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サンコウチョウ
「うわー、サンコウチョウだー。珍しいー」
自然の写真を撮るためにカノジョと二人で林道を散歩していた。その途中、見上げていたカノジョが嬉しそうな声を上げる。視線の先を見ると、尾の長い水色の瞳をした鳥が木に止まっていた。見たことのない鳥だ。
「へー、サンコウチョウなんてよく知ってるね」
「昔、図鑑で見たことがあるの。鳴き声が『ツキ、ヒ、ホシ、ホイホイ』だから三つの光でサンコウチョウなんだって。変な由来だよね」
すると、サンコウチョウが話を聞いていたのか不意に鳴き始める。
「んー、『スイ、シ、ホイ、ホイホイホイ』にしか聞こえないけどな」
それから何度か聞いても、そのようには聞こえなかった。そのうちにサンコウチョウは別の場所へと飛んでいってしまった。
「全く由来通りには聞こえなかった。付け方が強引にもほどがあるね」
「耳がおかしいんじゃないの。てか、どうしよ。写真撮り忘れちゃった」




