わたしのしるあなた ②
先ほど少し長かったので、あまりです。
金・金・プラチナ・赤
六花は、リビングに入ってきた色を目で追う。悠人の言うとおり入ってきたのは、アーネスト&レオンそれに悠人に良く似た女性とソックリの男性。
入るなりアーネストは、レオンと顔を見合わせ六花を見る。
「カワイコちゃん、この場にいるってことは?」
邪魔だと、悠人に蹴りを入れられお茶の準備をしていた六花も苦笑する。
「ええまぁ、お付き合いをさせてもらってます…?」
「「「「えーーーーーーっ」」」」
悠人と六花以外の人間が、驚愕の顔で叫ぶ。
「やかましぃっ!」
悠人の一喝で皆が静かになり、席に着く。
「あの、斎藤六花です。宜しくお願いします」
小さくなって六花の自己紹介に、馴染みの2人は手を振り笑う。
「六花、僕の双子の弟とすぐ下の妹」
悠人にソックリな弟は、グレーの瞳でほほ笑む。
「よろしくなー、俺は蒼太・アイザック・ユリシーズ・ダウエル」
「よろしくね、私は美桜・エミリア・アン・ダウエル」
蒼太よりソックリではないが、良く似ている美桜もアッシュブロンドで、グレーの目だ。
「いやいや驚いた、兄貴がオンナノコと住むなんて!ってか、俺兄貴の交際相手って初めて目撃したぞ?」
「あら?何人か居たわよ?でも家まで来たのは、六花ちゃんが初めてね」
レオンとアーネストは、面白そうに頬杖ついて事の成り行きを見守ってニヤニヤしている。そんな風景を見て、実に楽しそうだと六花は顔が緩みそれを隠すようにそっとお茶を飲むのだ。
和奈城兄弟の話は、ポンポンと切り替わる最初は英国に住む母親の話その次はこちらの柔道の話、アーネストやレオンの実家の話も出てきて六花は自分が知らない悠人の過去の話も聞けて興味津津で目を輝かせて聞き入る。
「アーネストと、レオンはどうして日本にいるの?」
アーネストは小学生の時、レオンは日本で生まれた純血種の外国人だ。レオンの家族は高校卒業時に、アーネストの家族も同じころに帰国している。
「俺は大学こっちで受けてから、帰国しようと思ってたんだよなー」
「同じく、アーネストの真似じゃないけどな」
互いに頷き、チラリと悠人を見る…視線の先の悠人は珍しく苦虫を噛んだような顔。
「何?俺達その話知らない!美桜知ってるか?」
ブルブルと顔を横に振った美桜は、アーネスト達の顔を見るとニヤリと笑っていた。
「あれは20歳の頃かの~、レオンさんや。」
「そうだの~アーネストや。」
20歳と言えば、悠人の父親が死んだ頃と一致する。
「親父さんが死んで、蒼太や美桜が帰国してから誰かさんは論文に取りかかってたんだよな?」
ウンウンとレオンが頷き、先を続ける。悠人は、明後日の方向を見て知らぬ顔。
「道場にも来ないし、新聞も郵便物も入りっぱなしでさ。流石に半月位で心配になって、中庭に廻って開いた窓から入ったら!悠人が、肺炎起こして死にかけてて…。聞いてるか悠人!」
「見間違いだろう?」
明後日を向いたまま、悠人は視線を合わせようともしない。
「阿呆!あのまま気付かなかったら、お前死んでたぞ!救急車で担ぎ込んで、お前入院だったろ?」
「蒼太と、間違えてないか?」
そうニヤと笑い、部屋を出て行った悠人。残った人間は、苦笑するしかない。
「まー、そんな訳でな。アイツ放っておくわけにもいかんし、腐れ縁の運命だと思ってこっち居る訳よ。」
「兄貴がそんな事なってたのか、アーネスト、レオン悪かったな…帰国出来なくて」
なぜかションボリする蒼太に、2人は目を見開いた。
「トモダチだからな」
レオンの言葉に、アーネストも笑う。
「あの後大学卒業位に、悠人も謝ってきたよ。今からなら、帰国しても母国での仕事探しは間に合うだろうから帰国してくれって言われたさ。でもな、多分俺達死ぬまでこんな感じかも知れないな」
生活拠点は、すっかり日本になってしまった今2人とも帰国する意思はないそうだ。
なんだか感動した六花は、良い話デスネと述べた。
レオンとアーネストと悠人の、腐れ縁話。




