想ヒ人③
「ヴィが!」
六花は書類を危うく落とすところだった、アーネストとレオンが心配そうな顔をしている。
「今飛行機押えたから、一度戻って直ぐにダウェル家に行く。分かったな?」
アーネストの言葉にコクコク頷き、青山に事情を説明している間に帰宅の準備をする。青山は酷く驚いており、社長他重役に連絡は任せておけと言う。
「絶対連絡よこせよ?」
その言葉に、3人は頷き2時間後には機上の人にとなった。
「六花ちゃん、アーネスト、レオン! 遠いのにありがとう」
キャロラインと美桜に抱きしめられ、ソファに座らせられる六花。微かに震えているのだが、気丈にも迎えた2人には分からぬようふるまう。
「今、ウチの手の者が足取りを追っている。」
「奥様、フィー様が到着です。」
メイドの後ろにいた女性が、急いで部屋に入ってきた。緑と青のオッドアイ、そしてアッシュブロンドまるで女性にした悠人だ。
「フィー」
「遅れてすまない、最後にヴィと喋った者として一緒にいたいのだがいいか?」
ローズがコックリと頷く、そしてフィーの視線が六花にピタリと釘づけになる。
「…スノーホワイト、もしかしてリッカ?」
フィーの言葉に六花が頷く、それを見てテーブルにあった小さな箱を見つけると手に取り六花に手渡す。
「ヴィが、前回会った時に貴方の話ばかりするんだ。アロマオイルの質の良いので、体に悪いの入ってないの知らないか?って。それで私が作って、ヴィに昨日渡した。」
「ヴィ…が?」
手にした小箱を、愛おしげに撫でる。
「そう、今度の会合の時に私と貴方を会わせたいと。 そのオイルも、貴方が喜ぶだろうと嬉しそうに抱えて帰ったんだ。」
ポロポロと六花の目から、大粒の涙が零れるそれをキャロラインが、ゆっくりと背を撫でてやる。
「奥様昨日の件ですが、ピーターと悠人様が襲撃されたのを、見ていた人間がいた模様です。どうやら人相と、車のエンブレムからしてブロデリック家の者かと」
「人間の特徴は?」
「黒の髪の短髪、背の高い若者。 人相は分かりませんが、車に居た人間でプラチナブロンドの、若い娘がいたそうです」
ふむ…と、ローズは押し黙ってしまう。
「ブロデリックの人間で若い女性、それでプラチナブロンドならコーデリアさんよ」
キャロラインの言葉に、ローズが目を見開く。
「そうかね」
「そうですわ、あとはどの家にいるかを絞らなくてはね」
キャロラインの目に気づいた執事長は、さっそく調べるために部屋を出て行った。




