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櫻の樹の下で  作者: 赤司 恭
櫻の樹の下で、君と出会った。
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みている。 ⑤

「お帰り…、お客様?」


首を傾げて見る六花に、笑って頷く。


「そう、和奈城うちと会社の顧問弁護士。」


185cmの悠人より少し小柄で、真っ白なロングヘアはハーフアップだが背中の真ん中辺りまで。


「初めまして、顧問をさせて頂いています。渡辺龍之介と申します」


「だ…男性ですか?」


驚いたのも無理はない、線が細いしぱっと見て渡辺を見て男性だと見定めるのは難しい位だ。


「オトコですよ、ちゃんと彼女もいます。」


にっかり笑い、リビングに行けば東も含めた4人が既にスタンバイしていた。

六花と同じ反応をするが、慣れているのか渡辺はヘラリと笑う。


「蒼太も知らないと思うけど、僕がスカウトした弁護士。有能だよ。」


「見た目がコレでしょ?なかなか企業さんには、難しい容姿なんだけど和奈城ちゃんは、仲良くしてくれてねー」


「渡辺見せてあげてくれる?六花、みてごらん赤い目だから。」


そろり…と近寄って、下から見れば目の黒い部分が無くて赤。日本人の光彩の茶色もなくて、水色である。


「僕アルビノだから、メラニン色素が無いんだ♪ だから仕事の外回りも、夜が専門。」


部屋にいた人間が、皆覗き込んで『へぇ』とか言っている。


「光彩異常の僕と、アルビノの渡辺がなんだか意気投合してね。顧問までお願いしてるんだよ。」


「そうそう、最初のギャラはガラスが全部UVカットの車だったのには、爆笑したけどね」


「君が皮膚がんになると、僕が困るからね…。」


なんとも言えない笑顔で、昼間の報告をするように促した。



「そーか、その辺りまで突き詰めているんだったら、解決は早いかも知れないな」


蒼太の言葉に皆が頷く。


「まぁ後は僕が代理でやっていける範囲なんで、進行状況は青山氏に連絡するね。」





「渡辺さんの目、凄い真っ赤だったねー。真っ白だし。」


「目は、血管の色だね。透けて見えてるんだよ、白い肌は紫外線で皮膚がんに凄くなりやすい。」


「皮膚がん?!」


隣に座っていた六花が、驚いて悠人を見上げるが胡乱な眼で見返されているのを気付かない。


「そうなんだー、メラニンが無いってそう言う事なんだ…。」


腰を弾き寄せられて、頬をぺったりくっつけられる。


「ん?渡辺の事が気になるの?」


「違うの、ちょっと珍しかっただけだもん」


顔を上げて、悠人の唇を舐めてからチュと音を立てて重ねる。


自然と首に腕を絡ませて、左右へ首を傾けて繰り返すリップ音が暫くして顔を離せば、嬉しそうに目を細める悠人を見て胸がキュンと鳴る気がする。


「…あんまり、やきもち焼かせないでくれるかな?」


射止めるように視線を合わし、そう小さく囁かれるとまたもや六花の胸がキュンと鳴る気がして、ドキドキしながら顔を上げるとさっき自分がしたよりずっと深いキスをされて、ヤキモチの程度を身をもって知る事になる。


アルビノ出てきましたね~、男らしい名前ですが真逆を行く渡辺。

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