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ベンチキスの観客たち

 彼女との初めてのデートは想像していた何倍も楽しかった。

 おしゃれなコーデ、アトラクションで見せた様々な表情、俺を気遣ってくれる優しさ。そのどれもがすごく愛おしかった。

 デートも大詰め。俺たちは大きな公園のベンチに腰掛けた。この公園には湖があり、月夜に照らされた湖はとても綺麗だった。

 二人で今日の思い出ばなしに花を咲かせる。周りはシンとしている。まるで二人だけがこの世に取り残されたみたいだった。会話はつき、二人の間にも静寂が走る。互いに見つめ合いながら同じ気持ちを抱いていた。

 男である俺から行くべきだろう。そう思ったが、うまく動くことができない。なぜなら、さっきからずっと彼女の横に女性の『幽霊』が笑みを浮かべているからだ。それだけじゃない。ベンチの周りに幽霊がウロウロいる。彼らは観客のように俺たちを見ていた。

 彼女の存在が愛おしいのに相反して、幽霊の存在は鬱陶しかった。

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