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櫻の樹の下で  作者: 赤司 恭
櫻の樹の下で、君と出会った。
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想ヒ人④

一部不快な描写があると思います。

失神した悠人が目を覚ますと、来た時と同じ部屋だった。


体中が酷く痛く、口の中が気持ち悪くて吐き出すとどす黒い血だ。両手を拘束されていて、壁を背にして起き上がるのも体中の痛みで一苦労だ。


手にある指輪をなぞる、六花はどうしているだろうか?ダウェル家はここを探し当てられるだろうか?伯爵位のブロデリック家は、別邸を幾つも所有しているのは知っている。



どうにかして、ここを知らせたい。



何時間その態勢をしていただろうか、ドアが開くとダレルとブロデリックのお嬢様と、いかつそうな男性が3人入室してきた。


「ご機嫌いかが?もう逃げるなんて事されませんよう。次はありませんもの。」


その言葉が言い終わらないうちに、いかつい3人のうち2人が悠人の体を床に体を転がし押え付け、1人が悠人の口にさるぐつわをした。


「悪く思わないでくださいよ」


ダレルがそう言うと、さるぐつわをした人間が悠人の背にまたがりもう一人がももにまたがった。


足首を露出され、ヒヤリと冷たい感触の後にビリビリと酷い痛みが走り、痛みで悠人は叫んでいた。




名前を思い出した、ブロデリックの御姫様。名前はコーデリア・エセル・ブロデリック、若いのは執事のダレル・リオン・カーだ。


庭から見えた景色は、都会だった街のシルエットが見えたような気がする。

悠人は、蒼太の執務室を思い浮かべそこで唯一の白い壁に、何度も何度も自分の足から零れる血で名前を描いた。その腕は拘束具もなく、足元に沢山ある自らの血を使い消えないように、何度も何度もなぞって描いた。


執務室には、皆が居て悲しそうな顔をしている。


六花もいて、手にはアロマの箱…あぁ良かった割れなかったんだね。


アーネストもレオンもいる、フィーも遠い自宅から駆け付けてくれたのだろう。申し訳ないと頭をなで、六花を後ろから抱きしめて頬にキスをした。


もう駄目かも知れないそう思ってると執務室も皆も薄れて行く、ただフィーは目を見開いて確実に悠人をみていた。





「ヴィ!」


何か温かい感触が頭にして、フィーが目線で室内を辿ると六花の頬にキスをしている悠人の姿が、一瞬見えた気がする。


「なんだこれ?カメラカメラ!」


蒼太が慌てて引き出しからデジカメを取り出し、唯一の白い壁に浮き出た血文字を全て撮影した。

やがてその文字は薄くなり、壁は元の白いただの壁になっている。


「なんなんだ?」


皆あっけにとられている。


「何をぼーっとしておる!文字が出たなら指示を出してこんか!」


ローズの言葉にハッと我に返り、蒼太は慌てて外に飛び出していく。


「さっき…ヴィがいたぞ、六花にキスしていた」


頬を指差して、トントンと叩くと六花は嬉しそうに微笑む。


「んじゃ俺達、その場所に行ってくる。ばーちゃんとオバチャンは、ここで居て?」


アーネストの言葉に、ローズもキャロラインも静かに頷いた。


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