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身に覚えのない痴漢容疑
痴漢だ。目の前の光景に開いた口が塞がらない。
俺はしてない。しかし、俺の周りには不幸にも女性しかいない。
「キャッーーーーーー! この人、痴漢です!」
電車内に響き渡る悲鳴。彼女は痴漢加害者の手を握っていた。握られた手を見ると眼鏡をかけた根暗な女性の姿がある。彼女と俺の視線が合う。
「違います。私、この人が痴漢しているのを止めようとしただけです」
すると痴漢加害者はありもしない発言を言い始めた。しかし、周りに俺以外の男性はいないという事実から信憑性はかなり高いものになっている。実際、電車内のみんなは俺の方を怪しく睨んでいる。
次の駅で痴漢被害者、痴漢加害者、そして俺を含めた三人が降り、駅員が警察に通報。警察がやってくると俺たち三人に事情聴取を行った。
結果、なぜか俺が痴漢容疑で逮捕されることとなった。
たとえ真実が違うとしても、理屈的に正しい方に決定されるみたいだ。




