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ステージと客席の距離の差

　私には結成当初から応援しているアイドルグループがいる。

　小さなライブハウスから始まったアイドル活動。私は最前列に立ち、彼女たちの踊りに合わせてサイリウムを振った。ライブ後はメンバー各々とチェキを撮って思い出として残した。

　地味なアイドル活動だった。それでも少しずつ認知され始め、ファンは年々増えていった。認知度が高まったところでファンクラブが発足された。私はすぐに登録し、会員番号『Ｎｏ．１』を獲得した。

　それからさらに認知度は高まり、ある曲がＳＮＳでバズり、テレビ出演を果たすことになった。それで爆発的に認知度は高まり、始めは小さなライブハウスだった会場は、数万の客席がある大きな会場へと変化した。

　私の熱量は最初から今に至るまで少しも変わりはしなかった。ただ、彼女たちの人気が高まれば高まるほど、私と彼女たちの距離は離れていく。

　この熱が彼女たちに届いているのか私はとても不安になった。