ルナの話
次の日、実力テストは頑張れたと思う。テスト中はずっと冬美さんの顔がちらついて集中出来なかった。
実力テストは現文、数学、英語だけで終了後は帰るだけだ 帰宅後
珍しく絵里が先に帰っていた。
「絵里、部活は?」
「今日はオフですよ それと兄さん、昨日ルナ先輩が襲われたそうなので兄さんも走りに行く時は気をつけて下さいね」
「了解、ルナ先輩って?」
「兄さん、忘れたのですか?冬美月光先輩ですよ」
「え、うん、覚えているよ」
昼食にオムライスを作った、絵里の方は食べたらすぐに出かけていき、俺はというと調べ物や、明日からの授業の準備などをしてからこれからの高校での動き方を考える
俺のスマホにはおかんと絵里しか登録していない、相談相手がまずいない 高校では友達を沢山作るイケメンムーブも考えたことがあったが
髪型は普通で片目が隠れるくらい伸びている、顔は普通だな、平均的 身長は174cm高い方、体重は67kg 太ってはいない ごく普通のモブだ 脱却するには散髪だろ 最近、鬱陶しく思えてきたし
11分で出来上がる散髪屋へ自転車を走らせた。髪型は無難にミディアムショートに ツーブロック禁止の校則はなかったと思うが今回は無難にした。
11分後、散髪は完了し、帰りにドラッグストアでワックスを買いに行く
ドラッグストアで冬美さんを見かけたがこちらから話すつもりはないため、遭遇しないように動いた
純粋なかくれんぼなら『ハイド&シーク』を遠慮なく使うが・・・・・・
「影司くん」
「あ〜お久しぶりですネ トウミさん」
「髪型が変わっているから気づかなかったよ」
「そうでしたか、昨日は危なかったと聞きましたが」
「あ、そうなんだけど助けてくれた人がいてね」
「無事なら何よりですね それでは」
レジに逃げるように向かい、ワックスを購入、ズボンのポケットにワックスを突っ込んでドラッグストアを出て、家に帰った。
「あ〜疲れた〜昨日の今日でなんで遭遇するかな 俺の話し方キモかったぞ 女子とトーク恐怖症になりそう」
気になったのは冬美さんの左腕にブレスレットをしていた、前に調べた時に見つけたのと同じやつだったような
スマホで調べると見つけてしまった。
「能力を隠蔽するやつか」
能力隠蔽系商品は多く鑑定では調べれなく、解析には調べられてしまう。解析持ちはだいたい警察関連の職に優先的に就けるが鑑定持ちの場合は一般的に警察学校からだ 日本独特の能力差別的な考えなのだ
「冬美さんの能力って?」
新たな疑問が生まれるが気にしないことにした
ルナ視点
私は小学校5年生の時に東京から引っ越ししてきた。大阪でも北部でキャンプ好きの両親にとっては車ですぐにキャンプ場に行けるため、この街を選んだらしい
実際は私のことを考えての行動だったと今では思う、私の能力だと東京のような都会だと危険が多いからだ
中学校に上がると危険度が増した。問題点の1つは能力者至上主義者がいたこと
私の能力は利用されやすい、両親がここまで隠してくれたから私も隠し通すことにしていたが能力主義者の彼は能力者でもない生徒を影でいじめていたのだ 魔の手が女子生徒に向くのは時間の問題だった
そんなときに彼、福山影司くんが身代わりになってくれていたことを知った その時から私は能力を彼を対象にして使うことを決めた。
ある出来事が起きた、影司くんが逆にボコボコにしているビジョンが見えた とても不思議だったのは彼の身体を纏うかのように黒いモヤが掛かっていた 彼も能力を隠していたのだと気づいた。
この日を境にとても彼が気になる存在になった。
そして高校生になった、あの事件の後も私は彼のことを能力で断片的に見ていた。
今日、襲われることも彼が助けてくれることも全て知っていた。
実際は知っていても恐怖の方が増していた、男たちの視線は私の胸や足などを見ていて気持ち悪かった 泣きながら逃げて逃げて、時間を稼いだ それと能力で見た時間よりも早い時間に襲われていたのだ
私の能力『未来視』なら運命の分岐点を変えることができたはずなのに能力に過信していたことが問題だったのかイレギュラーが起きた 黒い仮面をつけた人が助けてくれたのだ、しかもその人に『未来視』は使えなかった、見えなかったのだ
その人はとても強くて格好良くて、話し方がおかしかった。帰りはお姫様抱っこで家まで送ってもらった とても恥ずかしかったけど私たちのことは周りの人たちから見えていないことに気づいた。
家に帰ってから『未来視』について考えた。
まず対象の未来をその人の視点で断片的に見ることができる。
見れる時間は最大24時間までで時間までは分からないため、予想しなければならない
自分を対象に使うと精度がとても悪い、襲われた時間が早かったのは自分に使ったせい、影司くんに使った時は私が襲われている場面に出くわしていた時だった。
しばらく自分に使うのは辞めよう
次の日、実力テストだけだったので午前で終わり、帰宅した。高校では部活に入るか悩んでいる 身体を動かすのは好きだけど、以前からモデルのスカウトを受けているからモデルの仕事に興味があるしどうしよう
能力隠蔽のブレスレットを付けて家の近くのドラッグストアに向かった。リップクリームと色々、女の子には必要な物が多いのだ。
ドラッグストアで影司くんを見つけた、私は話たくて接近するが彼は気づいたのか距離を取ってしまう これは手強い、しばらくは買う物を選びながら彼との距離を詰めに行く ようやく話かけることができた 今日の私を私は褒めたい 髪型が変わっていて格好良く見えたそれに彼の雰囲気が昨日、私を助けてくれたシャドーくん(仮)にそっくりだったことだ 彼は逃げるように行ってしまった
私はモデルの仕事をやってみようと夜にお母さんに相談したのだった