ゴールデンウイーク3日目
5月5日
目を開けると知らない天井、ルナさんのベッドで寝たことを思い出した。
それとキスしたことも思い出して恥ずかしくなった。どういう顔をして会えばいいんだ。
起きてから着替えて1階へ、キッチンからは芳ばしい匂いがする。
「影司くん、おはよう」
「おはよう、ルナさん 絵里は?」
「絵里ちゃんはバレー部の朝練に行ったよ」
「すぐに帰って来そうだけど」
「元バレー部の先輩の誰かが見に行くのがいいんだけど、私の場合は絵里ちゃんと仲が良いから」
「そうだな」
ちなみにほとんど中学校に行ってなかったため、俺は誰が誰かとか覚えていない けっきょくルナさんだけなんだよね
朝食はカリカリに焼いたベーコンと味噌汁、ご飯 ベーコンうめぇぇぇー
朝食も食べ終わり、今日はどうするか
「影司くん、今日はどうするの?」
「何も考えてない」
「明日の放課後にモデルの仕事が入ってるから」
「迎えに行くよ」
食後はソファに座ってだらけ、ルナさんは隣に座り、寄り添っている
「浮気は許しませんよ」
「浮気なんてしないよ」
気になることがあった
「事務所の方は交際してもいいの?」
「問題になる行為がなければいいですよ、例えば悪い男に引っかかって薬に手を出すとか パパ活もダメですね」
「ルナさんなら大丈夫かそれよりも」
「絵里ちゃんが心配ですよね」
「うん」
「私が付いているので大丈夫ですよ、それよりもそろそろさん付けやめない?付き合っているのに」
「分かった ルナ」
「はい、影司くん」
恋人という関係になった、『変身』を知っているのも絵里とルナだけだし、他人に話すこともないだろう
「影司くん、絵里ちゃんが大変なの」
「ルナ、落ち着こう 『未来視』の内容を教えるんだ」
『未来視』の内容は中学校の帰り道の公園で上級生とその彼氏によって絵里が痛めつけられるという内容だった
「行ってくる」
「私も後で駆けつけるから」
俺は『変身』した。
「我が名はシュヴァルツ」
「格好いいけど、口上はもっと考えようね」
「はい、考えておきます」
『ハイド&シーク』で姿を隠してから公園に向う
現在のHポイントは450、Dポイントは300ある。今のところ交換する物はない気がするが
公園に着いたが誰もいない、時計とスマホで周囲を調べると中学校の付近に能力者が集まっているのが分かった。中学校の方へ移動する。
「全員スパイク練習、福山さんは全部受け止めてね」
言葉に悪意があるのは誰にでも分かる。それに今日に限ってはバレー部のコーチが来ていない 嫌がらせをするには丁度いいのだろう
私は飛んでくるスパイクを全部捌くことにした。実力差で黙らす方法を選んだ、兄さんは能力者に毎日殴られていたと聞いたときは頭に血が登り、産まれて初めて殺意が沸いた
「っく」
スパイクと同時に別の所からのボールをぶつけられ顔に当たった、3年生はそれを見て笑っている
体育館の窓が開いているため、『風使い』の能力を使うことができるが練習終了時間が近いためまだ我慢ができる
時間が来たため練習は終わり、片付けは全部、私1人だ、帰ったら兄さんと姉さんが待っている 2人に甘えれるなら我慢できる。
すべてを片付けて体育館を出ると3年の先輩たちと知らない顔の男の人たちが待っていた。
「痛めつけたらいいのか」
「そんなんじゃ甘い、死にたくなるくらい虐めないと」
悪意と敵意の視線に晒されている 氷柱が飛んで来たのをとっさに風を使い撃ち落とす
「能力者とか聞いてないぞ」
「私だって知らないわよ」
大量の氷柱と炎の玉が飛んでくる。能力を得たばかりの私では防ぐことが出来ないそれに恐怖で足がすくんでしまう
「助けて、兄さん」
大量の氷柱と炎の玉は私に当たることはなく、黒い何かに遮られた
「我が名はシュヴァルツ」
間に合った〜『ハイド&シーク』を前面に展開、飛んできた物を隠す 隠しただけだから運動エネルギーは残っているため返すことも可能、練習したことが活きたな
『ハイド&シーク』で隠した氷柱と炎の玉を打ち返した
被害は体育館の周辺から校舎まで校舎の壁に氷柱が突き刺さっているし、火事にはなっていないがアスファルトが黒焦げだ 今のところ怪我人はいない
「まだ、やるか」
男たちの戦意は残っており、3年生と思われる女子は恐怖で動けないようだ
スマホでルナに現在地だけ送っておいた
6人いる男たち、能力は『魔法(氷)』『魔法(火)』『追跡者』あとは無能力者だ、逃げても追いかけれるように『追跡者』がいるのは笑えるが
『ハイド&シーク』を使い姿を隠し、能力のない3人を瞬殺 殺してはいない
「うわぁぁぁ」
炎の玉をそこらじゅうに連射しだし、『追跡者』は逃げだし、逃亡者になった。『魔法(氷)』の能力者はフレンドリーファイアでノックダウン 状況は最悪だ 体育館は燃えている
『魔法(火)』の能力者に接近し、腹に一撃 気絶して倒れる
「絵里、行くぞ」
「うん」
絵里をおんぶして『ハイド&シーク』で姿を消して逃げるように逃げた 遠くから消防車の音が鳴り響いているため、大丈夫だろ
帰る方向に歩いているとルナを見つけたため、『変身』と『ハイド&シーク』を解除してから合流
「体育館、燃えたわ」
「影司くん、何してんの」
「相手が錯乱状態だったしなぁ」
「そうです、兄さんは悪くないです」
「とりあえず、帰って明日の対策を考えよう」
冬美家ではなく、福山家に帰る 警察が来るかも知れないからだ
「バレー部でいじめにあった、片付けをして体育館を出ると3年生と男6人がいた、飛んできた氷柱を能力で撃ち落としたあと大量の氷柱と炎の玉が飛んできた シュヴァルツという謎のヒーローに助けてもらった これでいいな」
「うん」
「影司くん、謎のヒーローは余計かな」
「ライダーしかり、光の巨人みたいに正体を知っている人間は少ない方がいいから」
夕方頃に警察官がやって来て、絵里への事情聴取、俺は『ハイド&シーク』で隠れて聞いている
内容は絵里が被害者なので被害届けを出すかどうか、絵里は迷うことなく被害届けを書いた
その後、警察官は帰っていった
「ルナ、光さんが帰ってくるから帰った方がいいんじゃないか」
「もう、こんな時間 影司くん、絵里ちゃんまた明日ね」
「気をつけて帰れよ」
「姉さん、また明日」
ルナは帰っていき、家の中は俺と絵里だけになった
「絵里、何食べたい?」
「お肉100%のハンバーグが食べたいです」
「分かった」
「兄さん、姉さんと何かありました?」
「キスしたくらいだけど」
「ヘタレの兄さんが頑張りましたね」
「褒めてる?」
「褒めてますよ」
今日は明日に備えて早めに寝ることにした。絵里が心配過ぎる。