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第22話 I want youを俺に

 慌てた。正直、面倒な事を言われたり恫喝されたりするだろう。

 今後、また何かを要求されたらあまりにも面倒くさい。


 手紙を残されるよりかいいのか、捨てる時になんだか申しわけなくなるし、開けると胸を刺すだろう。

 憂鬱な十分間、逃げたかったが店長には世話になっている。

 今から始まる時間が憂鬱だ。

 電話がかかってきた。携帯を渡され、電話口に出た。


「もしもし、今回は迷惑をかけてごめんなさい」


「許さない」

 こちらに押し付けがましい好意を持った以外はそう悪くないのだが、病気と言われたのは許せない。


「本当にごめんなさい。貴方の事を傷つけたかったわけじゃないの。もう私の事嫌いだろうけど、最後に話だけ聞いて、私ね貴方と少し前に会った事あるの」


 父は大阪の酒販売店の役員だった。

 だから貴方の行っている店に圧力をかけたの。

 ごめんなさい。切らないで、でもね本当に会いたかった。

 覚えていないだろうけど、私区役所に勤めていたの。

 貴方が保険料を踏み倒して督促状を無視して、貴方の家に派遣されたのが私なの。

 あの時はメイクをしていたから、分からなかったかもしれない。

 私、あの瞬間、貴方に恋をしたの。

 貴方みたいな人にディズニーランドで告白されたらどんなに幸せか、私馬鹿だから安直に考えちゃって  父にそんな人いるんだって言ったの。

 そしたら父がわざわざ探偵を雇って、ハーレクインバターにたどりついた。


 父は私を愛しているから、圧力をかけてディズニーランドまで来させたの。

 それからは貴方が知っている通りよ。

 親は貴方を病気だと言った。

 私もそう思う。

 治せるとわた……。



「店長、切れちゃった。今、着拒したから連絡来ないよ」


「私、あんたがキレたとこ初めて見たわ」


「いやこれはキレていいでしょ。結局、自分の価値観と都合を押し付けたわけだ」


「病気は言い過ぎだし、ダメよね。でもマイノリティがマジョリティになることが出来ないのがここよ。無理解」


「俺は俺で生きていくよ」


「それをそうさせてくれる為に啓発活動があるのよ」


「今日は帰るよ。今回はたまたま運が悪かった」


「性愛に囚われずに言うけど、あなたみたいな人はうちの店にとって必要よ」


「ありがとう店長。また週明けに顔を出すよ。仕事、溜めといて」

 必要と言ってくれて嬉しかった。今日は燻製を買って帰ろうかな。


 店長いいとこあるじゃん、ありがとう。


 君がくれた厚かましい感情。

 本気だから何でも許してくれるわけではないんのだよ。


 ハグとデートの仕事もいつまで出来るかな。

 俺は机に眠るヤンを見た。

 こういうこともあるんだよ。


 いらないけど。

 I want youを俺に。

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