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溺愛されし彼の人  作者: 椿ノ華
第一章
1/10

1  大切なもの

 初投稿で初小説です。

 至らない所や読みにくい所もあるかと思いますが、広い心でご覧下さい。

 暇つぶしに軽くご覧頂くと嬉しいです。



 リーヴェマールは暗く何もない場所で、いつものように彼女を見つめていた。

 彼女と話すには、時が重ならなければならない。今はその時ではなかった。

 リーヴェマールは一人で飽きることなく見つめていた。そこへ姿を見せたのは、創造主であり、世界自身でもあるフェルアーダ。

 リーヴェマールの夫にして、唯一無二の存在。

「また見てるのか?」

「…………」

「飽きないのか?」

「…………」

 一心不乱に彼女を見つめるリーヴェマールにフェルアーダは苦笑するしかなかった。彼女に対して嫉妬や妬みなどの感情を持ち合わせていない。

 最愛であり、半身であるリーヴェマールを見つけ出し心を癒した存在の彼女。自分では成しえなかった。

 存在が余りにも大きく異質だった故に一人孤独を強いられたリーヴェマール。人々からも他の神々からさえ存在を忘れ去られてしまった。そのために姿を幼女へと変えた。

 リーヴェマールとフェルアーダは彼女を見つめた。



 彼女は昼食を終え、同僚と楽しそうに歩いていた。

 オフィス街をゆっくりと行き、たわいのない話を楽しんでいた。

 その様子にリーヴァマールは自分のことの様に楽しそうに微笑んでいた。リーヴェマールが楽しそうにすれば、フェルアーダも自然と楽しくなる。

 二人の間に流れる優しい時間を満喫していたが、突然終わりが訪れた。

 彼女に向かってトラックが向かって行った。

 すべては一瞬の出来事だった。

 彼女達に向かって行ったトラックは、ハンドル操作を誤りショーウィンドへ激突した。ショーウィンドの前を通っていた彼女達を含め数人が巻き込まれた。

 周りが慌ただしく動く中、事故が起こった場所には真新しい血溜まりが出来始めていた。それは、命の灯火が少なくなっていることを物語っていた。

 一部始終を見ていたリーヴェマールは発狂し出すかのように絶叫した。傍にいたフェルアーダはリーヴェマールを抱き締めるが、治まらない。

 リーヴェマールが唯一孤独を埋めた存在が、いなくなる。それは、リーヴェマールが狂い始めることを物語る。一人で耐えていた時間を考えれば、狂い始めなかったことが奇跡に近いことだった。

 リーヴェマールの絶叫と共に辺には神の力が溢れ出始めていた。

「落ち着け、リーヴェマール」

 絶叫し錯乱しているリーヴェマールには、何も聞こえないでいた。

 ただ悲しみだけが身体中に溢れ、涙がとめどなく流れていた。

 世界が違えど、命ある者はいつかは安息の日を手に入れる。そうだと分かっていても彼女の安息の日はまだ先で、いつでも会えると思っていたのだ。それだけが楽しみだったリーヴェマールの悲しみは深い。

 フェルアーダは、苦肉の策として強引に眠らせた。

「ゆ………り………」

 意識を失う寸前まで、リーヴェマールの心を占めるのは、彼女の事だけ。

 フェルアーダはリーヴェマールを抱き締めると、ある決断をした。

「…望むのならば…」



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