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櫻の樹の下で  作者: 赤司 恭
櫻の樹の下で、君と出会った。
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ゆき。

短くてスイマセン…、小話デス。

凄く凄く寒い日だった、庭に出ると白い息が濃く出て一足ずつすすむ足元は、うっすらと雪が降り積もっていた。


両手でお盆を持ち、闇夜を見上げれば白い白い結晶が上から引っ切り無しに降下してきて、その様に悠人は口角を上げる。


お盆に雪がうっすら積って、ポケットから何か液体を取り出しお盆の上に何かかけて行って、別のポケットから小さなアクリルの破片を取り出し、慎重に乗せて行く。



「ヴィ何しているの?」



翌日また夜に雪が降った、池の周りで佇む姿を縁側から降りて慎重に歩けば、滑らないようにと手が伸びて来て六花はしっかりと握る。


そのまま離れの縁側に近寄って、庭の街灯を見つけて立ち止まる。


「六花にあげる」


手…と言われ、両手を差し出せば1センチ弱の透明の塊がコロコロと零れる。


「なぁに?」


「街灯に透かして御覧?」


コテンと首を傾げ、楽しそうに見つめる目は優しい。六花はその顔を見て、小さな塊を光に透かす。


「…あ!もしかして」


「何?」


手のひらにあるのを、幾つも光に透かし、満面の笑顔になっている。


「雪の結晶!どうしたの?」


「作った、雪降るって昨日言ってたし。六花の名前は、コレの事だしね」


チラチラと降る雪を、六花の髪や肩に落ちるのをそっと払う。そのまま肩から手まで滑り落ち、冷えて来た手をぎゅっと握りしめる。


「冷えて来たね、そろそろ帰ろうか?」


「うん、ヴィありがとう!大事にするね?」


くりっと振り返り、繋いだ手を引き寄せて六花は「ちゅ」と可愛らしく悠人の頬に、キスをするのである。


恥ずかしくて上目づかいに見上げると、それはそれは華の綻ぶような笑みが浮かんでいた。


六花りっか」は、雪の結晶の別名なのであります。


アクリル板に、結晶乗せて溶液を乗せて更にアクリル板を乗せれば、雪の結晶のレプリカができまーす…って、知ったので。

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