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櫻の樹の下で  作者: 赤司 恭
櫻の樹の下で、君と出会った。
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わなじょうさんチのねんまつねんし④

ふっと目が覚めると、体全体が暖かく頭と腰に廻された腕がガッチリしているので、六花は体を動けない。自身の腕だけ動かせるので、いまだ就寝中の悠人を見上げれば観賞に値する綺麗な顔と…。


「あ…」


悠人の真っ白い鎖骨の辺りにうっすらあるのは、恐らく元旦の夜に自分が付けたもの。


その近くに濃い色で幾つかあるのは、昨夜付けたのは覚えている。昨夜のコトを思い出して、顔が赤くなるのが分かる。


「ん…?」


悠人から声が漏れ、僅かに眉をしかめて目を開けば緑と青の目が六花を捉えた。


「おはよ」


「オハヨ、ヴィンセント見てたの。」


いつも先に起きて、目覚めるのを待たれているのでボーっとしている悠人を見ると、六花の胸がキュンとなってしまう。


腕を伸ばして、綺麗な金髪をサラサラと流れ落ちる感触を楽しめば、「うー」とか「むー」とか聞こえようやく起き上がれるようになった。


いつものように、寝起きのストレッチをする悠人を置いて自室で着替えをして戻れば、姿見の前で固まってる後ろ姿。


「どうしたの?」


「六花の印、ココ」


クリっと振り返って、耳たぶの下を指差す…それは、色濃くついたアレである。


「あぁぁ、ごめんなさいぃぃ」


どうやったって見える、ハイネックは悠人のクロゼットにあっただろうかと、コーディネイトを模索していると苦笑された。


「いいよ、後でファンデーション貸してくれるかな?一応目立たない様にするから。」


素早く持ってきて、パウダーファンデーションで薄く塗り周りと同化できるようにと、下地にコンシーラーも塗ればよく見ないと分からない程度に薄まる。それにクロゼットからニットの黒ハイネックを着ると、見えるが目立たない。


「よしよし、これでOK。」


こげ茶の皮パンと、シルバーのネックレスをしていて、トップにはつららのようなデザインの水晶のようなものがくっついていた。


「モデルさんみたい」


きらきらしているのは、朝日のせいだけじゃないだろうとガン見すれば、照れたように笑う。


「見過ぎ!」


水色のニットワンピースに、レギンスの格好で十分かなと思っていた六花は着替えようかしらと、思案してしまう。


「んじゃ、さっさと降りないと東達がきちゃうから。朝ごはんしよう。」


背中を押されて渋々リビングに降りた。




東達一行が駅で待ち合わせて集合した人数は、新入社員5名と自分の6人の筈だがそれにプラスして去年入社のヘベレケSEが1名居た。


「ヘベレケの名誉挽回か?」


「いやー、お詫びしなきゃと思って」


橘と言うSEがニヤと笑って、ビールのケースを抱え笑う。


「そりゃね、あの和奈城じゃなかったら蹴り入れてる位の、ベロンベロンだったからね。」


しっかりと念を押して、事務→玉城・綾瀬 SE→郡・村田・井関 を連れて住宅街を歩く。

古い住宅街で、10分程歩けば左側に大きな塀が見え始める。


「このあたり古いんですね、お寺もあるし。和奈城さんて、柔道もやってるらしいよ?」


色々情報を仕入れてる橘が、新入りに言えば意外だと言う反応。


「もう到着だ」


東以外の人間が、門構えに口を開けたまましばらく動かなかった。






「お客様ですよー、応接2号にお通ししていますから」


葉山が道場から戻る蒼太を見つけ、渡り廊下のガラスを開けて言う。

頷いて母屋に戻り、今日の来客は誰だっけと思いながら応接2号室のドアを開けた。



「あけましておめでとうございます、課長!」


10畳程の部屋に6人が座っていて、蒼太を見てそう言った…。


「課長デスカ…」


苦笑して携帯を取り出し、「今スグコイ」と言って切る。

意味が分かっていない6人は、蒼太をまじまじと見つめる。


「ちょっとまってて?」


そう部屋の人間に言って、玄関に向かう。どこにいるか知らないが、勘が告げる個所に向かえば玄関の扉が開いて悠人と六花が入ってきた。


「おーい、悠人の会社の人来てる。葉山さんが間違えたみたいだな。」


Uターンして、部屋に案内しつつ悠人も笑う。


「久しぶりに間違えられたな…」


「や、そろっているのが珍しいからじゃない?」


面白うそうに後ろから六花が事の成り行きを見ている、本当にそっくりで見分けれるのは今の所家族以外では、六花と白熊レオン赤鬼アーネストだけなのだから。



「「おまたせ」」



『ふたごーーー!?』



客は全員叫んだ。



「課長マジでそーゆー事は、言っててください」


橘がビールを差し入れと渡し、おせちを食べるために部屋を移動した時に六花がいる事で新入りの玉城と、綾瀬が目をむいて驚く。


「先輩一緒に住んでいたんですかー!」


「あれよあれよという間に…ね」


エヘと、小首を傾げて笑う。

笑っている間に、縁側のガラスが開いてヨッコイショっの言葉で、レオンとアーネストが入ってきた。


「「おめっとーさーん」」


「お前ね、たまには実家に帰らないの?うちの座敷わらしでもないんだから、親孝行しなさい。」


「えー、ヴィの傍にいる―ぅ」


「キモイキモイ、アーネストキモイ。」


悠人に説教され、甘えたアーネストがレオンにキモイと言われ…。

仕事中は聞けない悠人のプライベートな喋り方に、新人も橘も珍しそうに見ている。


途中我に返った東により、新入りとの挨拶を無事かわして入社してからもよろしくお願いしますと、たがいにお願いしあってその場は解散した。


人がいっぱい…。

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