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櫻の樹の下で  作者: 赤司 恭
櫻の樹の下で、君と出会った。
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しゃしん。

12月は何かとイベントがあるが、一大イベントは「写真大会」である。


社内の人間全員のIDカード更新の為に、1年に1度写真の撮影をするので女子社員はソワソワして落ち着かない。


それに連動して、新入社員も一緒に撮影するので仕切りの総務は、上へ下へ大騒ぎだ。

年越し前もあり、皆スッキリと髪の毛を切っているし女子は巻ける髪は全て巻いている状態で、トイレでは最終チェックの巻きをしている人間もいるとか。


「課長そろそろ撮影いかないと…」


課で一斉に撮影する為、開発課総勢30名の中には新入社員もまざって端っこでキョロキョロしている。


「新入さん、鏡いりますか?」


愛梨や六花が、少し大き目の鏡を差し出して特に女子には渡している。


「はい、チェック大丈夫?」


「ありがとうございます!」


チョイチョイとなおして、新入社員の女子はほっとした顔で鏡を返す。


「1年間使うIDだから、綺麗に映っておこうね?」


にっこり笑う六花に、開発の事務として採用された女子2名が安心したように笑う。


「あたし今年入社の斎藤六花、よろしくね?」


「私は玉城幸子たまきさちこって言います、宜しくお願いします」


「私は、綾瀬由愛あやせゆあと言います、宜しくお願いします。」


玉城はショートカットで、綾瀬はセミロングの髪型である。2人共はきはきとして、六花に話しかけている。


「はいはい、行きますよ~課長達はもう歩いてますよ」


東がやって来て、君達事務が最後だと追い立てられる。事務15名がワイワイ騒いでいるので、SE組はちょっと先でこちらを見て待っている。


「やばいやばい、早く行こう?」


愛梨がいそいそと歩きだし、すいませーんと後を追った。



ついでに…と、毎年新入社員と一緒に1枚写真を撮るのだ。

開いている会議室を使い写真を一枚撮って、後は自己紹介をしてそのまま新入社員は帰宅。


事務の新入りと六花は1歳しか違わないせいか、仲良くなったようで携帯でメアド交換をしてる。


「おーい、一応仕事中だから、偉い人に見つからない事」


コンとドアを叩いて、半身を乗り出した悠斗に玉城と綾瀬は小さくなる。


「はーい、もう終わりまーす。怒られたら課長に振るからよろしくぅ」


「やだね…まぁ、程ほどにね」


ヒラヒラと手を振り、書類を抱えた悠人は今日は現場に行くとミーティングで言っていた。


「斎藤先輩は、誰の補助なんですか?」


「ん?今の課長だよ?次来た時に、担当が決まるから楽しみにしていてね?最初は、皆の補助して慣れたら個人の補助になるの。」


分からない事は、皆でサポートするから気軽に聞いてね?と言えば、安心した顔になる。


「実は、私エクセルが殆ど分からない状態で入社しちゃって、どうしようかと思ったけどなんとかできるようになったから。安心して?」


「「はい」」


男女の新入りは、課の先輩に挨拶して帰って行った。



「新入社員だって」


嬉しそうに笑う横で、目を細める。


「良かったね、後輩出来て」


「うん!仲良しになるんだー」


「あぁそうだ、年末年始どうする?実家に帰る?」


電車から出ると、白い息が大きく目の前で広がる。


「年始年始…いつでもいいから、一度顔だしに行きたいな?和奈城家って、行事あるの?」


「ある…特に今年、婚約の連絡廻したから…。でも六花が嫌なら…気を使うなら、実家に居ててもいいよ?」


その言葉を聞いて、六花は笑う。


「そんな寂しそうな顔しないで?私は、ヴィの横にいつもいるよ?」


「よし、元旦に斎藤家行こう。決めた!ウチの親せきは、勝手にやるだろうし蒼太に任せておいて。」


悪そうな顔になった悠人に、多少の罪悪感を持ちながらも『ありがとう』と。

事務→玉城幸子・綾瀬由愛 SE→郡・村田・井関

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