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櫻の樹の下で  作者: 赤司 恭
櫻の樹の下で、君と出会った。
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ひみつのおちゃかい。

カタカタとPCに打ち込みながら、書類をめくって行く。

しんとしている室内は、六花だけで春になったが膝掛けをしっかりとかけて、腰のカイロを確認…まだ暖かい。


「斎藤さん♪」


会長室のドアが少し開いて、森田と市田がヒョッコリと顔を出す。


「あ・いらっしゃい、ヴィはいないからどうぞ~?」


総務うちが暇でさぁ、やっぱり土曜出勤って暇よね?んで、遊びに来たのでーす」


森田がお土産だと、差し入れの和菓子を出してくれてお茶を入れようと立ちあがると、下腹部への痛み。


「うーーーーーッ」


「どうしたの…?もしかして、アレ?」


コクコク頷き、少しすると楽になったのでソファを勧めて、給湯室へ向かう。向かいの秘書室も暇をしているようで、給湯室でサボり中だった秘書のお姉さん達に美味しい金平糖を差し入れて貰い、冷えた日本茶と一緒に部屋に戻る。



「秘書のお姉さんに、金平糖貰ったよ~。きっと高級品だよぉ」


「やったー、戦利品!斎藤さんの人徳でございますよ」


ありがたやと、冗談で拝む2人に笑いお茶と金平糖を広げる。


「お邪魔してから言うのもアレだけど。」


「うん?」


「お仕事の邪魔してない?大丈夫?」


デスクに置いてある資料を見ての事だろう、森田が心配そうに見るが大丈夫だよ答える。


「いっくらでも仕事あるんだもん、それに自分スケジュール組んであるし、急ぎは全部終わっているから大丈夫だよ?」


社内のコイバナから、森田と市田が収集した社内の噂話をして、お茶を飲む。

2人が来ないと殆ど女性と接触しないので、六花は嬉しくて仕方がない。


カチャ―――



「おや?集会?」


面子を見て後ろ手にドアを閉めた悠人が苦笑する、さっと六花が立ちあがってデスクのメモを渡し―――。

グラグラとしたと思うと、足元から六花が崩れてへたり込んでしまうのを、とっさに脇に手を廻して抱きとめる。


「斎藤さん!」


市田が駆け寄るのを制して、背中とひざ裏に手を廻して軽々と抱き上げて、ソファに寝かせる。

膝を肘掛に乗せて、デスクから膝掛けを広げて掛けてやる。


「毎度の事なので、あまり気にしないで?」


苦笑してお茶を持ってくると部屋を出る悠人を、2人は心配そうに見送る。


「あー…気持ち悪かったぁ」


意識が戻ったのか、六花がゆるゆると身を起こすと同時に悠人が戻ってくる。


「大丈夫?」


「うん、森田さん市田さんゴメンね?」


「いいの!どうせさぼっていたんだから。」


市田の断言に、森田と六花が苦笑する。ヒヤリとしたペットボトルを頬に当てられ、もう少し寝てなさいとソファに押し戻される。


「さぼりは駄目だなぁ?」


その言葉に、2人はハッとする。にこやかにしているが、目の前の人間は会社の最高責任者だ。

自分達の発言と、目の前のお菓子…どう見てもさぼり意外何でもない。

青くなる2人を見て、いたずらっぽい顔をして悠人は笑う。


「貧血で倒れた六花を、2人が看病してくれた―――そうだよね? ついでに、お菓子を食べたにしよう。」


おおっぴらな偽造工作に森田も市田もほっとし、「ありがとうございます」と述べる。


「ヴィー…、2人苛めちゃヤダ。」


「苛めてない、毎月毎月貧血してないで、ちゃんと1週間はサプリメント飲む!今朝飲んでないのは知ってるぞ?」


ペチと額を叩き、モゴモゴ言い訳を言ってる六花。

気分が復活したのか、身を起して照れくさそうに身だしなみを整える。



「もう大丈夫」


「あんまり、無理しない事。」


ポンと頭を触って、自分のデスクの資料を抱えると2時間で戻るからと、部屋を出て行った。


「もしかして、私の復活まで待ってくれてたのかな?」


「優しいね、良かったね斎藤さん」



えへへと笑う顔は、ほんのり頬が赤く。

その顔を見て、胸キュンする2人だった。


…生理痛酷い時は、サバ折りになるよね。

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