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櫻の樹の下で  作者: 赤司 恭
櫻の樹の下で、君と出会った。
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想ヒ人 ココロノソコ

結局抜糸までしようと、悠人が言い出し予定より3日オーバーで、英国を発った。

風呂の中でのリハビリが効き目があるらしく、早速湯船でゆっくりとストレッチをして、松葉杖の練習を始めるとやおら松葉杖を離して立つ。


「ヴィ…立ててる!」


「うん、ちょっと浮いてる」


床から1cm程浮いているのだとか、悠人の言葉に六花は苦笑をするしかない。

明日からは出社する予定で、今日の夕方は近所の整骨院で足の調子を見て貰う予定なのだ。

国家資格の整体免許と鍼灸の免許を持ったスタッフが勢ぞろいで、何かと六花と悠人も肩こりでお世話になっていた。




朝社に出社した時間は、通常の時間帯より少し遅め。

ロビーに入ると松葉杖の悠人を、珍しそうに受付嬢が一瞬みたが直ぐに立ち直り、綺麗に礼をした。


「来たか」


エレベーターで到着するなり、腕を組んで仁王立ちした青山が立っていた。

秘書課の男性秘書も一緒にいて、左右からガッチリと腕を抱き込み、そのまま持ち上げて勢い良く会長室へと連れて行かれるのを六花が、心配そうに後ろから付いて行く。


「んで?その松葉杖の原因は?」


非常に言いにくそうな顔で、もう一人の男性秘書をチラリと見上げる。


「あぁ君、戻って良い」


ペコリと礼をして部屋を出て行ったのを確認し、少し座りなおす。


「…拉致された。」


「はぁ?」


「ヴィ、違うよ。」


六花が暖かいお茶を並べて、悠人の後ろに立つ。


「ほらみろ、嘘付いてるんじゃないか。」


「拉致と監禁と傷害でしょ?減らしたら駄目よ。」


その言葉に青山が青ざめる、2人を見比べてあんぐりと口を広げたまま。


「青山には、サイキックの話をしたね?まぁそれ関係なんだけど、僕に協力依頼が来て断ったらOK貰うまで出さないと言われてね」


「出さないって、その前に誘拐されているのか?」


「会合の帰り、車を襲撃されてねぇ」


「マジかよ…。」


「逃げたけど、広い庭で警備員大量投入で捕まるし、逃げない様にアキレス腱切られるし。ちなみに、術後8週間で通常に戻るらしいよ?」


「しばらくは、会食はテーブル席で受けるわ」


ありがたいやら、ありがたくないような申し出に苦笑して頷き、仕事に戻る青山の後ろ姿を見送った。



「会社の重役さんには、青山さんどう説明するのかしらね?」


「そのまま言ったら混乱するに決まってるし、いいとこ交通事故かもね」


3日で戻る予定が、驚くほど延びた。悠人は松葉杖を難なく操って、席に就き山盛りの書類の1枚を見て仕事を始める。六花も仕事を始めるが、どうしてこんな目に悠人が遭わないと駄目なのか、その考えが頭にあり仕事に身が入らない。


コーデリアの歪んだ思考を、許せなかった…。


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