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溺愛されし彼の人  作者: 椿ノ華
第二章
5/10

5  つかの間の再会②

長らくお待たせしてすいません<(_ _)>


 ふわふわと漂う感じが気持よくてこのまま眠っていたいと思う。意識は起きているけど、身体は休息を求めているような感覚でいると「くすくす」と笑う声が聞こえた。どこかで聞いたことのある声にゆっくりと瞼をあけた。

「よく寝ていたわ」

 そこにはリーヴェマールによく似た17~18歳の子がいた。彼女は嬉しそうに微笑んでいた。その微笑みだけで辺りが明るくなり、花が咲き誇った。一瞬の出来事に一気に目を覚ました。そしてもう一度辺りを見渡すと、色鮮やかな花々が遥か彼方まで咲いていた。

 上を向けば真っ白な空らしきものがあるだけで、雲も太陽もない。耳をすませば、何も聞こえてこない。風の音も、生き物の音も聞こえてこない。無音な空間があるだけだった。

 無い無い尽しの空間に不安を思えたけど、目の前の彼女の慈愛に満ちていた微笑みに心が温まるような気がした。そして彼女の「おはよ、ゆり」との声に安堵をした。

 嬉しそうに微笑むのは幼かったリーヴェマールと同じ微笑み方だった。目を細め、頬を赤くし体中で嬉しいことを表すように微笑む。目の前の彼女はリーヴェマールそのものだと直感が断言した。

「おはよ?リーヴェマール」

 彼女の名前を呼んだ瞬間からまた周りの景色が一変した。

 無音の空間が静寂へと変貌した。

 辺りは先ほどの色鮮やかな花々に加え、小さな人らしきモノが飛び交い、花びらが空に舞う。小さな人には透明な蝶の羽が付いている。よく絵本にある妖精と同じ姿に言葉を忘れた。

 上を見上げれば、真っ白だった空に青色が加わり、雲が、太陽があった。太陽の温もりを感じながらリーヴェマールと見つめ合うあたし。その顔には驚きを越してどんな表情をしていいのか困った色を浮かべていたに違いない。

 だって、一瞬で夢のような、おとぎ話の世界に変わったんだもの。


「起きたのか?」


 リーヴェマールの背中から現れたのは、「世界の意思」と言った創造主のフェルアーダ。前会った時と同じように光り輝く銀色の長い髪をなびかせて、大海を思わせる紺碧色の瞳に感情を見せないでいた。変わったのは、端正な顔に表情があったことだ。微かに嬉々とした感情が見える。その理由があたしなのか、リーヴェマールなのかは分からないが、端正な顔に無表情で居られるよりは遥かに良い事だと思う。

「長く寝ていたようだが、不調はないか?」

 あたしの顔を覗き込みながら声をかけるが、無情な端正な顔=美形は眩しかった。いや、キツかった。

 この前目覚めた時と同様、美形が現れる確率が高すぎる。遠くから眺めるには美形さんたちは「もって来い!美形!イェーイ、眼福!!」となるが、目の前に、しかも自分に関わりがあるのははっきりいってキツ過ぎる。出会う人たち皆、無駄に美形過ぎるのだ。

「どうしたゆり。どこか不調があるか?」

 心配そうに見つめながら手を伸ばしあたしの頬を撫でたその瞬間、ゾクゾクと体中に鳥肌が立ったまま固まってしまった。

「違うわ。フェルアーダ、ゆりから離れて!!!」

 固まったあたしを守るようにリーヴェマールの行動は早かった。

「リーヴェマール?」

「いいから、早くゆりから離れて!!!」

 渋々というか、嫌々というか、フェルアーダはあたしから離れてくれた。よかった。あのまま目の前に居られたら気絶するかと思った。ハンパない輝きは目に毒だ。

「フェルアーダはイケメンなんだから、ゆりから程よく距離をとって話して」

「いけめん、とは?」

「イケメンっていうのは……アレよアレ。えっと……なんだっけ……ゆり」

 どこか楽しそうに見えるリーヴェマール。どこか楽しくなさそうなフェルアーダ。二人の視線を集めているあたしは思わず答えたのは「無駄に美形な男性のこと」とだけ。その答えにリーヴェマールは納得し「そうなのよ。イケメンとは無駄に美形なことを言うのよ!!」と胸を張って言いきった。

 答えをもらったフェルアーダの納得はイマイチで「私は無駄に美形なのか?」とさらに疑問を深めていた。フェルアーダの疑問にリーヴェマールは一つずつ答えていく。しばらく二人の質疑応答は続いていた。

 残されたゆりはしばらく二人を眺めていたが、『ここがどこなのか?』、『どうしてここにいるのか?』、『なぜ二人が揃っているのか?』と様々な疑問が浮かび上がった。


 ゆりは思い出していた。


 たしか、美形な二人組が居て、抱っこされた状態から走りまわされて、空中に投げられて……落ちた……。

 どこに?

 どこに落とされたの?……っていうか……あたし……また死んだの?……。


 とんでもない結論にゆりは茫然とした。

※イケメン=無駄に美形は椿ノ華の個人的な意見です。

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