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無意識な白い思い出
授業後、俺はいつものように誰もいない教室でギターを弾いていた。
見える幻想的な夕暮れの景色に、聞こえてくる部活動の声援。それらを感じながらギターを奏でる。時々、一つ上の階にある音楽室からピアノが流れる。伴奏者は俺が弾いているギターの音に合わせてメロディーを奏でてくれた。ピアノのおかげで弾き方が難しいパートにあたってもなんとか演奏することができた。伴奏者が俺を引っ張ってくれるのだ。
だから俺は授業後にギターを弾くのが楽しみだった。誰かわからない伴奏者との演奏は学校で一番幸せな時間だったと思う。いつか会えたらいいな。一緒の時間を過ごしている内に俺は伴奏者に惹かれていった。
「って感じの物語なのですが、どうですか?」
俺は昨日思いついた内容を担当編集の人に伝えた。彼は書類のチェックを終えると俺を見て微笑む。心なしか怒っているように見えた。
「盗作はダメ」と彼は言う。どうやら既存の作品を思い浮かべたらしい。




