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櫻の樹の下で  作者: 赤司 恭
櫻の樹の下で、君と出会った。
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ぼくときみたち。


日曜日の朝から、柔道場には子供達が集まり元気いっぱいに練習に励む。

大きく開いた窓からは、熱気と子供達の掛け声が響いていた。


長く仕事の都合で練習に出席出来ない状態だったが、今日は参加出来ると聞いて子供の量が増えたのだ。


「はーい、休憩30分入れます」


既に汗だくの子供たちは、柔道着の上衣を脱ぎ親達が適当な場所に広げ汗を飛ばす。

朝10時から始まり、昼を挟んで現在15時。


「あっつー」


頭から水を浴びた成人3人は、とりあえず中に着ているのを着替えジャンケンを無言でする。


「ヴィの負けー」


レオンとアーネストが笑い、仕方ないとクルリと後ろを向く。


「アイス食べたい人ー?」


手を挙げれば子供が皆手を挙げて、目をキラキラ光らせる。総勢16人の子供達。


「それじゃ年長者4人荷物持ち、ケンタ・優実・ミノル・ナギ」


「「「「はーい」」」」


上はタンクトップの後ろ部分が、肩甲骨見えるほどえぐれた「マッスルタンクトップ」と、柔道着のズボンだいかにも練習途中な感じ。


子供達を急かし、早く行くぞとサンダルで小走りで門を抜ける。

近くのスーパーまでは、小走りで5分程。練習代わりに走る子供を、車と自転車に注意して誘導して追いかける。



「ゆーとせんせい、はやくー」


「はいはい、どれにするの?皆も食べれるのにするんだよ。」


大人は箱入りで良いだろうと、適当に選び子供は子供が好きそうなアイスを選ぶ。

年長のケンタとミノルがカゴを持ち、優実がアイス用の木のスプーンを数だけ選んでカゴに入れ早く早くと、レジへ押し込む。


自宅から近い事もあり、和奈城の人間はよく利用するのでレジの人間とも顔見知りだ。


「あらあら、生徒さん?」


「そうです、ちょっと休憩入れたので。 ナギ氷があっちにあるから、アイスの上からちょっと入れておいて。」


「わかったー」


ちょこまか走る子供を、ニコニコして見送るレジの女性は近所の人間だ。


「元気でなによりねー、ウチの子も柔道通わせようかしら?」


「興味があれば、いつでもどうぞ。子供も一杯いますから」


「せんせー、はやくぅ。きゅうけいおわっちゃうよ!」


苦笑しつつ、女性に挨拶して後を追う。行きより数倍の速さで走る子供は、転ばないのが不思議な早さだ。




「おー早かったなぁ」


「4人が走るもんで、早い早い」


子供たちが好きなアイスを選び、大人は箱入りのタイプを皆で分け合う。


「ゆーとせんせいは、食べないの?アイスあるよ?」


ペットボトルのお茶を飲む悠人に、ミノルが不思議そうに尋ねる。


「んー?僕はね、甘いのあまり食べないんだよ。だから、皆が食べてくれると嬉しいなぁ」


「野菜ばっかり喰ってるけど、ヴィの腹は固いんだぞー」


こぶしでアーネストが、悠人の腹をドンと叩きついでにペロリとめくる。


「先生、おなかが割れてるぅ」


「バッタみたい、バッタ先生だ。」


楽しそうに騒ぐ子供達の歓声に、恨めしそうにアーネストを無言で見る。


「良かったな、カニの腹じゃなくて♪」


「……。」


「先生」


背後から高校生の生徒の声に振り向く、しっかりと握ったアイス片手だ。


「体脂肪どの位なんですか?」


「確か去年の健康診断で、10%だったかな?」


予想外の言葉に、生徒は軽く目を見開き恨めしそうにアイスを睨む。


「いやいや、アイス睨むんじゃなくてね。運動しているからいいんじゃないかな?」


「でも先生の真似したら、強くなれそうな気がします。」


「それは大きな勘違い、イチに練習ニに練習です!さー食べたら稽古稽古」


『ぎゃー』と、あちこちから悲鳴が聞こえ。


『次の昇級試験では、1ランク上合格できるように』と、笑顔でビシバシしごくのであった。


コカコーラのCMのような…、爽やか雰囲気目指しましたが…。

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