23/122
ご褒美は苺タルト
幼い頃から『苺』が大好きだった。
そのままの味もさることながら、練乳をかけたり、チョコをかけるのも好き。ショートケーキなど苺が添えられた食べ物も大好きだ。その中でも一番のお気に入りが『苺タルト』だ。食感のいいパイの生地に、中に注がれた甘いクリーム。そして、クリームの上には苺がふんだんに並べられている。苺好きとして、これを嫌う理由がない。
だから家族の誕生日の時には、いつも苺タルトを食べている。ただ、一人前の苺タルトは少々物足りない。できれば、ホールで作られた苺タルトが食べたい。だって、あれにはたくさんの苺が乗っているから。
ある夜、お父さんが大きな箱を持って帰ってきた。「それは何?」と尋ねると、笑みを浮かべて箱からホール型の苺タルトを出した。私は目を大きくして苺タルトを見入った。先週取った満点のテストのお祝いらしい。 ご褒美とはまさにこのことを言うのだろう。




