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限りある時間の中で
皆既日食。月によって、太陽がすべて隠され見えなくなる現象。
正確にはすべて隠されるわけではない。太陽が月によって隠されることで今まで見ることのできなかった太陽が浮き彫りになる。太陽を取り巻く希薄なガス『コロナ』。太陽の縁の外に見える炎状のガス体『プロミネンス』などだ。さらに皆既日食の終わりには月の谷間から太陽の光が漏れることで引き起こされる『ダイヤモンドリング』を見ることができる。
日本では、数十年に一度の頻度でしか皆既日食を見ることができない。ずっと同じ地点では頻度は数百年に一度となり、死ぬまで見ることができない可能性もある。
「うぁー、やっぱり綺麗だな」
でも私は今回で見るのは12回目だ。なぜなら皆既日食を見るために世界中を渡り歩いているのだから。
限りある人生。行動することでしか綺麗な景色を見ることはできない。




