転入生は外国人
5月6日 金曜日
なんで休みじゃないんだ、俺も絵里もいやいや学校へ行く
「兄さん、今日は姉さんと待ち合わせしてからモデルの仕事に行きますので帰りはいつも通りになります。」
「分かった、ルナからの連絡がない限り、最寄り駅で待っているよ」
ゴールデンウィークは何かと面倒くさい出来事に遭遇したし、日課のランニングが出来なかった
自転車を漕いで高校へ、距離はあるが朝からいい運動になる。
いつも通りに高校へ着き、教室へ すでに何名か生徒は来ており、会話の内容はゴールデンウィーク中の話だ
「福山、休み中どっかに行ったか?」
「近場でキャンプくらいだ、母親は海外旅行に行ったがな」
「近場って、あれか大学生が麻薬していた事件があった所か?」
「そんな、大学生いたな 次の日には朝一撤収したし」
今、話しているやつの名前を俺は知らない 必要最低限の人間さえ覚えていればいいからな
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
朝から騒がしい声が廊下から聞こえる、奴か
「てーへんだ、転入生が来る」
サッカー部の野田だ、暑苦しい、花田には負けるがイケメンよりなんだよなこいつも ムードメーカーや芸人のカテゴリに入れるのが正解だろうな
「野田、嘘だろ」
「嘘じゃねぇーよ」
「こんな時期に転入がおかしいと思うぞ」
朝から静かにしてもらいたいものだ
「おい、カゲ、お前は信じるよな」
「野田だからな、怪しい」
なんだかんだで予鈴がなり、担任教諭がやって来る
「転入生がこのクラスに入ってくるから仲良くな」
「ほら、俺が言っただろ」
「野田、静かにしろ」
野田は怒られ静かになる
「入って、自己紹介」
教室に入って来たのは金髪とは違うブロンドヘアで髪はさらさら、目が青い 日本人ではなく外国人だというのは一目で分かった。
「ハジメマシテ、ルヴェリア・マーキスと言います。ヴェリアと呼んでください」
こういう場合、席は出席番号順だから一番後ろになるだろうな
「そこの空いている席でいいな」
「ハイ」
花田の後ろ、俺の前、福田がいた席だった 1限目の授業まで5分残っているが ルヴェリアさんの周りにクラスの連中が密集、質問攻めにあっている
元福田組のやつらは敵視した目で見ている
1から4限までの授業が終わり、昼休みに入る ちなみに休み時間の間に腕時計とスマホでルヴェリアさんを確認すると能力者だった、能力は『騎士』ゲームの職業っぽい能力だがその解釈であっている
職業系能力者(俺が勝手に言っているのだが)は珍しい部類に入る 俺のデュアルの方が希少なんだが
休み時間中の質問の会話を整理する。
ルヴェリアさんはイギリス出身、6月が誕生日、家族で日本に引っ越ししてきたらしい
2つ下に双子の弟と妹がいる こんなくらいだろう
スリーサイズを聞くアホもいた
スマホを見ると絵里からLINEが着ている 内容は親の呼び出しなのだがおかんは海外旅行中のため、俺が行くしかない
荷物を鞄に詰めて、職員室へ行き 事情を説明 早退扱いにしてもらい、妹のいる中学校、憎き母校へ向かう
中学校へ着き、絵里がいる 相談室へ
「兄さん」
「早退して来たぞ、さっさと話を始めてくれ」
家の家族はこの中学校の教師を全員信用していない、腐った教師陣が一新されてもだそもそも俺の時の件を揉み消したからだ
呼び出されたのは体育館が燃えたのは絵里のせいになっているからだ、頭にうじでも沸いてんのか
「バレー部の3年が呼び出した能力者がそもそもの原因だろ、それに絵里はバレー部でいじめにあっていた事実をお前らは知っていたのか?」
「お前らは能力者関連の問題を避けたがるよな、俺の時は加害者が会社の社長の息子だから、裏で金を積まれてもみ消されたぞ、教育委員会の方にもな そのせいで中学ほとんど行ってないしな 俺が行けなかった時間をお前らは金で補填出来るのか 修学旅行も行ってないぞ俺は」
教師は黙り込む
「絵里はつい最近、『ギフター』のせいで能力に目覚めたばかりだまともに能力も扱えていない、それだけで罪を擦り付けるのはおかしいと思うが?」
「兄さん、この人たちは自分の保身しか考えていないですから、あきらめましょう」
「絵里、ルナに頼んで笠木さんに協力を頼めないか? 何もかも調べられると思うぞ」
「それはいいですね、姉さんには今日 会いますし」
「校長でも呼べば?あの爺、俺の時から変わっていないよな 今すぐにでも殺したいくらいムカつく野郎だしな」
机を拳で叩きつけてひびを入れる
「絵里、帰るぞ 話をする時間が無駄だ それに保身に走る時点で教師失格だ、さっさと辞めて、教員免許の返納を進める」
絵里を連れて相談室を出る
「兄さん、校長ってクズなの?」
「そりゃ、あれは金の亡者だな あの社長からどんだけ貰っていたか 腰巾着、コバンザメ 金のためならうんこでも食うぞあれは」
「兄さん、下品ですよ 碌な死に方をしませんね」
「そうだな」
絵里は教室に荷物を取りに行き、一緒に帰った
「兄さん、お昼は?」
「まだだ」
朝作った、弁当を家で食べた
そういえば、ログ機能がないから過去に調べた相手の情報を知れないのがな
16時頃にルナさんが来て、絵里はモデルの仕事へ向かった
絵里は月曜からどうするのだろうか、日曜におかんが帰って来てから相談しないとな
夕飯の支度をする
「今日は麻婆豆腐かな?」
帰って来てからすぐに作れるため、今日は超手抜き 色々あって疲れたんだよ
迎えに行く時間まで時間があるため、スマホで調べる
中学校の事件は記事に乗っていた、『追跡者』はいまだ捕まっていないようだ、捕まった能力者は俺の1つ上の卒業生だったようだ 名前を見ても知らないからどうでもいいが コメントの所に書き込んでおいた
「学校側は被害者に責任を取らせようとしている」
ルナからLINEが送られてくる。そろそろ帰ると撮影の衣装を着た、ルナと絵里とルヴェリアさんが写っている
最寄り駅まで迎えに行く、改札口前で2人を待っているとルナと絵里、ルヴェリアさんが来た
「兄さん、ただいま」
「影司くん、ご苦労さま」
「兄さん、ヴェリアさんと仲良くなりました」
「ヴェリアちゃん、可愛いよね」
「そうなんだ、ハハハ 同じクラスだけど」
2人は目を丸くしており、ルヴェリアさんは微笑んで頷いている
4人で帰ることに、途中でルヴェリアさんとはお別れなのだが
「明日ね、遊ぶことになったんだよ」
「気をつけて行っておいで」
「影司くんはなにを言っているのかな」
「シャドーさんはワタシたちの護衛ですよ」
シャドーさんって俺、あいつらカゲって呼んでいるから影=シャドーか
「兄さん、明日は早いですよ」
途中の道でルヴェリアさんとは別れ、ルナさんを家まで送る
「また明日ね、影司くん、絵里ちゃん」
「また、明日」
「姉さん、おやすみなさい」
絵里と家に帰り、麻婆豆腐を作り、食事
「月曜からどうするんだ?」
「普通に学科に行きますよ 何かあった時のために能力の訓練もやっていますし」
風呂に入って、明日に備えて眠る
月曜から絵里のことも心配なのだがルヴェリアさんと仲良くなってしまうと俺の方も大変になりそうだ