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ポスト違い
私は昼頃に喫茶店でコーヒーを飲みながら新聞を読むのが日課だ。
もう何年も続けている。今日もいつものように新聞を読んでいると、隣に学生らしき若者がやってきた。こんな田舎に若者とは珍しいものだ。
「昨日ポストしたやつなんだけどさ……」
最近の若者は郵便ポストに入れることを『ポストする』と言うのか。言葉というのはどんどん変わってゆくのだな。
「言いたいこと多過ぎて、連投しちゃったんだよね。そしたらさ……」
ほー、最近は手紙を小分けにして入れる時代になったのだな。確かに重量が多いものは小分けにした方が料金が安く済むかもしれんな。
「そのうちの一つが炎上したんだよね。まあ本音だから何もしないけど」
炎上を放置だと。それでは他の人の手紙も燃えてしまうではないか!
「君たち、ポストが炎上したのなら、ちゃんと消防署に連絡しないと!」
私は我慢ならず学生に注意した。彼らは呆けた表情で私を覗いていた。




