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オタ友に「世界最後の一人でもアンタ/オマエはない!」とか言ってたら世界最後の二人になっちゃったラブコメ。 ~特殊ツンデレ同士があほあほカップルになるまで~  作者: 阿野二万休
第2章 We are fighting alone

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07 二度目の夜

 やがて落ち着きを取り戻したエリスと景虎は、二人して話し合った。今後どうするか、どう行動していくか。とはいってもできることなんて限られている。結局、車用品店かどこかで、新品の車用バッテリーを探し、車を見繕い、あの塔へ向かう……けどまあ、車が確保できたら休日にしよう、そうしないと精神が持たないかも、というところに落ち着いた。


 ああでもないこうでもない、オマエはおかしい、いやオマエがおかしい、という会議を終えるとすっかり日は暮れていて、そそくさ、手を抜き目の夕食を取り(ポリ袋で白飯を炊き、レトルトカレーとわかめスープ、デザートには乾パン)、歯磨きや体拭きの身繕いを済ませると、心地よい疲労が景虎の体を包んだ。


 まだ少し湯気の立つ体をパジャマ代わりのTシャツとジャージに包み、どさり、長旅の荷物を宿の床に放るように、自らの体をソファに投げ出す。そうしてみると、体のあちこちがギシギシ、きしんでいるような気がした。




 ったく……崩壊後世界(ポストアポカリプス)は、スポーツマンの世界だな……。




 景虎は普段、運動らしい運動なんてしない。通学のために駅まで片道十五分を自転車に乗る程度。大荷物を抱え階段を上り下りした肩や太ももが、クレームの声をあげているのがわかる。体を少しかばいつつ、床に積んでおいた未チェックのスマホに手を伸ばす。寝るまでの間もう少し情報収集と行こう。それに……人のスマホを見たい放題、というのはどこか、治りかけの痒い傷口をかいているような、後ろ暗い喜びがある。


 とはいえそれは……そうしたところでもはや、誰にも怒られない、叱ってもらえない、SNSに投稿できないしできたところで誰からも反応はない、というつまらなさと、背中合わせだったけれど。


 ……しかしまあ、そんなことを気にする、気にできる人間ではないのが黒丸景虎だ。


 メッセージの履歴からブラウザのキャッシュ、SDカード内の写真一枚一枚、逐一チェック。どうやら持ち主は、お菓子会社の営業部か何かに所属する独身男性で……明日から恋人と京都に旅行に行くつもりで……うーんくだらねえ……コイツはなんにもなさそうかなあ……。


 と、興味を失うに従ってうっすら、眠気に襲われる。エリスはちょうど今、カウンターの奥に引っ込んで風呂……ではないけれど、身繕いの最中。戻ってきた時に自分が既に寝ていたら少し、返事がないことに驚くだろうな……んん、だからまあ起きててやるかしょうがねえ……面倒くせえなやっぱり他人ってのは……。


 そんなことを考えているウチ、意識は揺蕩い始め、やがてゆっくり、スマホが手から転げ落ち、穏やかな寝息を立て始めた。




 とす……っ……。




 何かの気配を感じ、景虎は目を覚ます。もう、自分がどこにいるのか一瞬わからなくなるようなことはなかったが、しかし、状況は把握できなかった。


 窓から差し込む光はゼロで夜は明けておらず、机の上のLEDランタンは相変わらず、ぼんやりした電球色の明かりを周囲に投げかけている。だから大して時間がたっていないのはわかるが……。




 壁に、影が踊っていた。

 美しい、女の影が。




 なだらかな曲線を描き、僅かに揺れ、影だけでその柔らかさとしなやかさがわかる。人型、女性のシルエット。影はおずおず、しかし時間をかけて、壁の上をゆっくり、踊っている。




 ……いや、踊っているのではなかった。

 なにかを躊躇いながら、しかしはっきり、着実に、歩いている。

 どこかへ向かって。




 景虎はしばらくの間、自分がまだ夢を見ているのだと思っていた。ぽかん、としてしまいそうなほどスタイルの良い女体の影が壁に踊っている、なんて……いかにもありがちな色っぽい夢だ……あほくさ、フロイト先生に言ったら地獄から腕まくりして舞い戻ってくるな……そのままヒトラーとかの後ろに並んでてくれ……。

 

 そんなことを思いながら、半分寝たままの頭で女の影を見つめる。


 ホテルの壁の上、ゆっくりと動く影は、やがて、たっぷりと時間をかけながらその身をかがめ、見えなくなっていく。


 同時に、景虎の体が敏感に察知する。




 暖かい。




 足が、腰が、胸が……誰かの体温を、感じている。


 薄いTシャツとジャージ越し、人間の肉の感触が、はっきりとある。




「…………ぃっ……」


 今度こそ状況の意味がわからなくて、思わず声をあげてしまうが……。




「だ、だめっ……!」




 むに。




 柔らかく、暖かな何かが、景虎の唇を摘まんで言葉を封じた。一拍遅れで、ミルクのような甘い香りと、爽やかなシャンプーの香りが漂う。そしてようやく、エリスがそうしている、と気付く。




 そこに、彼女がいた。


 一糸まとわぬ、裸の姿で。




 湯上がりの火照った体が、むき出しのまま自分に寄り添っている。薄暗い夜のロビー、ソファの上で、まるで内側から薄ら光を放っているかのように白く、夜に溶けていってしまいそうなほど滑らかな肌。白いベルベットのドレスが人の形になっているのかと思ったほどだった。


 けれどそれは、どこからどう見ても、女だった。


 細い首筋はまるで硝子細工のようで、華奢な肩はどこか幼く、なのに、くっきりとした鎖骨のラインはさながら職人細工の精緻を極めた工芸品にも見える上、その下の膨らみが描く曲線は、見ているだけで脳が蕩けそうになる。


 たゆ……と、僅かにその膨らみを揺らしながら、細い右手が景虎の唇にまで伸び、摘まんで塞む。かさついた唇で感じる指先の感触は、まるで脳の表面をそっと撫でられているかのようだった。全身に感じたことのない甘いしびれが走って、動けも、喋れもしない。ただ無様に体をぴくつかせるだけ。


「そ……っ……その……な、なんにも、言わないで、あの……わが、わがまま、言わせて……お……お願い……っ……」


 ランタンだけが照らす、薄暗いロビーの中でもはっきりとわかるほど、顔が真っ赤だった。耳まで赤かった。首元も、垣間見える鎖骨の辺りも。眼鏡越しに見える瞳は切なげに潤んでいる。


「ご、ごめん、ほんと、ごめん……でも、あの……だ、誰かと、くっついて、ないと……あたま……おかしく、なっちゃいそうで……なっ、なんにも、おねがい、言わないで……」


 淡雪のように、絹のように純白の、傷一つ、染み一つ見えない肌が、羞恥の朱色に染まっているのはまるで、夕焼けに照らされる雪景色のように見えた。あるいは……そんな、神秘的な雪景色の奥深くに佇む、一人の妖精。そんな美しさを目の当たりにしても、景虎の意識ときたら、なんだこいつ意外とちゃんと毛の処理とかしてんだな、などと思っていたけれど……すぐに、そんな意識も吹き飛ぶ。




 …………はぁ……っ……。




 薄桃色の艶やかな唇から漏れる、熱い吐息が、景虎の肌を撫でる。




 妖精はただ、羞恥に顔を歪め、唇を僅かに開け、その熱い吐息がかかる距離で、目を潤ませながら自分を見つめている。理性も、意識さえもどこかに、飛んでいきそうだった。




 甘い、甘い香りがする。




 ミルクのような、蜜のような、胸が焼け付くような、甘い香り。濃厚に、女、を連想させる香り。中世の酒場の二階で、娼婦を装う淫魔が首尾良く誘った勇者をベッドに座らせ、その眼前、自らの肌からナイトドレスを滑り落とす時に香るような。


 なのに……それなのに。


 艶めいた、まだ少し濡れている長い黒髪が、ぱらり、はらりと動くたび、爽やかな香りが混ざる。景虎が何回も何十回も、何百回も何千回も、存在しないことにしてきた香り。学校で自分の席を、その香りがかすめていくたび、自分には生涯、関わりのないものなんだ、と自らに言い聞かせてきた香り。




 女子の、いい匂い。女の子の匂い。

 どんな現実も、雲散霧消していくような。




 相反するような香りが漂う中にいると、まるで、まだ自分は寝ているんだ、などとさえ、思ってしまう。こんなことが現実に起きるわけがない。こんなことが、俺に。俺みたいなキモオタ陰キャがラッキースケベできるのはエロ漫画とラノベとラブコメ漫画の中だけで、現実は、現実には……。


 どうしてか、見ているだけで泣いてしまいそうなほど綺麗な女の子が、かわいい子が、裸になって、切なげな顔で、自分の横に、滑り込もうとしている。妖精としか思えないようなかわいい子で、白くて、おっぱいが大きくて、細くて、ちっちゃくて、おっぱい大きくて……眼鏡が……。


 と、そこで景虎は我に返る。




 エリスだ。これは、この子は、エリスだ。

 俺と同じ、キモオタ陰キャの、白鷺エリスだ。




 すっかり痩せて、別人のようになっているけれど、これは、あの、エリスなんだ。その証拠に、眼鏡にちょっと、指紋がついている。その指紋の虹色の跡を見ているとどうしてか、急に現実が戻ってきた。


 しかし、まだ状況がよく、飲み込めなかった。ソファでうたた寝して、起きたら、全裸のエリスが、自分の横に寝転がろうとしているのだ。


「っ……むぁ……?」


 摘ままれた唇の端から疑問の声を漏らすと、びくんっ、と大げさにエリスの体が震え、指が離れた。それでまた滑らかな指先が景虎の唇を撫で、背筋がぞくりっ、と震える。


「むぁっ……むぁん、なんだよ、急に……っ……?」


 胸元から視線を引きちぎり、なるべく口で呼吸して、蕩けそうな意識の隙間を縫うようにして、指を離して声を出す。狼狽えていることが丸わかりの、うわずった情けない声だった。自分で聞いていてもまるきり、コントに出てきそうな情けないオタクの声にしか聞こえない。ヤンキーにカツアゲされかなりオーバーに、このお金は○○の新作を買うお金なんですぅ~、と泣いているような。


「だっ……だからっ……あ……あぅっ……う……」


 けれど景虎のそんな声に、エリスの顔がますます赤くなった。夕焼けを通り越し、もはや内出血でもしているのか、というほどだったが……それで臨界点を通り越したのだろうか、エリスはばさりっ、勢いよく、景虎に飛びかかった。


「いっ……いろっ……いろじかけっ……!」


 さながら猫が、獲物にのし掛かり首筋に食いつくかのように、全裸のエリスが、がばっ、と景虎の体を抱きしめ、首に腕を回す。


「なっ、おまっ……!」

「だ、だから、いろ、いろじかけっ……! そっ……あ、う、だから……だから……」

「だかっ、だからっ、て、意味、意味わかんねえよおい……っ!」


 ぎゅうう、と、まるで間接技のごとく、エリスがきつく、横になった景虎を抱きしめる。二人の体に、一ミリの隙間も欲しくないと思っているかのように。まるで彼の体の中に潜り込んで隠れてしまいたい、と思っているかのように。


「だっ……だからっ、言ってるじゃん、色仕掛け……っっ!」


 がぶり、景虎の首の根元に噛みつくようにして顔を埋め、囁く。


「なっ……だから、なんのだよっ……!」


 景虎は自体の急展開に目を白黒させながらも、首の薄い皮膚で感じるエリスの吐息と歯、そして柔らかな唇の感触に背筋がぞくぞくして、体が震える。しかし、そんな体の震えも、抗議の声も、すべて……彼女の体に吸い込まれていく。エリスの素肌に。




 暖かい。




 最初に思ったのは、それだった。




 コンマ一秒にも満たない間に、まるで焼けたフライパンを手で触ってしまった時のように、反射的とも言えるスピードで、それは景虎の脳を、心を、体を、占領した。




 ……なんで、なんで……女の子、体……こんな……あ……う……




 思考もなにもかも、停止させてしまうような、暖かさ。結局のところ、この暖かさ以外に必要なものは、そんなにないんじゃないか。景虎でさえ、そんなことを思ってしまう暖かさ。




「う~……だ……だからぁ……」


 人の体が、こんなにも暖かで、柔らかで……。

 弱々しく、震えている。

 声はまるで、今にも泣き出してしまいそうな、幼稚園児のような声で。


「な……あ…………なん、だよ……だから……」


 そして甘い。


 密着してますます、甘い香りが景虎を包む。肺の中すべてがエリスの香りに占領され、体の内側から彼女に作り替えられていくような気がした。甘く、けれど爽やかで……なのに、脳みそをごちんっ、と殴られるように、なまなましくて。


 そして、柔らかい。


 体に押し付けられる、エリスの胸の柔らかさ。


 薄いTシャツ一枚越しに感じる豊かな膨らみの感触は、まるで信じられなかった。人間の体に、こんなにも柔らかくて素敵な感触のものが、くっついていられるなんて。夏の帰り道に食べるアイスより早く溶けていってしまいそうなほど柔らかで、なのに……彼女が身じろぎするたびに、ふるん、ふるるん、たゆんるろん……と、はじけることも溶けることもなく揺れ、その形を変える。


 エリスの、少し小さくなったという胸、それでもまだ、小さいスイカぐらいはありそうに大きな胸の感触はまるで、まるで、まるで……わからない。もうわからない。なにも。女性どころか人間との関係を半ば諦めているような景虎にはもはや、その肌は、ハリウッド映画の高級ホテルのスイートルームに登場するシーツのように滑らかで、その内に秘められた無限のような柔らかさは、上に乗って歩ける雲の柔らかさ、そんな言葉しか絞り出せなかった。その膨らみの先端の、少しぐにぐにとした感触をTシャツ越しにわずかに感じる箇所についてはもう、考えが及ばない。というより、そこに何があるのか、本当にわからなかった。こんなすてきな感触の、すごいものに、自分と同じような乳首がついているわけがないからこれはきっと別のものだ、そんなことさえ真顔で思っていた。


「……っ……ぁ~も~……だからぁ……ぅ……わたっ……私……だめなの、もぉ……だめだよぅ……っっ……うぅ……ぁ……っ……」




 とくん、どくんっ、どく、どくん……。




 スキップをしているような、ギャロップを踏んでいるような、彼女の鼓動の音が聞こえる。そうして実感する。今自分の隣には裸の女がいて、自分に抱きついている。そう考えると一気に、更に、頭が熱くなった。昭和のエロコメ漫画で、ラッキースケベを堪能したキャラが鼻血を吹き出す描写も今なら少し、納得できる。がきがきがきんっ、と鼓動のギアが一気に跳ね上がった気がして、どるるんっっ、と唸りを上げたエンジンの熱が体中に伝わって、ずぐりっ、と股間の根元で何かが脈打つような、いつもの感触もする。股間はあっという間に全力で立ちあがり、エンジンの熱に答える。全裸、全裸なんだこいつ、ってことは別に……つまり……別に、何を……しても……体の熱に当てられて途絶えがちな景虎の思考が途切れ途切れ、そんなことを企み、もそり、ベッドに寝転びなおし、よりきつく、かたく、彼女と抱き合い。




 そして、首元が冷たくなった。




 それが涙だと気付くと、ギアは一気に、下がった。




「さ……さみしい、さみしいよ……ねえ、なんでっ……なんでアンタ、平気なの……っっ……ふたっ、二人しかっ……いないんだよっ……もうっ……なんで、なんでっ……」




 ぽかぽか、ぱんぱん、背中に回されていたエリスの手が、駄々っ子のように景虎の背中を叩いた。その弱々しさに、思いっきり殴られるよりも遙かに強く、心を張り飛ばされた気がした。自分の中を満たしていた(よこしま)な気持ちが全て、一瞬にして、熱した鍋肌に垂らした水のように、じゅっ、と蒸発していく。後には気化熱で冷やされたような、ふて腐れる心だけが残る。股間はまだいきり立っていたけれど……けれど、だからこそ、思った。




 これは別に……アレだ、そういうのじゃ、ないヤツか……。




「……そりゃ………………しょうが、ねえだろ、俺は……元々、そういう人間なんだよ……」

「う~~~~~っ……っっ…………クソオタク、キモ陰キャ、奇人アピール男……っっ……!」


 ぱんぱん、ぽか、ぽかり。


「ずっと……ずっと誰も、いないんだよ、これからも、ずっとっ……なんでっ……なんっ……でっ……私たち、とっ……とりっ…………とりのこっっ…………されっ……ちゃったん、だよっ……!」

「……ん。だな……」

「そっ……ばっ……ばがぁ……なんでぇ……うぐっ……なんでっ……」

「んぐ」


 がぶり。

 首の根元に甘く噛みつかれて妙な声が出た。が、エリスはお構いなしに、泣き、喚き続けた。


「……あ~、なんだ……その……アレか……ええと……」


 エリスはむぐむぐ、甘く噛みついた景虎の肉の感触を確かめるように歯を動かす。痛くはなかったけれど、体がばたついてしまいそうなほどくすぐったい。それでも、今笑い出したらむちゃくちゃ空気の読めてない感じになるんだろうな、と思って我慢しつつ、なんとか頭を働かせる。その頭は今、まだ、十割が隣にいるエリスの体のことを考えて、感じていたけれどなんとか、どうにか、思考を滑り込ませる。そういうのなら得意だ。両親の発狂に一週間丸々付き合わされ、一時間後には学校へ出なければならない徹夜明けの午前六時、一週間ぶりの自慰と一週間ぶりのゲームと一時間の睡眠を天秤にかけ、ゲームを選んできた男なのだ、景虎は。


「…………一人で体洗ってたら、なんか、寂しくなって……それで、誰かと……アレか、人肌恋しく、なって……それで、誰かとくっつきたくなったけど……」


 なんとか、エリスの思考をトレースする。答えるように、ぽかり、ぽか、くすぐるような弱々しさでエリスの手が景虎の背中を叩く。


「俺しかいなくて……それで、色仕掛け的な言い訳……いや全然言い訳とかにもなっていなかったけれど……そういうので、くっつこうとした、という……理解で……合ってる……?」


 果てしなく自信はない。




 ……人間はどうしてこう、分かりづらいんだろう?




 これがゲームのイベントだったら、本の一節だったら、アニメのワンシーンだったら。




 作り手のエゴ丸出しな複雑なだけでクソ面白くない作りを☆1レビューで酷評してやるのに……人類と来たらレビューをどこに書けばいいかわからないし、誰に苦情を申し立てればいいのかさえ諸説ある。それに誰の背中や尻たぶにも製造元情報が書いてあるのは見たことがない。いや、ひょっとしたら俺が見たことないだけで本当はあるのか? 人類のサポートセンターの電話番号に公式サイトのQRが実はみんなにあって……なんてことまで思う。


 ……そんな、人間関係に困ると自動的に頭に浮かぶ言葉の数々、いつものくだらないことをぼんやり眺めていると、肩が、ぽかり。その「ぽかり」はどうしてか、その通り、と言っている気がした。


「オマエ、なあ……」


 体を少し離し、エリスの顔を見ようとしたけれど……ぎゅう、としがみつく手がそうさせてくれなかった。景虎の胸板でさらに胸が潰れるが、エリスはお構いなしだった。痛くないのか、と少し不思議になるけれど、その不思議さはすぐ、感触の不思議なまでの素晴らしさにかき消される。


「だっ、だからっ! ぃ……い、色仕掛け、って、言ったじゃん! こっ、これは、だからっ……だからっ……」

「なにが、だから、なんだよ……」

「だっ、だから、い、色々、して、もらったから……別に、あっ、あっ、そっ、だからっ、べ、べつに、あんたが、し…………したッ……したく、なっちゃったら、べっ……べつに……っ……わたっ、わたしはっ……べ……つにっ、いいしっ……」

「…………あのなあ」


 少々腹が立って、むりやり体を引き離し、エリスの顔を正面から見つめた。眼鏡は斜めになって、顔は涙と鼻水にまみれて酷い有様だったけれど……。




 けれど、綺麗だと思った。

 かわいらしい、と思った。

 いじらしいな、とも思った。

 それに、羨ましいな、とも。




 こんな風に、溢れてしまうぐらいの感情に身を浸せたら、どんな感じがするんだろう?




 いつだって、自分を冷静に観察するもう一人の自分が頭の中に定住している景虎には、わからない。虫のように、機械のように、半ば義務的に怒り狂うのではなく……嬉しい、寂しい、楽しい、悲しい、そういう、人間らしいと言われる感情に、すっぽり、身を包めたら、どれだけ……?


 涙と鼻水でぐちゃぐちゃになったエリスの顔を見ていると、どうしてか、綺麗だとか、かわいらしいだとか、むらむらするだとか、そういうこと以外の何かが、あった。それが何かはわからなかったけれど……その気持ちに心を浸しているとどうしてか、彼女の肩を掴んだ手を離したくなくなって、それどころか、また、くっつきたくなった。彼女と自分の頭をくっつければ、こんな自分の気持ちが伝わるかもしれない、そんなことまでをも思っている自分を発見して、少し驚く。


「……別に言ってくれりゃ、くっついてるぐらい、なんでもねえよ、わざわざ、こんな大げさにしなくても……俺だって……その、わかんねえけど、知ってるよ」


 父が陰謀論にハマる前。母が代替医療に傾倒する前。


 ジャングルジムのてっぺんから転げ落ちた自分を抱きしめてくれたことを思い出す。その次の年にはもう、政府は意図的に情報を隠している、などと言い出したのだが……抱きしめられて自分が嬉しかったことには変わりない。


 学校のカウンセラーが。養護教諭が。


 人に心があると信じようとしない小一の自分(だってそれって脳のことでしょ)をむりやり抱きしめたことも思い出す。こちらは未だに信じていないし、信じている人間は陰謀論を信じている人間と同じだな、などとさえ思うが、抱きしめられて自分が安心したことは変わりない。

 

 そして……さっきからずっと、エリスは自分を離そうとしない。


「し……っ……な、何を……」

「だから……なんか、アレだろ、抱きしめ合って、くっついてると、人間、落ち着くようにできてるんだろ? 知らんけど……」


 エリスにそれが、こんな風になってしまうまで求めてしまう気持ちがあるのは、理解できた。そして、そんな願いが満たされないのはきっと、辛いだろうな、とも思う。誰かに抱きしめて欲しい、なんて、景虎は思ったことさえないけれど……。




 ……こいつは。




 景虎は思う。




 こいつは俺が持ってないものを、持ってるんだ。




 ……いや、俺がこいつの持ってないものを、持ってるってことにしよう……。




「だから……まあ、いいよ別に、気が済むまで……」


 だから、どうにかこうにか、仰向けになって、彼女を抱きしめ、胸の上に抱き寄せた。まだ少し濡れている髪が弾みでぺしぺし、首元に当たってくすぐったかった。とりあえず、この態勢なら噛みつかれなくて済むだろう。


「あ……う……」

「いいよ、別に、なんも言わんくて、なんかその……キツいんだろ、わからんけど……」

「……ぃ…………」


 顔をあげようとしたエリスに声をかけると、数秒、そこで止まり……やがて、諦めたかのように、景虎の胸に顔を埋めた。


「ったく……面倒くさいヤツだなホント……」

「ぅ……ばか、ばか、ばか……」

「はいはいバカですキモオタ陰キャです……」


 そう言いながら彼女の頭を撫でてみると、どうしてか、胸の中に暖かなものが満ちていった。そうして、あの時の父や母、養護教諭やカウンセラーたちは、こんな気持ちだったのかもしれない、と少し思った。この暖かさがほしくて人は、恋愛みたいなくだらないことをするのかな、とも思ったけれど……いつものように自分を観察する冷静な自分は、なら猫でも飼いやがれ、と頬を歪ませながら皮肉っぽく言っていたので、やれやれ俺はマジで重症だな……と、内心でため息をついた。


 自分の肩に回されたエリスの手が、きゅう、とTシャツを握り、居場所を探すように動き回り……やがて、首の後ろでかっちりと組み合わされた。自分の薄い胸に顔を埋める彼女の頭の上、やんわり顎を置き、ぼんやり、天井を見上げる。景虎の鼻息で少し散ったエリスの濡れ髪が、Tシャツの上でぱらぱら踊る、鼻をくすぐる。


 最初は遠慮がちに、体を少し離していたエリスだったが、景虎の体温を感じている内にどうでもよくなって、やがて、全てを預けた。


 エリスの重さで少し、景虎はなにかを思い出した。しばらく彼女の毛先に鼻面をくすぐられながらなんだろう、と思い出していると、ぱちり、パズルのピースがはまるようにそれを思い出す。子どもの頃、ふざけて敷き布団の下に入った時の重さだ。あの、本当はみんなここにいるべきだ、と思うぐらいの安心感。ずっとここにいていい、誰かにそう許可されているような、暖かな重さ。


 その快い重さを味わっている内、どんどん、どんどん、互いの体温が溶け合って、肌の境界線がわからなくなった。ひょっとしたら重くて痺れているだけかもしれないけれど……ぴったりとくっついた彼女の肌はもう、すっかり、自分の体温に染まっている。自分の体温もきっと、彼女の体温になっている。Tシャツがなければまずかったな……と、何がまずかったのかはわからないけれど、景虎は思った。


「……なあ、知ってるか、ASDだかなんだか忘れたけど、なんか、抱きしめ機みたいな機械を作った人がんぐむぉっ」


 と、反射的に豆知識が脳からこぼれ落ちた景虎の唇を、また、エリスの手が塞いだ。それがなんだかおもしろくて、くつくつ、喉で笑ってしまう。そうすると、まるで迷子になった子どものように泣いて、震えていたエリスの肩も、震えた。


「……っ……」

「ん……っ……」


 それで……景虎は下半身を意識してしまった。


 鉄の、鋼の、金剛石(ダイヤモンド)の意志で持って意識しないようにしていたのに……薄いジャージの上から、きんきんに堅くなった股間を、エリスの太ももが軽く、持ち上げるように腹へ押し付ける形。十七年間、無意味な強がりを続けている意思の力で持って無反応を貫こうとしていた景虎だったけれど、肌が溶け合いそうなほどぴったりとくっついたエリス相手に、それは無理な話だった。太ももで景虎の股間の、意味不明なほどの堅さと大きさを感じたエリスが大げさに、びくんっっ! と体を跳ねさせ……それでまた、柔らかく、暖かな太ももが股間を撫でる。今度は少し予想できていたから、歯を食いしばって耐えた。


 それからしばらく、何事もなかったかのように太ももは、股間の上で動かなかったけれど、やがてエリスは口を開いた。


「……ね……ねえ、あの……えと……わっ……私、し、しよう……か……?」


 エリスは何も、そこをそこにあてよう、と思ったわけでは、ない。ただ気がついたら、自分の太ももが、その上にあった。そして落ち着けば落ち着くほど、ジャージ越しに当たる熱く堅いそれが、まるで靴の中にずっとある小石のように気になって仕方がなくなる。そして一度気になってしまうと、その小石が小石ではなく男性の性器、勃起している、ということは……と、連想ゲームは進んしまう。




 たしかに、たしかに……。




 たしかに自分は色仕掛けをしに来たわけだし、そういうことも覚悟して来たけれど……太ももで感じるそれは、単純に不思議だった。なにかしら医療が必要なんじゃないか、とも思ってしまう。マジで、堅くて、おっきくて、熱いんだ……と、少し感動さえあったけれど……それを感じているのが自分の太ももで、その持ち主が景虎だと思うと、なんとも……なんとも、どうしていいか、わからなかった。エリスは男性向けの本も嗜むから、こういうシチュエーションのある薄い本ならいくらでも読んだことはある。けれど……いくらかはかわいくなったとはいえ、自分が、そういう本に出てくるようなセクシーお姉さんではないとわかりきっているし、景虎もまた、美ショタではない。




 けれど、本当なら……ホントなら。




 女であることをうまく使って、痩せて可愛くなったこの体を使って、景虎をうまく操って、私にぞっこん惚れ込ませて、それで、そう、あの、女スパイみたいに振る舞って……そして……そして……?




 思わず、ため息がこぼれ落ちそうになってしまう。




 何が女を使う、だ。バカか。




 景虎が今まで、自分を女として見ていたことなんて、きっと、一度もない……っていうかまず、人間を人間だと思っているのかが怪しい。なのに……そんなヤツなのに、コイツはずっと、そうだ。私のことを、ずっと……ずっと、友達だと思ってる。思って、くれている。痩せてからもそうだ。ひょっとしたら、そうできなくなっているのかもしれないけど……少なくとも、そう見ようと努力してくれている……きっと。彼にとってそれは、きっと、たぶん、いや絶対、恋愛絡みのことじゃ、ないけれど。




 私は今までの人生、女で得したことなんて一度もない。




 恋愛とかは普通の子のためのもので、私みたいなのは、それを酸っぱい葡萄みたいに眺めながら暮らすしかない。そもそも女の子とかそういうこと以前に、人権があるかどうかもだいぶ怪しかった。標準体重プラス三~四十キロでいるっていうのは、この国だと、女子高生だと、そういうことだ。けど、自分はそんな生き方を選んだ、と思っていて、そう生きてきて、それでいいと思ってた。ずっと一人で生きて、一人で死ぬ。誰にも迷惑はかけないし、かけられない生き方をする。なのに。




 この世界に、取り残されてしまったんだ、と気付いた瞬間。




 体の中ががらんどうになったのかと思うほど寂しくて、気が狂いそうになった。今までの自分はわかっていなかったのだ。大勢の中でひとりぼっちでいるのと、本当にひとりぼっちなのは、全然、違う。殴るぞと脅されるのと、実際に殴られるのぐらい、違う。どっちもゴメンだけど。けれど、これは……これは。狂ってしまいそうになる。もう誰もいない、なんて。


 いやきっと……きっと、狂ってしまったんだと思う。こんな……こんなヤツ相手でも、受けとめてほしくなる、くっついていたくなる、見捨てられてないって思わせてほしくなる、甘えたくなる、なんて……なんて……そんな、そんなバカな、いかにもバカな、依存体質のオンナノコみたいな……私が、この私が……。


 けど、そんな自己嫌悪にも、浸れなかった。


 誰かの体に体重を預け、頬をぴったりと合わせながら目を瞑り、時折、頭を撫でられていると……もう、これだけでいいや、と思ってしまいそうになって……それで……それで。


 ……それで、まあ、それで、その、下の方が、こういう風に、なったんなら、まあ……それは……なんか、私の、責任かなあ、って、思うし……私も、まあ……なんか……してみたくはあるし……。


「…………あほ、寝ちまえ、ばか」


 だが、景虎は軽くエリスの頭をはたき、そのまま撫で続けた。


「だ、だって……あ……う……し、してもらって、ばっか、で……わ、わるいよ……」

「……ばかたれ、寝ろ。脚どけるだけでいい」


 景虎は吐き捨てるように言い、しかし、それでも頭をなで続けた。腕はとっくにだるくなっていて、少し痛いほどだったけれど……なんとか撫でやすいポジションを見つけ、休み休み、それを続けた。頭を撫でるたびにエリスが、満足そうな熱い吐息を自分の胸と腹の間ぐらいに吐きかけるのが、どうしてか嬉しかったし……。


 そちらに集中していれば、下半身を考えずに済むと思ったのだ。




 ……十の内、九は、してもらいたかった。




 けれど……けれど、残りの一が、一億で叫んでいた。




 ここでしてもらうのは、なんてカッコ悪いことだろう、と。




 生まれてから十七年間、自分がどれだけカッコ良く見えるか、それだけを気にして生きてきた彼にとってそれは、何よりも重要だった。世界総人口が二人だというのにそんなことを気にするのは無意味だ、と、景虎自身もよくよく理解していたけれど……それは彼にとって、まったく、完全に、関係ない。




 彼がカッコつけたい相手は、自分だ。




 自分で、自分のことを、変わってて、カッコ良くて、すごいヤツだと思いたい。景虎の欲望すべてを一言でまとめるならきっと、こうなる。世界中誰に認められようが、誰にも認められなかろうが、まるで関係ない。




「なっ、なんでっ、だって……」

「あのなあ……オマエにはこれから色々してもらうんだよ、車の運転って、こういう世界で一番重要なこと……それに、ビジネスやってるんじゃねえんだから、別に、してもらってばっかで、何が悪いんだよ。それに俺は、してやろうと思ってしてるんじゃねえよ、したいって思ったからしただけだ。だから……だから、言ったろ、俺はオマエのことを考えてるって」

「なっ、あっ……だ…………だからっ……わっ……私が、気が、引けるっ……だ、だから、いいよ、しっ……私、したいもんっ……」

「あのなあ……ムリすんなって、だから……」

「ムリは、あ、あ、んたでしょっ……な、なに余裕ぶってんの、むかつく……ち、ちんちん、こんな、ばきんばきんのクセして……っっ!」

「あぃっ! ……あのっ、なあっ、オマエっ……世界最後の一人でも、俺相手はナシなんじゃねえのかよ……!」

「……だ、だから……これは、違うじゃん、別に、告ったりとか、そういうんじゃ、ないし……」

「……あ、白鷺さん、そういうの抵抗ないんだ。へ~、付き合ってない男に、そういうの、できるんだ、へ~」

「ぅっ……! うっさいな! な……なに、あんた、世の中の人全員が、告白してから付き合ってそれでちゅーしてえっちして結婚して子どもできる、とかそういう世界観なわけ!? オタくっさ~~~~っっ! 小学生かよ~~~~~っ! 一生童貞確定の処女厨~~~~~っっ!」

「な、あ、て、テメエもそうだろ!? ショタ輪姦ものは隠さないクセしてTLの寵愛もの溺愛ものこっそり買ってんの知ってんだからな! テメエも一生処女だ死ぬまで私にだけデレるドS上司待ってろバーーーーーカ!」

「だッッッッッッ! 関係ないでしょッ! あ、あ、あ、アンタだって、アンタだって、洗脳ものと媚薬ものが股間にイイとか言ってるクセして授乳手コキものと甘やかしものブクマしてんじゃん!」

「しッッッッッッ! してねえッしてねえッ! み、みすくり、っく、いやあれはプッカさんのファンなんだよ俺はスゴい人なんだあの人はッ!」

「あ~も~~~! だ、か、ら、別に、してもいいって言ってるじゃん!」

「だから! だっ、だから、しなくていいって言ってんだろ!」


 と。


 いつものような罵り合いに発展し、睨み合う二人。




 だが、いつもとは違い、どちらからともなく息をついて、顔を見合わせ……再び、抱き合った。どうして、いつものように肩をパンチしあってしばらく離れることにならなかったのか、今の二人は思いもしなかったけれど……きっとそれは、同じようなことだからだろう。


「…………その……だから……」


 まだ少し、怒鳴った感触の残る喉で言葉を絞り出す景虎。そこから数十秒、ひょっとすると数分、エリスの頭を撫で続けながら、彼は必死で、頭を回転させた。下半身にだいぶ血流をとられてはいたけれど、それでも今の彼なりに、全力で。


「……………………エリスに、されたくない、ってことじゃ、ねえよ、だから……その……こういう風に、なし崩しにしたら……なんか、絶対、お互い、良くないだろ……オマエ……その、さっき、なんか、アレんなってたし……」


 ようやく探し当てた言葉は、なんとも頼りなく、ふわふわとして、意味も曖昧。けれど……エリスならきっと、わかってくれるはず……とお思って彼女の顔を見ると……既に目をつぶり、すやすやと寝息を立てている。景虎はため息をつき、後頭部を強めに突いた。


「いや絶対寝てないよなさっきの今で」

「あはは、やっぱバレるかぁ……でも、マジで……怒鳴ってたら、眠くなっちった……」

「現金なヤツだなホント……だから……いいよ、寝ちまえって、大抵のことは、寝て起きたらどうにかなってるもんだろ」

「……も~……今から、やっぱしてほしい、って言ってもだめだからね……? 最終受付まで、5、4、3……」

「あほ、とっとと寝ろ」




 そうして、ようやく、寝息を立て始めたエリスの頭を撫でながら景虎は。




 コンドームの消費期限はだいたい五年、という防災知識を思い出し……それを頭から追い払い……やっぱりもう一度迎え入れ……しかし思い直して蹴り返し……いやごめんと抱きしめて家に入れ……もう限界だと追い出し……やっぱりキミが必要なんだと叫び……一時間強は眠れない夜を過ごした。果たしてこの夜を後々自分が思い返したとして、自分はカッコ良かった、と思えるのだろうか、とも考えたけれど……それは果てしなく、わからなかった。




※予防線※


この作品は性的な描写を目的にしたものではありませんが、なにが性的な描写を決めるのは、この場においてはなろう運営様です。なので……警告が来たらその部分はノクターンへの切り分けを予定していますが…………何卒、何卒……

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