表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
櫻の樹の下で  作者: 赤司 恭
櫻の樹の下で、君と出会った。
78/158

あかいいと。①


「お見送り行くよ?」


視察がある悠人は、青山と出かけるので会長室を出る2人の後ろからテクテクと歩く。

割と昼からは役員フロアは執務に励んでいるので、その時間帯―――今、清掃員が床から窓から磨き上げるのだ。


黄色い清掃中のポールを確認し、その辺りを避けてカツカツとヒールで歩く。


「帰りは16時だから、適当にやってて」


「適当って、ちゃんとお仕事するよ?」


口角を上げて笑う悠人が、ポンポンと頭を撫でてエレベーターに乗り込みヒラヒラと手を振って、すぐに部屋に戻ろうとした…。



「キャーーーー!!」



ツルリと滑り、そのまま横向きに転倒したのだ。






六花は目を覚まして、すぐに父母の顔があるのに驚いた。


「お父さん、お母さん…どうして?」


「和奈城君が、連絡くれたのよ。ほんとーにアンタ、どんくさいわねぇ」


「六花!お茶飲むか?ジュースか?」


「お父さん、ちょっと…。」


流石に気分が悪いからと伝えると、父母は元気そうなら家に帰ると言い部屋を出た廊下で、何事か会話するが聞こえないまま暫く時間が経つ。


「六花?」


顔半分、病室に入って悠人が覗きこむ。


その顔が、本当に心配そうな顔。


「…だぁれ?」


とたん、悠人の顔が青くなったような感じがする。

ゆっくりと部屋に入って来て、ベット脇に座るとじっと六花を見つめる。


「覚えてない?」


悲しそうな顔で、手を伸ばすが六花に届く前に引き戻した。


「僕は怪しい者じゃないよ?君のご両親も知っている、和奈城って言う。」


六花がコクリと頷くと、悠人は部屋の反対側に椅子を持っていく。


「君のご両親は、今食事に行っている。戻ってくるまで、僕はこの部屋に居ても良いかな?」


六花が頷くのを見て、「ありがとう」と小さく言って部屋の隅に座る。

六花は首を悠人へと動かし、椅子に座る悠人をじっと見る。


「私は、あなたを知っていますか?」


くしゃりと、なんとも言えない顔をして悠人は沈黙する。

聞こえないのかと、六花はもう一度繰り返す。


「……はい。」


「私外人さんと、お知り合いになるんですね」


「はい」


薬が効いているのか、やがて六花は目を閉じた。

知らない人がいる部屋で寝るのは危険だと思うけど、なぜだかこの人は大丈夫だと思って。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ