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櫻の樹の下で  作者: 赤司 恭
櫻の樹の下で、君と出会った。
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さがしもの②


「来てたか…。」


帰宅してダイニングに行けば、無言で夕食を食べている3名…。


「俺さっきこっち着いたの、家政婦さんに挨拶してたら2人来てさ。」


蒼太が数日後から和奈城の会社に入る事になり、英国あっちから来たのだ。


「蒼太が新社会人かー、縁故って誰を盾にするんだ?」


「青山にする、ホームステイしていた事にでもするかな」


名案ダヨと、頷きながらご飯をほおばるアーネスト。


「アーネスト、良く噛め。」


心配したレオンが、麦茶を渡すが勢いよく食べるのはいつもの事だ。


昼間の事を思い出して、ジョーイと言う名の人間が面接を受けに来たと言う。


「ジョーイ?あー知ってる、この間 ウチに来てたなぁアイツの親。」


ふぅん…と、流すように耳に入れて昼間面接した人間を思い出し、見落としがないか思案。


 


翌日は早くから青山が表れ、入社手続きをするがてら社内を案内してやろうと攫われて行った。


「蒼太君、どうなるのかなー?」


「まぁ死にはしないよ、大丈夫」


うー…と伸びをして、肩をゴリゴリ回す悠人に笑顔を向ける。


「ヴィンセントって、おとーさんみたい。皆を心配して、教えてあげるの。」


「お父さんかぁ、まだお兄さんなんだけどねぇ。皆にしっかりしてもらわないと、僕は老けてしまうよ。」


明るく笑っているが、悠人の睡眠時間は恐ろしく少ないはず。持ち帰りの仕事をして、六花が寝ている時にこなしているのだ。面接に参加するため、しわ寄せは悠人のプライベート時間を着々と侵略している。


「あまり、無理しないでね?」


ポンポンと肩を叩いて家に入ったのを追って、六花も朝ごはんをとるべく家へと足を向けた。



朝パチパチとキィーボードに向かい、一枚の書面を作成した。A4サイズに印刷された文面は、分からないものには分からなくて知識のあるものには、ちゃんと分かるもの。

面接の控室に入る受験生に、総務の人間経由で一人一枚配布して貰った。説明もあえてなし、カケみたいなものだがこれをすると良いかも知れないと思ったのだ。


「和奈城君、何かあるかい?」


常務にあえてこちらに1度聞いてくれと言ったのだ、ちゃんと話がくる。


「待っている間に、書面を一枚配布しました。これの意味わかる人いるかな?」


そう質問して返事を返した者、そのうち悠人の求める事を言ったのは最終の面接日までに、10人はいた。


「良かったじゃないか和奈城君!10人いたぞ」


ウキウキと喜ぶ常務は、悠人の作った書面の意味が分からず部長に聞くが首を傾げる。


「これはとあるプログラムの抜粋なんですよ、SEやれるレベルの人間なら直ぐに気が付くミスをあえて3か所作っています。ちょっと捻っていますから、10人候補がいるならもう少し絞って行きたいのですが…?」


「いいじゃないか、和奈城君の思うとおりしてみなさい。もう一度SE候補だけ、君の思うようなテストでもしてみるかい?」


10人の履歴書を並べ、思案している姿をまぶしそうに常務は見る。


「そう…ですね?この人間を明日昼からでも集めれますか?」


「いいとも、部長悪いが総務に掛けあってくれないか?」


急げ急げと呟き、部長が小走りで出て行く。会議室には、常務と悠人が残り明日どうするかの、スケジュールを組むのを常務がウムウムと聞く。


「流石だなぁ、和奈城の若は違うなぁ。」


「何を仰っているんですか、僕は人材確保に必死なんですよ。」


いやいや…と、常務は首を振る。


和慎わしんグループの会長さんだろう君は?今は、表立って出ていないと聞いているがね。」


和奈城の会社名を出され、悠人は苦笑する。全部分かっているのだ、この常務は。


「隠してはいないですが、どこから聞いてます?結構伏せてはいるんですが?」


「長い事人と関わると、色んな話が聞こえてくるもんでね。この話は、社長とワシしか知らないから安心しなさい。」


明日頑張ろうと、常務は部屋を出て行った。椅子にドッカリ座り、大きくため息を突いた。

悠人のおうちの事、少し出てきましたねー。

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