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束の間の夢のような光景
瞳を開くと、目の前には魅力的な光景が広がっていた。
見える光景は瞳を閉じる前と少しも違いはない。だが、前は味気なかったその光景がまるで夢の国にでも来たのではないかと思えるほど光り輝いて見えたのだ。
私たちは自宅近くの公園の一画で『シャボン玉』を楽しんでいた。それもただのシャボン玉ではない。人を包み込むことができるほどの大きなシャボン玉だ。お父さんが輪っかを上にあげてくれたことで輪っか内にいた私はシャボン玉の世界に包み込まれた。シャボン玉がシールドとなり外の世界と私を隔てる。今なら水中に入っても私だけは空気を持ったままかもしれない。シャボン玉の潜水艦。なんて素敵なものだろう。
バンッ!
でも、それは束の間のこと。シャボン玉は綺麗に弾け、現実に引き戻されるかのように私の体はびしょ濡れになった。




