのおかげで成長出来てるし、神力も戻りつつあるもの」


 世界講義が終わった後、あたしとリーヴェマールとフェルアーダの三人は時間が許す限りいろんな話をした。

 もっと詳しいく世界のことを聞いたり、人以外の種族のことを聞いたり、神々のことを聞いたりと、本当にいろんな話をした。

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