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いつも置かれた赤い傘
教室の向かい側にある傘置き場には、いつも赤い傘が置かれている。
登校して教室に入る時も、教室から出て下校する時も、いつも同じ位置に同じ向きで置かれている。その赤い傘を誰も見向きもしない。まるで幽霊のように存在を忘れ去られてしまったみたいだった。
ただ僕だけは、教室に入る時も出る時も赤い傘へと目を向けていた。
そうして半年が過ぎた。
今朝の天気予報では『晴れ』と言っていたのに、下校する時には大粒の雨が降っていた。もちろん傘は持って来ていないので帰れそうにない。
「なーにボーッとしているの?」
ボケッと雨を見ていると不意に頭を叩かれる。見ると同級生の姿が。
「なんだよ。傘忘れたから帰れねえんだよ」
「アホ助じゃん。仕方ないな、私の傘に一緒に入れてあげる」
そう言って彼女は、入院中、学校に置いていた赤い傘を外へと広げた。




