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気持ちと空模様
物語では、気持ちはよく空模様に例えられる。
嬉しかったり、喜んだりした時は太陽の光が強く輝き、青い空が広がっている。逆に悲しかったり、辛かったりした時は太陽は雲に隠れ、曇り空となる。時には大粒の雨が降ったりする。
その他にも、不穏な気持ちを抱いた時には雷が鳴ったり、ロマンチックな気持ちを抱いた時には雪が降ったりする。
気持ちと空模様は常にリンクしており、主人公の感情をより一層引き立ててくれる。
しかし、現実においてはそうはいかない。ここには数十億の主人公がいて、皆がそれぞれ違う感情を抱いている。だから一人の人間の気持ちと空模様がリンクするのは、ごく稀だ。
墓石の前に佇む僕に向けて太陽は鬱陶しいくらい光り輝いていた。僕は空を見上げると、宙を漂う雲に光を遮ってくれるよう強く願った。