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櫻の樹の下で  作者: 赤司 恭
櫻の樹の下で、君と出会った。
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すきというきもち。

六花目線の1人称ストーリーです。

入社してから、付き合うまでのお話デス。

初めての職場で緊張していた私は、入社手続きを経て配属先を教えてもらって驚いた。

パソコン超初心者なのに、面接で受かったしまった手前、できませんと一言行ったら解雇されそうだと思うけど、頑張ってやれば直ぐには解雇されないだろうと思う。人事の人に連れられて流石外資系って思う位、いろんな人種を見ながら『開発部』へと歩いてくウネウネ歩いているけど、帰りは大丈夫かしら?


「斎藤さんだね、初めまして東です。僕は課長補佐、君にはうちの課で一番忙しい人に付いて貰うけど頑張って」


「一番忙しい人ですか?あの、私そんなに…じゃなくてパソコン超初心者なんですけど大丈夫でしょうか?」


ノンフレームのメガネを掛け鋭い目つきの東氏は、驚いたように目を見開き履歴書を見るが暫く考えて大丈夫でしょうと、笑う。


「大丈夫課長…ああ、君が付く人だけど凄く面倒見がいい人だから。きっと、仕事こなしながら上手に覚えれる筈だよ?----あぁ来た来た。」


振りむいて、凄く…凄く綺麗な人だと思った。

なんて言うのか分からないけど、綺麗な茶髪でニコリと笑うのを見て、何故か分からないけど赤くなってしまう。胸がドキドキして、上手く喋れているか不安になってしまうが、とりあえず面接をして真正面に座ったけど本当に優しそうな人だと思うきっとそうだ。エクセルが殆ど初心者ってのがバレても、大丈夫みたいテキストも細かくて多分やれそう。


2日目からは、課長の隣の席で最初に表の作り方を実践して貰って、それをたくさん作ったり貰った書類を入力していく仕事だ。根気よく何度も何度も教えてくれて、聞き直すのが申し訳無い位だけどそう思う前に、気づいて聞いてくれる。このおかげで、本当に助かった。



半月程経つと仲良くなった事務員も何人かいて、お茶休憩は各自自由に取って良いらしく課長がいなくて区切りのよい時に、ちょこっと行って麦茶を飲んでいる。


「斎藤さん、お仕事慣れた?」


ショートヘアの、山田さん。この人は勤続15年らしく、開発課の生き字引だと私が来た日に自分から言って来て驚いた。


「はい、なんとかです。エクセルって難しいですねぇ」


「あらあら頑張っているのね、大丈夫和奈城課長に付いているんでしょ?あの人は面倒見が凄くいいから、どんどん聞いちゃいなさいな?」


「呆れられませんか?」


エクセル秘密メモを作成しているのを知ってる山田女史は、ニッコリ笑って「だーいじょうぶよぉ」と笑う。


カラリと給湯室のドアが開くと、噂の主が入って来て私はすっごく慌てた。


「斎藤さん発見」


目を細めて笑う顔も、なんだか胸キュンと来ちゃうんですが…課長。


「和奈城君、今日も紅茶?」


山田女史がティーパックを出してあげると、ペリペリめくってマイカップに熱湯を注ぐのを凝視してしまう。課長と紅茶…合う似合いすぎる!! 紅茶が出来上がると今度は冷凍庫を開けて、何をするのか横目で見ていると氷。


「熱湯入れて氷入れるなら、最初からぬるめで入れたらと思うのは私だけ?」


「あなただけです」


今作ったホットティに、氷を入れて飲む姿…可愛すぎます!ネコ舌なんですねー!

私はその行動を目に焼き付けて、そろそろ作業にもどる。ずーーっといたいけど、作業が遅れちゃうもの。


「お先です~」


「はいはい、頑張って」


手をヒラヒラ振る山田女史に手を振り、課長に会釈して給湯室をでる。課長のカップ、どこで買ったんだろう?


「和奈城くん?」


「はい」


ニッコリ笑う山田。


「あの子、気に入ってるでしょう?」


「普通ですよ?贔屓ひいきはしていません」


半分以上残っている紅茶をざっと捨てて、カップを洗う姿を山田はニンマリ笑って見つめる。


「おかしーわよ、だってあなたいつもペットボトルの水派でしょ?紅茶なんて、朝来た時だけじゃい?」


「偶然ですよ、偶然」


にーーっこり笑って、席に戻る姿を生ぬるい目線で見送る山田。


「若いっていいわねぇ」


こんな会話があったのは、誰も知らない秘密。




課長は良く笑う、それは私がピンボケな質問をしたりするからだろうけど、ニコニコ笑って沢山あるエクセルの数式とか手抜き方法を、コッソリ教えてくれる。チョコチョコと聞くと、あまり笑わないと言う課長の噂は、嘘だと思う。皆さん忙しいから、あんまり見てないからだと思うのね?



同期のコで他部署に配属になったコは、嫌な上司で嫌味ばかり言われてて散々だと昨日メールでぼやいた。よかった、和奈城課長付きで。課長の事話すと同期のコは、皆知ってるみたい社内で結構有名な人らしけど…。うむ、しっかり仕事をしないと課長の足を引っ張りそう、家に帰ってエクセルテキストで研究しなければ! でも、ひっかかるのよねぇ。


『クールな和奈城課長』って皆言うけど…、クール????格好いいのは確かだけど、知らない面があるのかな?毎朝出勤するのが楽しい、たまに気分がのらない時があるのだけどそれは、課長がいない時なんだよねー。



まず最初に課長を目線で探してほっとする、今日もいらっしゃる。猛烈なスピードでキィボードを叩いているけど、いつから仕事してるんだろう?今、朝の8時だけど。他のスタッフさんから提出の書類とか、フラッシュメモリに入ったデータとか毎日箱に入っているのをチェックして、誤字にはフセン付けて返している。返却するのを頃会いを見計らって、配るのも私の仕事の一つなのでチラチラと見るの。今日はまた、凄い速さでチェックが進むと思えば、明日はデータ回収で日帰り出張だって御苦労さまです。



あー、明日はいないのかぁ…寂しいな。




課長のいない日、食堂にいくと偶然にも山田女史に会ってお昼をご一緒する事になった。



「今日は一人?」


「はい、同期のコがお休みなんですよ」


食後に一服するらしく、ジュースを奢ってもらって屋上にGO!

隅っこのベンチに座って、プカプカとたばこを吸う女史は格好いいと思う。


「今日はえらい元気ないわね?」


「そうですか?同じじゃないですか?」


おかしいなと、鏡で顔を見るけど色つやよしのお肌です。


「あぁ…今日は、和奈城君出張か!」


「課長がどうして出てくるんですかー!!」


やばい、顔が熱い。どうして山田女史は、ここで課長の名前だすの?

プクククと私の顔を見て、山田女史は咥え煙草で笑うし。なんでじゃー!


「だぁって、顔に出てるもの。言って御覧なさいな」


「そんな…普通ですよ普通、出社するのも楽しいですし。仕事は分かりやすいでしょ?上司は優しいですもん。同期のコなんて上司最悪って言ってましたから、私は環境に恵まれているんですよ。」


「何いってるの、今の発言全部和奈城君が絡んでいるじゃない?仕事中にニコニコしてるの、あんた位よ?見てるこっちが笑っちゃうわ」


改めて思えば、楽しい事は全部課長がからんでしる。


「和奈城君が動けば、アンタの目も動くの知ってた?」


「えええええええーーーーーっ!」


「わっかりやすーい子だね、アンタ。周りはアンタの気持分かってるから、あえてアンタ達周辺には近寄らないのも知らないでしょう!」


思わず力が入って、紙パックのジュースがビシュッと吹きこぼれ私は慌てて、ハンカチで拭く…良かった染みにはなってないみたい。

ギュとたばこを消して、携帯灰皿に押し込んだ女史。


「アンタも、いい加減気が付きなさい?これはね、恋なのよっ!ラブなのよ!ライクなんてもんじゃないわ。」


ジュース、全部こぼれちゃった…。



お昼山田女史に言われてなんとなく、モヤモヤしてきた。今までの自分の気持ち…どうなんだろう?

今日の進行表に印をつける、あと1つやれば今日のお仕事はおしまい。15時半…残業にはならないみたい、同期のコとの夕飯の御誘いには間に合うな。


カタカタ打ち込んでチェックして、うーん最後が合わない。数式ちゃんと打ち込んでいるよね?なんだか分からないエラーが出てるし…。


「ここ、数式の構成抜けてるよ。rが入って無い」



いきなり視界に、真っ白の長い指が入って来てモニタを指すから凄くびっくりした。

顔を上げたら課長だぁ。



「あ、本当抜けてます」



カチカチして、入力すれば最後の数字がちゃんと合う。良し!

どうしよう、間近で顔見て胸がキュとなる。心臓がバクバクしてるし!山田女史のせいだぞー!


「出張終わりですか?早かったですね」


いかん、顔が緩んじゃう…変な顔になってないかしら?平常心平常心…。

ここ2カ月私が入ってからだけど、課長の日帰り出張が定時に間に合うのは極稀ごくまれだと知っている。仕事が早く終わるっていいもんね。


「そう、車の渋滞もなくてすんなり行ったからね。」


きっと、山田女史どこからか見てるんだろうけど、顔が緩んでいるのが分かるわ…私。

どうしよう、うれしくって仕方無い。


「そうだ、明日の金曜日お昼空いてる?」


「お昼ですか?」


データ集積のアイテム出しながら、課長がニコと笑う…課長私どこでも付いていきます!


「はい、空いてますよ?何かお仕事ですか?」


「アーネストも一緒なんだけど、近くに旨い定食屋あるから…行かない?」


「行きます!絶対行きます。」



金曜同期のコには謝って、アーネストさんと3人でお昼に行ったのだけど、課長の昔話が聞けて大正解!ありがとう赤鬼アーネストさん。


それがきっかけで、何度か課長と2人でお昼に行ったけど、他の会社のOLさんの視線がザクザク刺さってきたわ~。それ以上に課長は、一身に視線のシャワーを浴びていたけど、平気な顔していたのは慣れかしら?


上層部のお偉いさんが不在の時は、カラコンを取るのだけど最初に見たときは魂抜けそうだったわ!あんまりにも、ガン見してしまったからかしら?見過ぎだって、目を課長の手で塞がれちゃった!や~眼福眼福、目にご褒美よね。


ときどき、周りから生ぬるい視線が感じるのだけど…あまり気にしないようにしよう。

そして、いつかチャンスがあれば、気持ちを伝えたいと思うの。


山田女史は、バレンタインに突撃せよって言うけど、そりゃなんでもいきなりだわ。


チャンスよ、こーい!


悠人は、アーネストをダシにして、ランチに誘っているのです。

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