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櫻の樹の下で  作者: 赤司 恭
櫻の樹の下で、君と出会った。
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あいば。 ①

某アイドルグループの人じゃなくて、愛馬デス。

自室にて涼しい夜気を取り入れて、まったりとTVを見ている。

2人お気に入りの籐のソファに、背後から悠人に抱きしめられるようにして、六花はとある番組を見ていた。


腹に廻した手を、恋人握りにして首筋に顔を埋める悠人は御満悦、時折くすぐったそうに六花が身をよじるのだが…。



「ヴィ、おうまさん出てるよ。可愛いね♪」


「栗毛だね、隣は青毛。」


栗色の馬の隣には、漆黒の毛を持つ馬。青じゃなくて黒だよ?と見上げれば、馬の世界では青って言うんですよと返ってくる。


「イギリスの時みたいじゃなくて、ヴィ達みたいにちゃんと乗れたら楽しいよねぇ」


「乗ってみたい?」


「近くにあったっけ?乗馬クラブって、お金かかるでしょ?」


「最近行ってないけど、和奈城ぼくんちの馬が3頭いるけど?休日にレオンとアーネストが乗ってる。」


「見たい!触りたいー!できれば、乗ってみたーい!」


クリっと身を入れ替えて向かい合う形の六花は、目をキラキラさせて悠人を見上げればNOとは言えない。




「やーっと自分の馬、持ってる事思い出したか?」


真っ黒に日焼けして、白髪を後ろで短くくくっている壮年の男性が、顔を見るなり悠人に言い放つちなみに手は、腰である。


「放置じゃないでしょ?レオンとアーネストが、乗りに来ていたでしょ?」


納戸から出してきた乗馬用のブーツと、鞭を手にして悠人は苦笑しつつ駐車場を移動する。

着替えを入れたトートバックを持って、後ろから付いてくるのは六花と苦笑しているレオンとアーネスト。


「どちらさまなの?」


白髪の人を、目線で見ればレオンが笑う。


「このクラブのオーナーさんだね、ヴィの親父さんの友達だそうだよ?」


クラブハウスは、英国に出てきそうなお洒落な感じのログハウス。テーブルセットがあって、喫茶のみも出来て馬場が見える面はガラス張りになっている。

その奥にカウンターがあり、初心者の六花は悠人の馬を乗るのだが保険を掛けるために手続きをするのだ。


「どれに乗りますか?」


受付スタッフ嬢が、悠人を見るのだ。書面には担当馬を書く欄があり、小首を傾げ暫し悩むと「風雪ふうせつで」と言う。


「ふうせつ?」


「風の雪と書いて、風雪ふうせつだよ。栗毛で大人しいし、人間が好き…ちなみに言葉が通じる」


目を丸くする六花を、受付嬢が小さく笑う。


「和奈城さんの馬は、松風まつかぜ東風こち風雪ふうせつと3頭いらっしゃいますよ。どれもお利口さんです。」


「もう1頭、青嵐あおあらしって居たけど美桜が、英国に持って行ったよ。競技用にしている。」


なんだかんだしていると、アーネストとレオンは着替えが終わり、先に行くぞと厩舎に行き六花は係員に連れられて更衣室へと向かった。




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