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夕立の詩(うた)  作者: 富永真一
15/26

入院

「ああ・・・・・・」

勢いよく鼻の穴から血が流れ出る。あっという間に両手は赤く濡れ、滴る血を受け止める。拓海の走っていった先で、小さい子が泣いている。その子をなじる声もする。考える間もなく直樹は自分の体がひとりでに歩き出しているのを意識した。廊下を拓海の行った方に歩いていく。


「たく・・・・・・」


声を出すと、その響きで痛みが増した。視界も涙でぼやけている。そのまま数歩歩いたが、両の掌から鼻から出てくる血がこぼれそうになったので、そばにある水道のシンクにそれを流した。ついでに水で鼻を冷やす。


「ああ・・・・・・」


シンクに鮮血が流れていく。シンクの銀色に赤が鮮やかに見える。廊下では男の子に怒りをぶつける拓海を止めるために大人達が集まっていくのが分かった。


「あ、あ・・・・・・」


すぐにタクシーで病院に搬送された。鼻骨骨折と診断され、その日のうちに手術をした。相当の痛みを伴う手術だったが一週間から十日安静にしていれば日常生活に戻れるとのことだった。

 

 母の登美子は直樹の怪我の連絡を受けると着替えなどの身の回りのものを持参して駆けつけた。それから毎日見舞いに訪れた。


元来大人しく口数が少ない母だったが、最近は体調を崩しがちでコンビ二に出ることも減っている。


大きな怪我や病気をしたことがない直樹の入院には狼狽したようで、普段見せない心肺ぶりだった。


術後の顔全体が腫れて包帯が巻かれている様子を見た時には涙さえ見せ、少しずつ回復する直樹の様子を見るのさえどこか辛そうだった。


術後もしばらく患部は固定され、直樹は食事は流動食を喉に流し込む方法をとらされ、ベッドで安静にしていた。


          つづ


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