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『友達』と『仲間』と『知人』
大学でいつも一緒にいる二人と、三人で焼肉を食べに行った。
「いいじゃねえか、俺たち友達だろ」
隣にいた学生はそう言って、向かい側にいる学生へと箸を伸ばす。狙うは先ほどまで彼が大事に焼いていた肉だ。他のものが焼けるまで時間があるため、彼のをもらおうと思ったみたいだ。
「俺たちは別に友達じゃない」
「ちぇっ。じゃあ、俺たちはなんなんだよ?」
「仲間だ。同じ学部でともに卒業を志すもの同士だ。なんの意味もなく洒落あっている友達とは違う」
「細かいことは気にするなって。友達も仲間も一緒だよな」
隣の彼は僕に同意を求めてきた。僕は手元にあった焼肉を食べながら、二つ返事をした。僕としては彼らは友達でもなければ仲間でもない。
ただ学部が同じになっただけの知人だ。卒業したら会わないだろう。




