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5 ボクと彼女は土下座する!

そういうわけで第5話です。

「お二方とも、事態の深刻さを判っていただけましたか?」



 丁寧な説明ありがとう。


 ボクでもわかってしまったよ! わかりたくなかった!



 お忍びでテレーズと見に行った劇の展開を思い出す。


 こういうのを『ざまぁ』と言うんだ。観客はみんな『ざまぁ』を待っている。



 どこぞの国のイケメンぶった勘違い王子が、王家の都合で決められた婚約者に対して婚約破棄を突きつけるんだ。


 で、王子の隣には、王子が『真実の愛』の相手だと思い込んでいる女がいる。ちょっとケバい感じの女だ。


 そして婚約者は、はかなげで可憐な女と決まっている。


 王子は、婚約者に無実の罪を着せる。それで婚約破棄が正しいと言い張る。


 だけど、その罪の証拠はでっちあげ、ない場合さえある。


 たいてい大逆襲されて、王子とケバい感じの女は破滅。


 これが『ざまぁ』


 この展開からすると、


 そろそろ弟が現れて、あのイケメン顔でニカっと笑い。


『じゃあ、俺がマリアンヌ嬢と婚約しちゃう! マリアンヌ、結婚してください!』


 このメガネもキャラ崩壊して、なんだかオトメチックに目をうるうるさせやがって、


『まぁ殿下! 私もなんだかドキドキしてきました! その婚約おうけします!』


 そこへ華やかなファンファーレと共に父上と母上まで現れて。


『オットー! なんということをしたのだ! おまえは廃嫡! 北で鉱山労働だ!』


『我が息子ながらここまでバカだったなんて……かばいきれません』


 そしてテレーズは、ざまぁの定番からすれば罪から逃れたい一心でボクを――



「お許しください! わたしが殿下をそそのかしました! 


 純粋な殿下を、こっ、この恥知らずな体をつかい、みだらなふるまいでたらしこんだのです!


 ですから罰は救いようのない姦婦であるわたしにっ!」


「え?」



 テレーズがマリアンヌの足元に土下座してる!?


「だ、だめだ! ボクが君を愛したからだ! 君はそれに応えてくれただけだ!


 今、思い返せば、君は何度もボクから遠ざかろうとした、それをボクが。


 いや、違う。ボクが王太子だから逆らえなかっただけなんだよね!


 ボクが権力をふりまわして無理矢理君を! だからテレーズは助けて欲しい!」



 ボクも這いつくばるように土下座!


 練習してなかったから王者の土下座にはならない!


 だが、テレーズのためにボクが出来ることはこれくらいしかないのだ!



「ちがいます! 私はふしだらにも殿下を誘惑し理性を狂わせたのです!


 わ、わたしは、わざと殿下の前でスカートを破ってふとももを見せつけたりして!」


「それは君がスカートを破られたからじゃないか!


 あのときだって、君は恥ずかしさに真っ赤になってて、そりゃ見たけど、目に焼き付くほど見たけど、でも――」


「そっそれはし、芝居だったんです! わたしは元々、いやしい孤児上がり。


 生き残るために、殿方を誘惑する、みっ淫らで口にするのもおぞましい方法をいっぱい知ってるんです!


 なのにわたしは、殿下も、今の両親も、孤児院の院長様も乙女のフリをして欺して――」


「芝居ならそんなにどもったりしないよ! ボクなんか庇わなくていいん――」



 いきなり、パン、と大きな拍手の音が響いた。


「殿下! 殿下! 殿下! テレーズ嬢!」


 パン、パン、パン、と手を打ち鳴らしながら、マリアンヌが声を張り上げた。


 そして一転して子供をあやすような口調で、


「話は最後まで聞いて下さい。予定は未定です。未来はまだ決まってはおりません」


「「なぜ!?」」


 マリアンヌの能面のような顔に、珍しく感情が見えた。


「私はローゼンクランツ殿下が嫌いです」



予告!

マリアンヌの発言の衝撃も消えないあいだに、ボクはこの国の真実を知らされる!

なにが悪でなにが善かを。ボクは悪に対して怒りにふるえる!

だが、すでに『ざまぁ』進行形のこの身は無力。


ボクは世界のために泣く! 弟のためにはもう泣かない!


第6話『ボクはあっさりりかいする!』


ん? でもあっさり理解するってことは、ボクってやっぱりかしこい子なのかな?

 

誤字脱字、稚拙な文章ではございますがお読み頂ければ幸いでございます。

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