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もしも翼が生えたなら
「もしもに翼が生えるとしたら、何したい?」
休み時間。いつもの三人で喋っていると、美希がもしも話を始めた。
「私は翼を使って世界旅行に行きたいな。飛行機代とか浮くし!」
「飛んでる間に鷹とかに捕まらない? それに空は寒くて空気薄いよ?」
「現実主義ね。もしも話だから浪漫がないと。そういう樹はどうなの?」
「私はいらない。今までの生活全部が狂いそうだから。面倒くさい」
「ほんとうざいくらいに現実主義ね。じゃあ、宝くじが当たったら?」
「別荘買って豪遊する。買うなら富士山が見えるところかなー」
「そこは貯金じゃないのね……神奈はどうよ? 翼が生えたら?」
私と美希は先ほどまで黙ったきりの神奈に顔を向けた。彼女は何やら真剣な表情で考えている。いつになく本気の神奈に場に緊張が走る。
「私は……私は弟に翼をはやし、少年天使として崇め奉るわ!!」
鼻血を出しながら答える神奈に私たちは唖然とする。流石ブラコンだ。




