守護さんの交代
「私の存在に気づいて下さりありがとうございます。」
ある女性の後にいた守護さんが、疲れた顔でこう言われました。
そこから守護さんの今までの活動をお聞きする事になりました。
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「この方のサポートをして8年ほどになるでしょうか。この方の指導役(守護霊など)は何回も交代されているので、私はこの方とは血縁も何もない関係の者です。」
ほとんどの人には守護さんと思われる、現世での指導や助言を行う指導者がついておられます。私が見て来た中では亡くなられたご先祖様や産土の神様など、何かしら本人に関係の深い方が多いようです。
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運よく事故を回避出来た。人生でとても大事な人に旅行先で出会った。この仕事を始めてから楽しい事が増えた。などなど、不思議な体験は皆様経験あるかと思います。
また、ここに行くと調子が悪くなるからもう行かないようにしている。などもありますね。
よい知らせも悪い知らせも受け取るのは本人にとって必要で、心の持ち様でもありますが、好きな道を見つけて邁進したり、人を幸せにしてあげたいと考えて行動したりなどという、本来歩むべき道を理解したりすると、守護さんの声を受け取る事も、それを聞いて物事を判断する事もより早く、より正確になって行きます。それは無意識な状態でも可能です。
なので、本人も愛を感じる事が増えていき、感動が増したりラッキーと思われる事もますます増えていきます。
その反対に、守護さんからの声を全く受け取れない方もあります。
それは本人が聞く耳を閉じていたり、他の存在に邪魔されたりと原因はそれぞれありますが、産まれた瞬間には全員聞こえているのですから、また聞く耳を持つようになっていく事も出来ると私は思っています。
今、私とお話しされている守護さんはとても疲れておられました。
「私が何度呼びかけても気づかないのです。それは、私のような目に見えない存在がいることを否定しているので、自分の直勘も閉じています。例えば、そちらへ行っては危ないと言っても気付きません。
また、あなたのように感受性の強い方にお願いして、この方に話しかけてもらっても一向に受け入れて下さる様子もありません。私の力ではこれ以上の働きかけをする事も出来ないので、この度、指導役を交代して欲しいと神様にお願いしました。」
なんとも切ないお話しでした。
「どうしてこの彼女は指導者さんのサポートを受け入れないのですか?今まで何人もの指導者さん方が試されたんですよね。」
そう問う私に目の前の女性の守護さんはため息をつかれるようなイメージを送って来られます。
「頑ななのです。何重にも殻を作って引きこもり、心にも鎖を巻いて、心が成長して大きくならないようにしているのです。」
幼い時から、家族によって傷つけられ、苦しめられてしまったらどうなるか。まず何も考えられないでしょう。縮こまって耐えるしかありません。
それは仕方ないことで、そういう目にあった子供達はほとんど同じ行動を取ると思います。
現実逃避や記憶の封じ込め。
助けを求める相手もなく、自分を守るためにしてきた行為。
それが自分のまわりに分厚い層を作り、自分以外の全てを受け入れなくしていると言われます。
ただ、人によっては育つ過程でその殻を自分の力で叩き壊します。その方がいいと思うからです。そう思わない人はさらに閉じこもります。
硬い殻に閉じこもった人を取り巻く環境下では、受けた痛みや苦しみなど負のエネルギーも昇華されることがないので、その人から去ることはなく、かと言って新たな楽しみや幸福感などのプラスのエネルギーもやって来ない。
そう、まるでビデオを、巻き戻しているかのような同じことの繰り返し。
配役や環境が変わっても新しい感情や考え方はなかなか生まれて来ないのです。
本人はそれでも成長してると思っていますが、周りの人からしたら何も変わってないのです。
せっかく変化を与えようと救いの手を伸ばしてくれた人がいても拒否します。なんのかんのと理由をつけてお断りするのですから誰とも深く関われません。誰の言うことも受け入れず信用しないので、気がついたらいつも1人きりに戻っています。
何十年生きて来たとしても、成長しなければ同じ事。ただイタズラに歳を重ねるだけであり、魂の学びはそこで止まってしまうそうです。
それを望む方もあるのですね。
いえ、それしか知らないのかもしれません。
そういう方の指導はどうするのでしょうか。
「まず、今の自分の状態に気づいてもらわなくてはいけません。そうでないと何も進まないのですから。ですけど、私の力では出来ませんでした。」
人が成長すると守護さんも出来る事が増えてパワーが増します。逆に無視されたり拒否され続けると守護さんのパワーは減っていくばかりで補充されないそうです。
神(=天からの愛)を信じていない方にとって〝気づき”というのを理解する事は難しいようで、寿命を終えた後でやっと気づく方も多いと言われます。
「この方と一緒に暮らしている犬もまた、この方の影響を受けてしまっています。大抵の動物は自死する事を知りません。寿命を超えて生きるとどうなるか。病を患い生死の境を何度も経験するのはとても苦しいこと。そうは思いませんか?」
執着。
自分しかお世話出来ない。自分しか頼る者がいない。
自分から離れていく事はない。
そういう存在を見つけた時、彼女は狭い自分の世界にこの犬も閉じ込める事にしたのです。出来るだけ長く生きて欲しい。
なんて身勝手な話なんだろうと思っても、本人はわかっていないのです。
あなたの執着がこの地球に一つの魂を縛りつけている事を。
◇◇◇
この方には実のお兄さんもいたそうです。
お兄さんと2人で支え合って、つらい生活から抜け出すことも今世の課題だったそうです。
「助けて欲しい。」
と言っても全て叶えられるとは思いません。それでもいつかは誰かが助けてくれたかもしれない。また、自分で乗り越えたかもしれない。
とにかく今の現況がつらく苦しいものであり、もっと楽に生きる道があるはずなんだ。こんなのはおかしい。幸せになりたい。
「誰か助けて。」
まず、この方の場合は自分で助けを求める声を出す事が必要でした。
意思表示は大切です。
その先に、自分を助けてくれる人が現れなくて絶望があったかもしれない。
それでもあきらめずに助かろうとする強い意志が必要でした。
もしも、あなたを助けてくれる人が現れ、苦難を乗り越えた先にはそれ以上の喜びが用意されている事もあったでしょう。
どちらにしても起きてないことはわかりません。
「次の指導者(守護さん)はもう決まっていますか?」
私の質問にも女性の守護さんはため息をつかれます。
「いいえ、まだ決まっておりません。成り手がないのです。私がなぜこの方の指導役になったのか。それはこの方が本来、動物や植物と心を通わせる能力の持ち主で、美しいお花を咲かせるのが得意だったからです。私はお花が大好きです。現世で現世のお花を育ててみたかったから手をあげました。あなたは神界の薔薇をご存知ですか?神界の薔薇はとても美しく、大きくてトゲがないんですよ。」
守護さんが明るい顔で言われました。
「早く天へ帰って、美しいお花をいっぱい育て、また仲間達とお花畑を作りたいのです。」
そんな弾けんばかりの楽しそうな顔で言われては私も苦笑するしかありません。
「お花畑、輝いてそうですね。」
「あなた様にはご迷惑をおかけします。この方の次の指導役が見つかるまでは、あなたの指導役の方に兼任をお願いすることになりましたから。引き受けていただいたあなたの指導役の方にもお礼を申します。ありがとうございました。」
「えっ、そうなのですか?」
私の知らない所で、知らない話が決まっていました。
◇◇◇
頑張った子にはご褒美があるんですよ。
神にはちゃんと慈悲もあります。
報われないのは現世にいる間だけ。
苦しんで生きて来た方にも、ちゃんとそれに見合うご褒美が用意されているのです。
なくした物があるのなら、泣いて泣いて、気が済むまで泣きましょう。
そうしたら、今度は少し先にある未来に目を向けましょう。
あなたの思いはもう伝わっているのですから、必要以上に悲しむ必要もないのです。
明日は心の中も晴れますように。
降り注ぐ天からの愛に感謝を。